たかがカラーチェンジと侮るなかれ! “イ・ボミの7勝エースドライバー”のケース
2015年に男女ツアーを通じて歴代最高賞金総額2億3000万円超えを達成し、賞金女王に輝いたボミ。“最強女王”として今季すでに1勝、を挙げているが『フジサンケイレディス』から“磐石エースドライバー”のシャフトを変更。昨季7勝を生み出したクラブを“あえて”変えた経緯は…?
配信日時:2016年6月23日 03時00分
納得の“7勝エース以上”のクラブが…
ボミは国内女子ツアー第3戦『Tポイントレディス』以後は、米国女子ツアー『ANAインスピレーション(3月31日〜4月3日)』に出場するために国内女子ツアーを欠場。復帰を予定していた『KKTバンテリンレディス』は熊本震災により開催中止となったため、『フジサンケイレディス』で約1か月ぶりに日本ツアーに帰ってきたが、同大会の初日にはドライバー、ユーティリティのシャフトがついにピンクに変化。ホールアウト後に話を聞くと「(今大会の)練習ラウンドときから今までのエースよりもいい感じで、私がお願いしたクラブが出来上がりました。ドライバーシャフトの要望で“打つ瞬間に軽くてもしっかりしているので好きです”というイメージを伝えたのですが、本間さんが理想どおりに仕上げてくれた」と嬉しさからか饒舌に感想を話してくれた。
本間ゴルフ女子ツアー担当レップの井上氏ら現場スタッフは「彼女クラスになると、例えば、同じヘッド、シャフトの微細な個体差でも違和感を持つ繊細さがある。“エースを超えるドライバーが出来ることはまずないだろう”と…」と昨季7勝もしているドライバーを変えるメリットがないのでは?というところから調整を開始。それでもボミの希望である「“しっかりと振ったときでもヘッドが遅れてこない”を実現するために何本も持っていきました(井上)」とすり合わせを重ねた苦労があったという。
「彼女はピュンピュンと動くシャフトは好みではない。昨季はドライバーでのティショットは安定していましたが、変えるのであればさらなる安定性を提供したかった。叩きにいっても左にいきづらく、我慢してくれる…ストレート系から最後に少しドローする理想の弾道を実現できたと思います(井上)」
「もとのエースと同じくらいなら、試合で使うつもりでした。でも出来上がったものはエースより安定していたので完璧。100点ですね(ボミ)」。
両者が納得できた“7勝エース超え”。「ユーティリティに関しても、ものすごく良くなりました。打ち込んだ際にたまに左にいく傾向を抑えるために、先端の剛性を高めたシャフトを用意したらドンピシャでした(井上)」と『フジサンケイレディス』以降、ウッドは完全に切り替えに成功している。
国内女子ツアーでは、プロの希望でシャフトのコスメをピンクカラーに変える例は多くあるが、一見するだけでは、“へ〜、シャフトの色を変えたんだぁ、やっぱり女子プロっぽいよね!”という感想しか持たない。だが比類なき結果を生み出した“変えの効かない1本”を持つプロのケースでは、大変な作業が付きまとうのだ。
ツアー観戦中にお気に入りのプロが、オリジナルカラーのヘッド、シャフトを導入したことに気がついても“たかがカラーチェンジ”と侮るなかれ。
文・標英俊
本間ゴルフ女子ツアー担当レップの井上氏ら現場スタッフは「彼女クラスになると、例えば、同じヘッド、シャフトの微細な個体差でも違和感を持つ繊細さがある。“エースを超えるドライバーが出来ることはまずないだろう”と…」と昨季7勝もしているドライバーを変えるメリットがないのでは?というところから調整を開始。それでもボミの希望である「“しっかりと振ったときでもヘッドが遅れてこない”を実現するために何本も持っていきました(井上)」とすり合わせを重ねた苦労があったという。
「彼女はピュンピュンと動くシャフトは好みではない。昨季はドライバーでのティショットは安定していましたが、変えるのであればさらなる安定性を提供したかった。叩きにいっても左にいきづらく、我慢してくれる…ストレート系から最後に少しドローする理想の弾道を実現できたと思います(井上)」
「もとのエースと同じくらいなら、試合で使うつもりでした。でも出来上がったものはエースより安定していたので完璧。100点ですね(ボミ)」。
両者が納得できた“7勝エース超え”。「ユーティリティに関しても、ものすごく良くなりました。打ち込んだ際にたまに左にいく傾向を抑えるために、先端の剛性を高めたシャフトを用意したらドンピシャでした(井上)」と『フジサンケイレディス』以降、ウッドは完全に切り替えに成功している。
国内女子ツアーでは、プロの希望でシャフトのコスメをピンクカラーに変える例は多くあるが、一見するだけでは、“へ〜、シャフトの色を変えたんだぁ、やっぱり女子プロっぽいよね!”という感想しか持たない。だが比類なき結果を生み出した“変えの効かない1本”を持つプロのケースでは、大変な作業が付きまとうのだ。
ツアー観戦中にお気に入りのプロが、オリジナルカラーのヘッド、シャフトを導入したことに気がついても“たかがカラーチェンジ”と侮るなかれ。
文・標英俊