確かに、ロフトが立っていれば分かりやすく誰にでも飛ぶのだけれど、それにギリギリの反発性能が加わると、さらにヤバい飛びになると筆者は感じている。特に、ロフト26度くらいの38インチ弱になると、ある程度ミート率も高いし、球を上げられることも誰もが飛ばせる大きな理由だと思う。

少し前にプロギア『赤egg PC』（ロフト25度）、『赤eggPF』（ロフト26度）をロッテ葛西ゴルフに持ち込んで試打してみた。プロギアもご存知のとおり『RSシリーズ』でギリギリ反発を平然と狙ってくるメーカー。今作のアイアンはスペック的に他社を大きく上回ることから、その性能はレンジボールでも体感できるのでは？と踏み、いつものようにPCM編集長と出かけた。

当日追い風が吹いていたのか定かではないのだが、またもやPCM編集長（1Wのヘッドスピード47m/sで元々低スピン）が凄まじい弾道を放っていた。低いティアップから『赤egg PF』を一閃すると、ネットを越えようかというハイドローで、7番アイアンなのにネット間際までボールを運ぶ。（ロッテ葛西のネット間際には250yの表示がある。実際は何ヤードか不明だが、ボールの反発と換算した表示だろう）

実際目の当たりにすると、もう、訳がわからない。まず、7番アイアンでその飛距離？ ロフト26度なのにその高さ？ あり得ないことが目の前で起きるのだ。ロフト25度の『赤egg PC』に持ち替えると、さらなるハイボールでネットの最下部に何発かダイレクトで当たっていた。ロッテ葛西の表示上は、7番アイアンで250ヤードキャリーしていることになる…。（1階の真ん中打席から、真っすぐ250yの方向に打っている）

問題は、だ。PCM編集長が試打をやめてくれないことだった。筆者も打ちたいのに、いつまで経っても打ち続けて代わってくれない。（完全に楽しくなっちゃっている…）

「いやぁ〜面白いね、このアイアン。普通に打ったらつかまって左に巻いてしまうんだけど、それをいかにフェースをターンさせずに真っすぐ打つかというのが勝負なんだけど、フェースターンを抑えてもこの飛距離だから凄いよね。しかも、高精度で弾道操作ができちゃうところが出来の良さを表している。プロギアはカーボンシャフトを研究しているからかな、私でもいろいろ出来るんだよ。距離を出すならハイドローだし、ノックダウンでフェードも打てる。とにかく、楽しい。7番アイアンで250ヤード狙えるとなると、ドライバーもウッドも要らないね」（PCM編集長）

これが飛び系アイアンの魔力だろうか。以前キャロウェイ『EPIC STARアイアン』をコースの練習場で打ちまくった時も同じだったのだが、ぶっ飛びアイアンにはアイアンに飛びを必要としない者も魅了してしまう魔力があると実感する。とにかく、コースだろうが練習場だろうが、目の前のボールを打つことが楽しくて仕方がない。（ボール代がかさむ…）

米国テーラーメイドが発表した『M CGBアイアン』が日本でも発売されるのか現時点では分からないが、間違いなくぶっ飛びアイアンだと筆者は期待している。

そして、いまのところ全メーカー中反発では1位のキャロウェイ『EPIC STARアイアン』（7番26度、COR値0.830）や、ヤマハ『RMX 218アイアン』やプロギア『赤egg PC/PF』などなど、反発ギリギリかつ、ロフトが立ったアイアンの球数が揃ってきたのは嬉しい限り。

「アイアンって進化してないんでしょ」という意見を持つのは自由だが、一度これらのアイアンを試打して「進化しているかどうか」自分の目で判断してみてほしい。絶対に面白いこと請け合い。


Text/Mikiro Nagaoka