第11回 ゴルフは難しい? 考えすぎないゴルフのススメ【小田美奈のキャディ目線】
かつては専属キャディとして宮里藍を支え、現在は二児の母として家庭を支え、ハウスキャディとして一般ゴルファーも支える小田美奈さんが、ツアーの裏側やゴルフに役立つ情報をお届け!
配信日時:2022年3月21日 02時30分
あそこにバンカーがあって、向こうに池があって、風はこっちからで、ライはこうだから、こんな球筋になりそうだから、グリーンはこういう傾斜で向こうはダメで…ラウンド中は、ひとつの番手を決めるにも悩んでしまいがち。クラブを決めるのに時間がかかり、悩んだ挙句にミスショット。そんなゴルファーが悩まないためには? 元宮里藍の専属キャディであり、ハウスキャディとして働く小田美奈さんが勧める「考えすぎないゴルフ」とは。
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考えすぎたらできない!? 石川遼が“直ドラ”で40ヤードのスライス【写真】
ゴルフを始めてもう既にうん十年…というお客様のキャディをさせていただいたときのこと。その方は1球打つたびにあれやこれやと呟き、打つ前にも数本のクラブを持って何やら色々と考えているようでした。そして、その方は仰いました。「ゴルフは難しいスポーツだね」と。ゴルフは難しいとか、頭を使うスポーツとかよく言われますが、本当にそうなのでしょうか?
クラブでボールを打って、カップに入れる。ゴルフを端的に説明しようとすれば、ただそれだけのスポーツなのですが、それがなかなか思ったようにいきません。そうなると、あれやこれやと試行錯誤したくなるもの。スイングについて悩んでみたり、道具を買い替えてみたり、マネジメントを考えなおしてみたり…。
しかし、スイングや道具やマネジメントについて考えるスポーツは、ゴルフだけではありません。ゴルフはメンタルのスポーツとも言われますが、それもゴルフに限ったものではなくスポーツ全般に言えるもの。では、なぜゴルフは「難しい」と感じるのでしょうか。
ゴルフは球を打っている時間よりも歩いている時間が非常に長い分、考える時間に余裕があります。情報を収集分析して、確率の良いものを選択していく。考える時間があるからこそ、要らない情報まで収集してしまい、考えすぎるゴルフに迷い込んでしまうのかもしれません。あれもこれもと情報を頭に入れすぎて、スイングもマネジメントもどうしたら良いのかわからなくなってしまう…。
色々な角度から、自分のゴルフを見ることも大切です。しかし、悩みすぎているのではと感じられることも。個人競技であるゴルフは、基本的には戦う相手のいないスポーツです。悩み出しても、相談できる相手はキャディだけ。解決できるかどうかは、その人の考え方次第ということになります。
私が主人とラウンドに行ったときの事。現役でプロキャディをしている主人に、「これ、どれくらい切れる?」と聞くと、返ってくるのが「そんなもの、雰囲気、雰囲気」という言葉。ずいぶんひどい断り方だと思うかもしれませんが、これが実はすぐに考えすぎてしまいがちなゴルファーにとって、とても大事な言葉なのです。
ある程度のショットが打てるところまで来たら、ゴルフを難しくしているのは自分自身。自然相手のスポーツなので、本来は体全体で状況を感じながら頭の中で良いイメージを思い浮かべてスイングするだけで良いのです。あの辺に打つ、こんな感じで振る。大事なのは、感じてイメージすること。「雰囲気で」は、そんな意味が詰まったアドバイスなのです。
悩まないために考え、考えすぎないように悩む。そんな悪循環に陥らないように、もっとコースをシンプルに捉えて、スイングについて悩み過ぎないで、時にはただただ楽しんでみることをお勧めします。
■小田美奈/おだみな 元プロキャディ。大学のサークルでゴルフを覚え、トーナメント運営のアルバイトからプロキャディに転身。男子、女子両ツアーで活動し、宮里藍のデビューからアメリカ本格参戦まで専属キャディを務めた。これまでに宮里藍で9勝、今井克宗で2勝の計11勝に貢献。同じプロキャディの小田亨さんと結婚し、現在は二児の母をしながら、近所のゴルフ場でハウスキャディとしてアルバイト中。
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考えすぎたらできない!? 石川遼が“直ドラ”で40ヤードのスライス【写真】
ゴルフを始めてもう既にうん十年…というお客様のキャディをさせていただいたときのこと。その方は1球打つたびにあれやこれやと呟き、打つ前にも数本のクラブを持って何やら色々と考えているようでした。そして、その方は仰いました。「ゴルフは難しいスポーツだね」と。ゴルフは難しいとか、頭を使うスポーツとかよく言われますが、本当にそうなのでしょうか?
クラブでボールを打って、カップに入れる。ゴルフを端的に説明しようとすれば、ただそれだけのスポーツなのですが、それがなかなか思ったようにいきません。そうなると、あれやこれやと試行錯誤したくなるもの。スイングについて悩んでみたり、道具を買い替えてみたり、マネジメントを考えなおしてみたり…。
しかし、スイングや道具やマネジメントについて考えるスポーツは、ゴルフだけではありません。ゴルフはメンタルのスポーツとも言われますが、それもゴルフに限ったものではなくスポーツ全般に言えるもの。では、なぜゴルフは「難しい」と感じるのでしょうか。
ゴルフは球を打っている時間よりも歩いている時間が非常に長い分、考える時間に余裕があります。情報を収集分析して、確率の良いものを選択していく。考える時間があるからこそ、要らない情報まで収集してしまい、考えすぎるゴルフに迷い込んでしまうのかもしれません。あれもこれもと情報を頭に入れすぎて、スイングもマネジメントもどうしたら良いのかわからなくなってしまう…。
色々な角度から、自分のゴルフを見ることも大切です。しかし、悩みすぎているのではと感じられることも。個人競技であるゴルフは、基本的には戦う相手のいないスポーツです。悩み出しても、相談できる相手はキャディだけ。解決できるかどうかは、その人の考え方次第ということになります。
私が主人とラウンドに行ったときの事。現役でプロキャディをしている主人に、「これ、どれくらい切れる?」と聞くと、返ってくるのが「そんなもの、雰囲気、雰囲気」という言葉。ずいぶんひどい断り方だと思うかもしれませんが、これが実はすぐに考えすぎてしまいがちなゴルファーにとって、とても大事な言葉なのです。
ある程度のショットが打てるところまで来たら、ゴルフを難しくしているのは自分自身。自然相手のスポーツなので、本来は体全体で状況を感じながら頭の中で良いイメージを思い浮かべてスイングするだけで良いのです。あの辺に打つ、こんな感じで振る。大事なのは、感じてイメージすること。「雰囲気で」は、そんな意味が詰まったアドバイスなのです。
悩まないために考え、考えすぎないように悩む。そんな悪循環に陥らないように、もっとコースをシンプルに捉えて、スイングについて悩み過ぎないで、時にはただただ楽しんでみることをお勧めします。
■小田美奈/おだみな 元プロキャディ。大学のサークルでゴルフを覚え、トーナメント運営のアルバイトからプロキャディに転身。男子、女子両ツアーで活動し、宮里藍のデビューからアメリカ本格参戦まで専属キャディを務めた。これまでに宮里藍で9勝、今井克宗で2勝の計11勝に貢献。同じプロキャディの小田亨さんと結婚し、現在は二児の母をしながら、近所のゴルフ場でハウスキャディとしてアルバイト中。