女子ツアーが開幕して様々な人気モデルを女子プロは使用している。そこで彼女たちの使用モデルについてチェック。アイアン選びのヒントになる点を調査してみた。
昨季3勝を挙げた桑木志帆は、ハーフキャビティの『241CB』を愛用。「新モデルは良かったですね。ソールの前と後ろを削っていて、ヘッドの抜けがすごく良かったですね。打感は柔らかいですよ」と絶賛する。
昨年初優勝を遂げた安田祐香はアマチュアに人気の『スリクソン ZXi5』を新たに採用。「違和感なく替えられました。ソールの抜けがすごく良くてスピンがかかるのが、一番良かったです。打感は柔らかいですね」とコメントしている。
佐藤心結は5、6番にやさしい軟鉄鍛造の『258CBP』を使用。「やさしめの軟鉄鍛造モデルですけど、見た目はスッキリ見えるので、すごくいいと思います。もちろんやさしくて打ちやすいモデルですね」と語る。
アイアン選びで重要なのが、自分のプレースタイルや技術レベルと、クラブの性能がマッチしていることだろう。それには、各アイアンの寛容性、飛距離、操作性の割合を明確にする必要がある。そこで、ギアに精通するプロ・伊丹大介が試打を行い、最新の34モデルを以下の6タイプに分類してみた。
【タイプ①】ミスに強い+飛び、【タイプ②】ぶっ飛び+やさしさ、【タイプ③】バランス型(寛容性・飛距離重視)、【タイプ④】バランス型(操作性重視)、【タイプ⑤】操作性+やさしさ・飛距離、【タイプ⑥】操作性に特化
「ミート率やパワーに自信がないアベレージに合うのは、寛容性と飛距離を重視したモデル。その中で、方向安定性が第一という人はタイプ①、とにかくアイアンでも飛ばしたい人はタイプ②を選びましょう。また、ピンを狙いたいアスリートに合うのは、高い操作性を備えたモデル。その中で、ある程度のやさしさと飛距離がほしい人はタイプ⑤、緻密に距離や弾道を打ち分けたい人にはタイプ⑥が合いますね」と、ギアに精通するプロゴルファーの伊丹大介は話す。
そして、アベレージにもアスリートにも使えるのが、バランス型のオールマイティモデル。その中で、若干寛容性と飛距離の割合が高いのがタイプ③、操作性の割合が高いのがタイプ④になる。女子プロが使用するのは、主にタイプ⑤とタイプ⑥が多かった。高い操作性を備えたモデルを好むと言えよう。
以下にタイプ別と試打したクラブのリストをまとめているので、アイアン選びの際の参考にしてほしい。
【タイプ①】ミスに強い+飛び
ミート率が低くてヘッドスピードが遅めの初・中級者に合うのは、寛容性の割合が最も大きい大型&軽量モデル。その中で、球を上げたい人はロフトが多めのモデルを。
【試打リスト】
ピン:G440
ミズノ:JPX925 ホットメタル
ミズノ:JPX925 ホットメタル HL
コブラ:DS-ADAPT MAX
グローブライド:オノフ ラボスペック RB-247M
プロギア:PRGR 04
キャロウェイ:ELYTE X
キャロウェイ:APEX Ai300
【タイプ②】ぶっ飛び+やさしさ
アイアンでも飛ばしたい人に合うのは、ストロングロフト&長尺の飛距離重視モデル。球を上げるために深重心設計のモデルが多く、ミスヒットにも強い。
【試打リスト】
ヤマハ:インプレス ドライブスター TYPE/D
ヤマハ:インプレス ドライブスター TYPE/S
マジェスティゴルフ:マジェスティ ロイヤル
つるや:アクセル A40
【タイプ③】バランス型(寛容性・飛距離重視)
アベレージが求める寛容性と飛距離の割合が大きいが、安定して持ち球が打てる操作性も備えたモデル。やさしくプレーしたいアスリートも使える。
【試打リスト】
キャロウェイ:APEX Ai200
キャロウェイ:ELYTE
コブラ:KING TEC X
コブラ:DS-ADAPT
キャロウェイ:ELYTE MAX FAST
ダンロップ:スリクソン ZXi4
本間ゴルフ:T//WORLD Hx
テーラーメイド:Qi MAX LITE
【タイプ④】バランス型(操作性重視)
アスリートが求める操作性の割合が大きい中で、寛容性と飛距離をバランスよく備えたモデル。セミアスリートや、やさしくプレーしたいアスリート向き。
【試打リスト】
本間ゴルフ:T//WORLD Px
ミズノ:JPX925 ホットメタル プロ
テーラーメイド:P770
フォーティーン:TB-5 FORGED
【タイプ⑤】操作性+やさしさ・飛距離
操作性の割合が最も大きく、必要最小限の寛容性と飛距離を備えたモデル。シャープな軟鉄鍛造キャビティだが、ひと回りヘッドが大きく、タングステンウェイトなどの異素材複合型が多い。
【試打リスト】
ブリヂストンゴルフ:242CB+
コブラ:KING TEC
テーラーメイド:P7CB
本間ゴルフ:T//WORLD Vx
ダンロップ:スリクソン ZXi5
ブリヂストンゴルフ:258CBP
【タイプ⑥】操作性に特化
スピンコントロール性能が高くてインパクトのフィーリングを感じられるシャープなモデル。操作性が中心で、芯に当てられる技術とパワーがあれば自在にボールを操れる。
【試打リスト】
ミズノ:Mizuno Pro S-3
本間ゴルフ:T//WORLD TOUR V
ダンロップ:スリクソン ZXi7
ブリヂストンゴルフ:241CB
解説・試打 伊丹大介
いたみ・だいすけ/1976年生まれ。2004年プロ入り。スイング理論に精通しクラブに対する造詣も深い。現在は日本ゴルフアカデミーを主宰し、ゴルフの普及に力を入れている