最新ドライバー選びは、トゥが“速い”のか“遅い”のか、それが問題だ【記者の目】
最新ドライバー選びは、トゥが“速い”のか“遅い”のか、それが問題だ【記者の目】
配信日時:2019年1月12日 06時04分
<ソニー・オープン・イン・ハワイ 2日目◇11日◇ワイアラエCC、米国ハワイ州◇7044ヤード、パー70>
米国男子ツアー「ソニー・オープン・イン・ハワイ」の第2ラウンドが行われ1アンダー発進となった松山英樹は、5バーディ・2ボギーの「67」で2日目を終了。スコアを3つ伸ばし、トータル4アンダーで2019年初戦は無難な滑り出しとなった。
注目された2日目のドライバーも、初日同様にキャロウェイ『EPIC FLASH』だった。ドライバーを使用する回数の少ないコースではあるものの、初日からの変更はなかった。
⇒松山英樹の2019年はキャロウェイ『EPIC FLASH』ドライバーでスタート!
⇒キャロ『EPIC FLASH』か、テーラー『M5』か、どっちを選ぶべき?
■テーラーメイド発表会で聞いたハワイの“現場”話
11日、テーラーメイド『M5』『M6』の発表会が行われたが、そこで話を聞くと、テーラーメイドジャパンはツアー担当者を日本から派遣。同社のクラブを使う選手のケアとシーディング(新製品のテスト)に向かわせたと言う。現地の選手の反応はこのようなものだったそう。
「昨季、『M3 440』を使用した実績のある2選手の『M5』(460cc)『M5 TOUR』(435cc)を打ち比べた第一印象は、“460cc(M5)でもトゥが速いから小さい方じゃなくても全然いける”ということでした。前作『M3』には460ccと440ccがありましたが、“トゥが遅れる”理由から『M3 440』を使用したのです。でも、今回は460ccの『M5』でもトゥが遅れることがないので、『M5 TOUR』よりこちらの方がいいとの反応だったそうです」(テーラーメイド担当者)
誰が打ったのか? 名前を決して言わない同社担当だったが、筆者には容易に想像がつく。『M3 440』の使用実績があるハワイにいる選手といえば、おそらく松山英樹と池田勇太のことだろう。契約のない大物選手の名を同社担当が語れるはずもない。
ドライバーに極めてシビアな2人は、自分の打ち方をしたときに“トゥが遅れる”クラブを選ばないということだ。もちろん、それだけが理由ではないだろうが、かなり優先順位の高い要素なのは間違いない。
■ミズノ『ミズノプロ』の考え方は正しい!?
この話は、昨年終盤の石川遼と宮里優作の動きとも重なる。石川遼は、5年近く大型ヘッドのトゥの遅れに悩んでおり、「3Wで完璧な球が打てているけど、ドライバーだけトゥが遅れてタイミングがズレる」と度々口にし、宮里優作も「アイアン感覚で打てるドライバー」として、260ccの『TOUR B』極小プロトを実戦投入した。
一般ゴルファーからすれば、「ヘッドスピードの速いトップ・オブ・トップのプロゴルファーの感覚で、自分には当てはまるわけがない」と取るのも無理はない。だが、ミズノの最新作『ミズノプロModel-E』『同Model-S』の開発意図を聞いている筆者には、一連の話は納得がいく。“トゥの遅れ”はゴルファーなら誰にとってもスイングやタイミングのアジャストが必要で、飛距離が出るドライバーだけにとても厄介な問題だ。
⇒ミズノ『Mizuno Pro Model-E&S』のアマ試打レポ。【日本のゴルファーのための設計】に大激論
ミズノは、主に海外製の重心距離が長い大型ヘッドを車のトラックに例え、「ターンさせるのに大きな力がいる」として、重心距離が短く「スムーズにターンできる」日本人のための【スクエアストライク設計】のメリットを説く。
これは、海外ブランドと単に差別化するためだけに生まれた考え方ではない。背景には、「3Dシャフトオプティマイザー」というフィッティング機材の使用があり、日本人のヘッドターン事情のビッグデータを数万人持った上で分析した結果なのだ。
だが、筆者は「非力なアマチュアには当てはまっても、パワーのある日本のプロには当てはまらないのでは?」とミズノの説明に反論した。だが、ミズノの回答は「ヘッドスピードは速くても日本の男子プロ、女子プロにも同じことが当てはまります」と強く主張。その時点では筆者の疑念は晴れなかったが、ミズノの言葉どおりの反応がここ数ヶ月でいろんな事例として表れているのだと改めて感じる。
■“トゥが遅れる”のはドライバーだけ!?
下手な自分のゴルフに置き換えてみても、【トゥの遅れ=プッシュアウト】は常に混乱を招く。毎回プッシュが出るのなら、最初から左を向いたり、フェースを被せれて構えれば問題ないのだが、毎ホール条件の違うコースではそうとも限らない。そして、一度プッシュが出てつかまえようとすると、今度はフックが多発。アイアンまでもが左に巻き始めてメタメタになる…。
そして、プッシュが出るのは大概ドライバーだけ。これは下手な筆者に限った話ではなく、トゥの遅れが出る番手は、ほとんどのゴルファーにとってドライバーだけだと思う。トップ選手がドライバーの“トゥの遅れ”を排除するのは、そういった混乱の元を生まないための処世術なのかもしれない。最新ドライバーの試打では、トップ選手と同様の視点で“トゥの速さ”に注目するのも悪くない。
Text/Mikiro Nagaoka
米国男子ツアー「ソニー・オープン・イン・ハワイ」の第2ラウンドが行われ1アンダー発進となった松山英樹は、5バーディ・2ボギーの「67」で2日目を終了。スコアを3つ伸ばし、トータル4アンダーで2019年初戦は無難な滑り出しとなった。
注目された2日目のドライバーも、初日同様にキャロウェイ『EPIC FLASH』だった。ドライバーを使用する回数の少ないコースではあるものの、初日からの変更はなかった。
⇒松山英樹の2019年はキャロウェイ『EPIC FLASH』ドライバーでスタート!
⇒キャロ『EPIC FLASH』か、テーラー『M5』か、どっちを選ぶべき?
■テーラーメイド発表会で聞いたハワイの“現場”話
11日、テーラーメイド『M5』『M6』の発表会が行われたが、そこで話を聞くと、テーラーメイドジャパンはツアー担当者を日本から派遣。同社のクラブを使う選手のケアとシーディング(新製品のテスト)に向かわせたと言う。現地の選手の反応はこのようなものだったそう。
「昨季、『M3 440』を使用した実績のある2選手の『M5』(460cc)『M5 TOUR』(435cc)を打ち比べた第一印象は、“460cc(M5)でもトゥが速いから小さい方じゃなくても全然いける”ということでした。前作『M3』には460ccと440ccがありましたが、“トゥが遅れる”理由から『M3 440』を使用したのです。でも、今回は460ccの『M5』でもトゥが遅れることがないので、『M5 TOUR』よりこちらの方がいいとの反応だったそうです」(テーラーメイド担当者)
誰が打ったのか? 名前を決して言わない同社担当だったが、筆者には容易に想像がつく。『M3 440』の使用実績があるハワイにいる選手といえば、おそらく松山英樹と池田勇太のことだろう。契約のない大物選手の名を同社担当が語れるはずもない。
ドライバーに極めてシビアな2人は、自分の打ち方をしたときに“トゥが遅れる”クラブを選ばないということだ。もちろん、それだけが理由ではないだろうが、かなり優先順位の高い要素なのは間違いない。
■ミズノ『ミズノプロ』の考え方は正しい!?
この話は、昨年終盤の石川遼と宮里優作の動きとも重なる。石川遼は、5年近く大型ヘッドのトゥの遅れに悩んでおり、「3Wで完璧な球が打てているけど、ドライバーだけトゥが遅れてタイミングがズレる」と度々口にし、宮里優作も「アイアン感覚で打てるドライバー」として、260ccの『TOUR B』極小プロトを実戦投入した。
一般ゴルファーからすれば、「ヘッドスピードの速いトップ・オブ・トップのプロゴルファーの感覚で、自分には当てはまるわけがない」と取るのも無理はない。だが、ミズノの最新作『ミズノプロModel-E』『同Model-S』の開発意図を聞いている筆者には、一連の話は納得がいく。“トゥの遅れ”はゴルファーなら誰にとってもスイングやタイミングのアジャストが必要で、飛距離が出るドライバーだけにとても厄介な問題だ。
⇒ミズノ『Mizuno Pro Model-E&S』のアマ試打レポ。【日本のゴルファーのための設計】に大激論
ミズノは、主に海外製の重心距離が長い大型ヘッドを車のトラックに例え、「ターンさせるのに大きな力がいる」として、重心距離が短く「スムーズにターンできる」日本人のための【スクエアストライク設計】のメリットを説く。
これは、海外ブランドと単に差別化するためだけに生まれた考え方ではない。背景には、「3Dシャフトオプティマイザー」というフィッティング機材の使用があり、日本人のヘッドターン事情のビッグデータを数万人持った上で分析した結果なのだ。
だが、筆者は「非力なアマチュアには当てはまっても、パワーのある日本のプロには当てはまらないのでは?」とミズノの説明に反論した。だが、ミズノの回答は「ヘッドスピードは速くても日本の男子プロ、女子プロにも同じことが当てはまります」と強く主張。その時点では筆者の疑念は晴れなかったが、ミズノの言葉どおりの反応がここ数ヶ月でいろんな事例として表れているのだと改めて感じる。
■“トゥが遅れる”のはドライバーだけ!?
下手な自分のゴルフに置き換えてみても、【トゥの遅れ=プッシュアウト】は常に混乱を招く。毎回プッシュが出るのなら、最初から左を向いたり、フェースを被せれて構えれば問題ないのだが、毎ホール条件の違うコースではそうとも限らない。そして、一度プッシュが出てつかまえようとすると、今度はフックが多発。アイアンまでもが左に巻き始めてメタメタになる…。
そして、プッシュが出るのは大概ドライバーだけ。これは下手な筆者に限った話ではなく、トゥの遅れが出る番手は、ほとんどのゴルファーにとってドライバーだけだと思う。トップ選手がドライバーの“トゥの遅れ”を排除するのは、そういった混乱の元を生まないための処世術なのかもしれない。最新ドライバーの試打では、トップ選手と同様の視点で“トゥの速さ”に注目するのも悪くない。
Text/Mikiro Nagaoka