今回スイングを見て、クラブの重さ重視、遠心力重視でスイングに柔らかさが出ていて、かなりの変化に驚きました。見てとれるのは、ダウンスイングで頭が下がる動きが多かったタイガーですが、今回はほぼ下がらなくなっています。

身体的アプローチから見ると、グッと地面を踏み込み、その反動でパワーを出す、縦の床半力などを使わなくなっていますので、エネルギーダウンともいえますが、そのぶん柔らかさが出ているので、見事にそのパワーダウンを補っていると思います。

神スイングのベン・ホーガンのような、筋力に頼らない、大人のスイングに見事にシフトした感じがします。完全復活するために、より腰に負担をかけないスイングをつくり上げてきた結果でしょう。

イメージとしては、全身をフル稼動させていたスイングから、クラブをシンプルに振るという、クラブ中心のスイングに変化しました

トップスイングからダウンスイング、インパクト直前の動きを見ると、明らかに頭の下がりが減って、ビハインド・ザ・ボール（頭がボールより後方にあること）が強めです。左右の作用反作用がしっかりしています。ここで体とクラブの引っ張り合いが生まれて、流れの中でパワーが生まれています。以前はこれに上下の作用反作用もありましたが、そこが減りました。

全身を使ったスイングから、上体とクラブ中心のスイングにシフトした感じです。フォロースルーの脱力具合を見ても、以前は飛び上がる力感がありましたが（見た目はもちろん以前の方がカッコいいというのもありますが…）、今はまるで、「もう仕事が終わった後」といった感じです。表現としては、打撃系のスポーツから武術の達人になったような感じですね。

道具の使い方ありきのスイングで、力でねじ伏せるのではなく、バランス、遠心力、地球の力を使うイメージで、「剣の秘訣は『ブラブラ』に使う」といっている宮本武蔵に似ているといってよさそうです。