おやじゴルフニュース「失敗だらけのクラブ選びをしていませんか?」
ゴルフはそこそこそのキャリアを積んでいくと、マンネリや金欠、はたまた体の痛みなどさまざまな問題を抱えながら続けてゆくこととなります。そのとき感じているのは、ゴルフ道を極めようとガムシャラに目指していた目標を失う虚無感。ここらでひと息入れてみませんか。コラムニスト木村和久が、エンジョイゴルフの本質と核心、そしてこれからどうやってゴルフ生活を楽しんでいけばいいのかを提案し、マンガ家・とがしやすたかのイラストと共に旬なゴルフ情報をお届けします。
配信日時:2024年3月19日 02時15分
皆さんは新しいゴルフクラブを、どのように購入しているでしょうか? 通常はショップに行って吟味し、あるいは試打会などで打ってみて、これはいいと思って買いますよね。けどいざコースでラウンドをするや、全然期待に応えてくれない。そういうことが往々にしてあります。
結果、家には何故か1セット分ぐらい、クラブが余分に放置されることに。あれっ? なんでこのクラブがあるんだっけ。昔勢いで買ったけど、合わないからコンペの賞品用に取っておいた。だけど、古くなって外に持ち出しにくくなったと……。そういう苦い体験を何度かしていることでしょう。そんなわけで今回は、賢いゴルフクラブの購入のお話をしたいと思います。まず大事なのはこれです。
1)宣伝に煽られ過ぎないこと
ゴルフクラブの人気シリーズってありますよね、歴代で10代目とかね。人気があるのは結構ですが、その歴代のクラブがすべて大ヒットとはなりませんよね。例えば映画のシリーズでも「男はつらいよ」や「007」「ハリー・ポッター」「鬼滅の刃」などの作品を見て、何作目は最高だけど、その次はイマイチだったとか言うじゃないですか。
ジャンルを問わず、シリーズもので全作品傑作は滅多にありません。ゴルフクラブも同様に人気シリーズでも、出来不出来があるのです。それをメーカーさんは、お仕事ですから「歴代最高の飛び」「他の追随を許さない飛距離」と煽ります。ニュークラブの飛距離が毎回記録更新されたら、今頃はどのクラブも我々が打って300ヤードは飛んでいますよ。
というわけで宣伝に煽られ過ぎないことが大事です。じゃ具体的にどうすればいいのか?
2)自分に合うブランドを見つける
自分に合うブランドを見つけておくと、何かと便利です。あくまで個人的な感想ですが、プロギアやキャスコ、ヤマハ BS、ダンロップとは相性が良いですね。30年以上も使っているので、おおよその使い勝手が分かります。
特に国産ブランドはアマチュア向けに、個性的なクラブを作ることが多いです。例えばプロギアはタラコからズーム、高反発クラブのエッグと、アマチュアのためにさまざまなクラブをたくさん作ってるでしょう。愛用歴が長いので新製品が出ても、こういうところを狙っているなと、方向性が分かります。あと体がクラブに慣れているので、打ってもミスは少ないです。
同様にキャスコはパワートルネードからの愛用者で、UFOシリーズも好きで使っています。ヤマハは飛び系アイアンで感銘を受け、今はドライブスターとの相性が抜群。BSとダンロップは、過去に藍ちゃんさくらちゃんブームで、女子プロが男性向けギアを宣伝し、マーケット革命を起こしました。それから女子プロ使用クラブのほうが、アマチュアには合うのではという考えが広まりました。
3)欧米のトッププロ使用クラブは?
今から20年以上前にタイガー・ウッズとデビット・デュバルがワールドカップ出場のために来日。太平洋クラブ御殿場コースに見に行きました。そしたらナイキのブースに両プロ使用のクラブが展示されてるじゃないですか。
関係者が「持っていいよ」というので、ちょっと持たせて頂きました。いや~すげえ重いの、こんなクラブを持ってフルスイングするんだ。自分の持っているクラブと全然違う。もちろんシャフトも硬くて鉄棒みたいになっているしね。
トッププロが使うクラブって、アマチュアとあまりにもスペックが違い過ぎます。だからメジャーブランドのクラブを打つときは、選手のイメージに流されないようにしないといけません。
以前、海外の飛ばし系ブランドのクラブを、フィッターの指導のもと試打したことがあります。何球か打ってフィッターが私の癖を見抜き、これでどうですかってクラブをあてがわれるとあら不思議、ちゃんと飛ぶんです。
飛ばし系のクラブを買うときは、フィティングのプロに任せたほうが手っとり早いですね。
4)試打クラブでラウンドしてみる
冒頭に練習場で調子が良くても、コースで叩くことがあるって書きましたよね。これはコースだと余計な力が加わり、リキんでしまうからです。だから練習場に戻ると、またちゃんと打てたりしてね。そういうことを何度か繰り返したことがあります。
最終的に、このクラブはアガリ症で本番に弱いということにして、タンスのこやしになりました。なんのこっちゃ。本当は本番に弱かったのは自分なんですけどね。そういう悲劇を招かないためにも、試打クラブが置いてあるコースでラウンドすることをお勧めします。常日頃ラウンドするときに、あそこのコースは試打クラブをよく置いていると、チェックしておくことが大事です。
あと新製品が出てから1年くらい待って、中古クラブが出た頃に買って、ラウンドするのもありです。中古ショップなら1週間程度で返せば、買った価格の8~9割で買い取る制度があるので、それを利用して無駄な散財を抑えましょう。失敗したら戻せると思えば、心も軽くなり、本番のコースでもリキまずナイスショット出来る確率が高まりますよ。
5)処分の決断は慎重に
最終的に自分に合わないクラブを買ってしまったらどうするかですが、おおよそ3つの方法があります。それは「売る」「リシャフトする」「熟成させる」です。
何回打ってもダメならいっそ売ってしまうのもテです。どうせ売るなら早めがよろしいでしょう。最近の中古クラブ市場は足が早くて、高く売れるのは出て1~2年目のものばかり。その時期を逃すと、驚くほど安く買い叩かれてしまいます。
次にダメ元でリシャフトをする場合があります。これは過去に何回かリシャフトをして勘どころを心得ているならありですが、一度もやったことがない人にはお勧めできません。10万円で買ったドライバーに4万円ぐらいでシャフトを入れ換えて、挙げ句失敗するのはかなり苦しいです。もしリシャフトをやるなら、ちゃんとした専門家にフィティングしてもらうべきです。
そして最後に残ったのが「熟成」させる方法です。これは厳密にいうとクラブではなく、人間のほうが熟成されるんですけどね。
つまり打ってる人間の腕が上がり、久々に打ってみたら当るようになっているというわけです。何度か懲りずに打っていたら、うまく打てるポイントを見つけた。個人的にはそういうことがしょっちゅうあり、買って1年経過して開眼したクラブもあります。
話をまとめますと、ちゃんとスペックが合っているのに当たらないのは、打ってる本人に問題があるかと思います。だってクラブメーカーは、簡単に打てるクラブ作って、お客さんに打ってもらい、売り上げを伸ばしたいのですから。誰も好き好んで難しいクラブを作って、客を絞ろうなんて思っていません。
だから見栄を張らず、謙虚に自分のスペックを見直せば、必ず当るクラブが見つかるはずですよ。
■プロフィール■
木村和久
きむら・かずひさ/1959年生まれ、宮城県出身。世の中のトレンドを追求し、ゴルフや恋愛に関するコラムを多数執筆するほか、マンガ原作も手がける。隔週刊ゴルフ誌「ALBA」ほか、連載多数。
とがしやすたか
1959年生まれ。東京都出身。「青春くん」などで知られる4コマ漫画家。ゴルフ好きが高じて雑誌でラウンドレポートなども展開。
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●同伴者と6時間近く一緒に過ごすゴルフでは、空気を読まないといけないシーンが多数存在する。アナタに非がなくても相手の地雷を踏んでしまう可能性も……。関連記事【同伴者のスカートの中が見えそう「こんなとき、どうする?」】
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