第20回 社交辞令がきっかけ!? プロとプロキャディの出会い方【小田美奈のキャディ目線】
かつては専属キャディとして宮里藍を支え、現在は二児の母として家庭を支え、ハウスキャディとして一般ゴルファーも支える小田美奈さんが、ツアーの裏側やゴルフに役立つ情報をお届け!
配信日時:2022年4月28日 01時30分
桂川有人は日大の4つ上の先輩、三谷拓斗さんとのタッグでともに初優勝 三谷さんは同じ日大出身の阿久津未来也のエースキャディだが、たまたま阿久津が別のキャディを起用したため、初めて桂川のキャディを務めた (撮影:佐々木啓)
試合中に、唯一選手への助言が許されているキャディ。中でも、それを生業としている「プロキャディ」という存在は、今のゴルフツアーを支える欠かせない存在となっている。時に、賞金王や女王のキャディとして、あのプロの隣にあのキャディありと言われるほどの伝説のタッグが生まれることがある。トーナメント運営のアルバイトから宮里藍の専属キャディになった小田美奈さんに、タッグが生まれる瞬間の話を聞いてみた。
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稲見萌寧のコーチ、奥嶋誠昭氏がキャディを務めることも!【東京五輪フォトギャラリー】
プロとプロキャディがどのようにしてタッグを組むことになるのか。劇的な出会いを経て、お互いの想いを確認し合い…なんてことは一切なく、もっと簡単な口約束のようなものから始まるのがほとんどです。なんといっても、お互いそれがお仕事ですから。
では、そんな口約束がされるまでの経緯は? 実は、毎週のように各地で開催されるゴルフトーナメントですが、その中身は非常に狭い世界。
プロやキャディはもちろん、協会の方やプレス関係者の方々というのも地域によって少しの差はあれど、大きく変わることはありません。大会運営に関わる会社も数えられるほどしかなく、アルバイトで来る学生さんも、ボランティアさんも、ある程度の入れ代わりはあるとはいえ、それほど大きく変わるものではありません。
そんな中、プロとプロキャディは何らかの形で関わることが特に多いものです。一緒の組でラウンドしたプロのキャディをしていたとか、食事先が一緒になったとか、様々な形で話すきっかけは存在します。そうした際に、「今度、キャディやってよ」、「今度、機会があればキャディをやらせてください」といった挨拶が選手とキャディの間にはあって、それが社交辞令のようになっていたりします。
さてそれが社交辞令なのか、本音なのか、確認できるのは具体的な話になるかどうかによって。「○○(大会名)の週、空いていますか?」といった形で具体的な話になれば、ではそこで初タッグを組みましょう!となるわけです。
ひとりのプロにずっとついているキャディは、プロが怪我などで休めば仕事が無くなってしまうもの。ぽっかりと予定が空いてしまった週に、他のプロのバッグを担ぐというのはよくあることです。予定が空けば収入も無くなるので、他のプロを探すことは珍しいことではありません。
ちなみに、私が宮里藍プロのキャディバックを担がせていただいたきっかけは、藍プロのお兄ちゃんである聖志プロのキャディをしていたからでしたが、その聖志プロとタッグを組むことになった理由が、まさにそれ。そのとき、私がタッグを組んでいたのは菊池純プロ。しかし、日本オープンへの出場権がなく、雇ってくれる選手を探していました。逆に、出場権を得てキャディを探していた聖志プロ。練習場で話すタイミングがあり、菊池プロの「俺、出られないから雇ってやって」という口添えもあり、キャディをさせてもらえることになりました。
キャディ同士で情報を交換し合って、この週は○○プロが空いているという情報をやり取りしたり、プロに紹介し合ったりもしています。最近では、複数名のプロゴルファーを抱えているようなマネジメントの会社のマネージャーに相談するという方法もありますし、プロキャディが運営するプロとプロキャディのマッチングサイトのようなものもあるそうです。
そうしてタッグを組んだことがキッカケで専属キャディに決まることもあり、伝説のタッグも実はこうして生まれたのかもしれません。
■小田美奈/おだみな 元プロキャディ。大学のサークルでゴルフを覚え、トーナメント運営のアルバイトからプロキャディに転身。男子、女子両ツアーで活動し、宮里藍のデビューからアメリカ本格参戦まで専属キャディを務めた。これまでに宮里藍で9勝、今井克宗で2勝の計11勝をサポート。同じプロキャディの小田亨さんと結婚し、現在は二児の母をしながら、近所のゴルフ場でハウスキャディとしてアルバイト中。
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稲見萌寧のコーチ、奥嶋誠昭氏がキャディを務めることも!【東京五輪フォトギャラリー】
プロとプロキャディがどのようにしてタッグを組むことになるのか。劇的な出会いを経て、お互いの想いを確認し合い…なんてことは一切なく、もっと簡単な口約束のようなものから始まるのがほとんどです。なんといっても、お互いそれがお仕事ですから。
では、そんな口約束がされるまでの経緯は? 実は、毎週のように各地で開催されるゴルフトーナメントですが、その中身は非常に狭い世界。
プロやキャディはもちろん、協会の方やプレス関係者の方々というのも地域によって少しの差はあれど、大きく変わることはありません。大会運営に関わる会社も数えられるほどしかなく、アルバイトで来る学生さんも、ボランティアさんも、ある程度の入れ代わりはあるとはいえ、それほど大きく変わるものではありません。
そんな中、プロとプロキャディは何らかの形で関わることが特に多いものです。一緒の組でラウンドしたプロのキャディをしていたとか、食事先が一緒になったとか、様々な形で話すきっかけは存在します。そうした際に、「今度、キャディやってよ」、「今度、機会があればキャディをやらせてください」といった挨拶が選手とキャディの間にはあって、それが社交辞令のようになっていたりします。
さてそれが社交辞令なのか、本音なのか、確認できるのは具体的な話になるかどうかによって。「○○(大会名)の週、空いていますか?」といった形で具体的な話になれば、ではそこで初タッグを組みましょう!となるわけです。
ひとりのプロにずっとついているキャディは、プロが怪我などで休めば仕事が無くなってしまうもの。ぽっかりと予定が空いてしまった週に、他のプロのバッグを担ぐというのはよくあることです。予定が空けば収入も無くなるので、他のプロを探すことは珍しいことではありません。
ちなみに、私が宮里藍プロのキャディバックを担がせていただいたきっかけは、藍プロのお兄ちゃんである聖志プロのキャディをしていたからでしたが、その聖志プロとタッグを組むことになった理由が、まさにそれ。そのとき、私がタッグを組んでいたのは菊池純プロ。しかし、日本オープンへの出場権がなく、雇ってくれる選手を探していました。逆に、出場権を得てキャディを探していた聖志プロ。練習場で話すタイミングがあり、菊池プロの「俺、出られないから雇ってやって」という口添えもあり、キャディをさせてもらえることになりました。
キャディ同士で情報を交換し合って、この週は○○プロが空いているという情報をやり取りしたり、プロに紹介し合ったりもしています。最近では、複数名のプロゴルファーを抱えているようなマネジメントの会社のマネージャーに相談するという方法もありますし、プロキャディが運営するプロとプロキャディのマッチングサイトのようなものもあるそうです。
そうしてタッグを組んだことがキッカケで専属キャディに決まることもあり、伝説のタッグも実はこうして生まれたのかもしれません。
■小田美奈/おだみな 元プロキャディ。大学のサークルでゴルフを覚え、トーナメント運営のアルバイトからプロキャディに転身。男子、女子両ツアーで活動し、宮里藍のデビューからアメリカ本格参戦まで専属キャディを務めた。これまでに宮里藍で9勝、今井克宗で2勝の計11勝をサポート。同じプロキャディの小田亨さんと結婚し、現在は二児の母をしながら、近所のゴルフ場でハウスキャディとしてアルバイト中。