＜長嶋茂雄 INVITATIONAL セガサミーカップゴルフトーナメント　最終日◇8日◇ザ・ノースカントリーゴルフクラブ(7,127ヤード・パー72)＞

　国内男子ツアー「長嶋茂雄 INVITATIONAL セガサミーカップゴルフトーナメントの最終日。3打差でスタートした石川遼は、前半で4つスコアを伸ばす猛追を見せ一時は首位と2打差まで詰め寄ってみせる。しかし、11番でセカンドのミスからこの日唯一のボギー。「引きずってはいなかった」と気丈に話したが、結果的にはこのボギーが致命傷となった。終盤3つのバーディを奪ったものの、結局トータル15アンダーの3位タイフィニッシュ。金庚泰(キム・キョンテ)(韓国)に敗れた昨年大会に続き、2年連続のV逸にホールアウト後握手を交わした大会名誉会長・長嶋茂雄氏からは「また惜しかったね」と声をかけられた。

「石川遼1打速報」で全ストロークを振り返る

　優勝したイ・キョンフン(韓国)はトータル19アンダーまで伸ばしたため、「上にアレだけ伸ばされると苦しかったですね」と逆転は困難だったが、追撃ムードがしぼんだ中盤の足踏み。たらればは禁物なことはわかっているものの、「9番の“5(パー)”、11番の“5(ボギー)”、13番の“5(パー)”を“4”にできていれば」と勝負どころのミスに悔いが残った。それでも、「初日以降は良いプレーができましたね。2日目からはつかんだものもあった」と語るなど、ショットに悩みを抱え試行錯誤していた1年前とは比べ物にならないゴルフに大きな手ごたえを得た。

　今大会、それを顕著に感じられたのは球筋の打ち分け。これまで糸を引くようなストレートボールを追い求めてきた石川だが、「ストレートだけじゃダメだし、持ち球と反対の球に苦手意識を持っていると通用しないコースが海外には多い」と米ツアーで戦ううちに球のバリエーションを持つことの重要性を思い知らされた。「例えば16番は右にピンが切られていたけど、今までなら池の上からドローで打つしかなかった。でもあのピンが求めているのはフェード。よりストレスなくチャンスにつけられるようになりましたね」。ホール毎に求められる球筋を打ち分けるうちに、スイングに柔軟性が生まれ、安定感も格段に向上した。

　大きな手ごたえを得て北海道をあとにした石川は、再び「全英オープン」から始まる海外連戦へ旅立つ。「全英オープンの横風に対してどう打っていくのか。まだまだバリーションは足りないと思う。メジャーにいって今の自分のゴルフで何を感じるのか楽しみですね」。今シーズン海外で磨きをかけ、そして今大会で自信を手にした新たなゴルフスタイル。2つのメジャーにこれまでとは違った期待感を抱かせた。