コブラ契約プロに共通する、ボール契約の“きっかけ”の重要度【記者の目】
コブラ契約プロに共通する、ボール契約の“きっかけ”の重要度【記者の目】
配信日時:2019年1月24日 02時58分
“当たり前”の選択から逸脱する者が現れた。今週、リッキー・ファウラーがテーラーメイドとのボール契約を発表した。その“きっかけ”に筆者は注目せざるを得ない。理由は、オリジナリティのあるボール選びをするのが「またもやコブラ契約プロ」だったからだ。
⇒リッキー・ファウラー、キャリア初のボール契約変更。まさかの『プロV1』から『TP5x』へ
人気と実力を兼ね備えた“PR効果の高い”選手には、多額なギアの使用契約金が支払われる。そのため筆者は邪推しがちで、大物プロの場合、裏側で動くおカネについつい想像を働かせてしまう。だが、プロゴルファーとメーカーとの契約内容は、絶対に表に出ることはない。日本のプロ野球選手は記者の前でなぜか球団との契約金を公開する風習があるが、ゴルフ界では皆無だ。
そこで、筆者はことさらに“経緯”が知りたくなる。表に出ない金額の話は置いておいて、何がきっかけだったのか? 今回のファウラーとの契約に関して、米国事情に詳しいゴルフジャーナリストのトム河北氏から「ライダーカップでペアになったダスティン・ジョンソンのボールを打って興味を持ったらしい」と情報をいただいた。やはり、レクシー、デシャンボーと共通したものを感じる。
■気に入って試すのが先、【契約は後から】のパターン
「選手本人が気に入って使い始めて結果が出て、後から契約することになった」というパターンが、奇しくもコブラ契約プロを中心とした大物プロゴルファーに続いている。最初のケースとなったのは、レクシー・トンプソン。本日、PGAショーに来ていたレクシーに現地記者がボールの件を聞くと、このように語る。
「フェイバリット! とても気に入ってるわ。前のモデル(ブリヂストン『TOUR B 330S』)よりも、『TOUR B X』は弾道が少し高くなったけど、吹け上がらないから距離も伸びたの。それとショートゲームは、私が気に入ったきっかけの通り、スピンコントロールがしっかりできるのもいいわね」(レクシー・トンプソン)
レクシーは、4年前ほど前から『TOUR B 330S』を契約外ながらに気に入って使い始めた。それを知ったブリヂストン側が後から「契約しましょう」となった。きっかけは先に本人がグリーン周りのスピン性能の高さを気に入ったこと。ブライソン・デシャンボーも気に入った中身は違えど、時間軸がよく似ている。
“マッドサイエンティスト”の異名をとるデシャンボー。偏芯を調べるために、自ら塩水にボールを浮かべて数多のメーカー品をテストして、ブリヂストンのボールを選び抜いていた。それを知ったブリヂストンが「契約しましょう」となった。いずれのケースもきっかけはブリヂストン側から持ちかけた話ではない。
ちなみに、クラブはテーラーメイド契約だが、タイガー・ウッズがブリヂストンと契約した経緯も有名な話。「もっとも大切なゴルフギアはボールだ」として、ナイキ撤退後、まず最初にさまざまなボールをテストして『TOUR B 330S』を選び抜き、その後にクラブはテーラーメイドを選んだ。現在も『TOUR B 330S』の後継『TOUR B S』を使っている。
■当たり前だが、コブラにボールがないため自由に選べる
なぜ、このような特殊に思えるボール選びが生まれるのか? それは、当たり前だが、コブラがクラブメーカーであって、ボールメーカーではないからだろう。そもそもボール契約も含めて縛られることがないため、他のメーカーの選手よりも自由度があるのは当然。(PINGも同様)
その点では、HONMAとの電撃契約を発表したジャスティン・ローズも同様のことを話している。「HONMAとの関係にはフレキシビリティ(契約の柔軟性)がある」と。今でこそHONMAもさまざまなボールを発売しているが、HONMAサイドはローズに自社ボールの使用を縛りつけなかった。そこが、世界一のさらなる上を目指すローズとの合意の上では重要なポイントだろう。
なにしろ、【使い慣れたクラブとボールをセットで一挙に替えることのリスク】をHONMAもよく分かっている。基準となるものをどちらかに残さないと、新しくするギアの良さを判断しづらくなる。ローズは使い慣れたテーラーメイド『TP5』を継続して使用する方針で、今季はボール契約フリーの状態で戦う。
前述のレクシー、そして今回のファウラーはいずれも長きにわたるコブラの看板選手。クラブの特性を変わらずよく理解しているため、ボールを替えることのメリット・デメリットを把握しやすいのは言うまでもない。
これは、プロに限った話しではなく、アマチュアにも同じことが言える。クラブを固定していれば、新しく試すボールの性能は体感しやすい。反対に、ボールを固定していれば、新しいクラブの性能もよく分かる。ちなみに、筆者のエースボールは『TOUR B X』と『TP5x』。(気分で使い分ける)それだけに、今回のファウラーの契約、コブラ勢のボール選択にはすごく親近感を感じている。
Text/Mikiro Nagaoka
⇒リッキー・ファウラー、キャリア初のボール契約変更。まさかの『プロV1』から『TP5x』へ
人気と実力を兼ね備えた“PR効果の高い”選手には、多額なギアの使用契約金が支払われる。そのため筆者は邪推しがちで、大物プロの場合、裏側で動くおカネについつい想像を働かせてしまう。だが、プロゴルファーとメーカーとの契約内容は、絶対に表に出ることはない。日本のプロ野球選手は記者の前でなぜか球団との契約金を公開する風習があるが、ゴルフ界では皆無だ。
そこで、筆者はことさらに“経緯”が知りたくなる。表に出ない金額の話は置いておいて、何がきっかけだったのか? 今回のファウラーとの契約に関して、米国事情に詳しいゴルフジャーナリストのトム河北氏から「ライダーカップでペアになったダスティン・ジョンソンのボールを打って興味を持ったらしい」と情報をいただいた。やはり、レクシー、デシャンボーと共通したものを感じる。
■気に入って試すのが先、【契約は後から】のパターン
「選手本人が気に入って使い始めて結果が出て、後から契約することになった」というパターンが、奇しくもコブラ契約プロを中心とした大物プロゴルファーに続いている。最初のケースとなったのは、レクシー・トンプソン。本日、PGAショーに来ていたレクシーに現地記者がボールの件を聞くと、このように語る。
「フェイバリット! とても気に入ってるわ。前のモデル(ブリヂストン『TOUR B 330S』)よりも、『TOUR B X』は弾道が少し高くなったけど、吹け上がらないから距離も伸びたの。それとショートゲームは、私が気に入ったきっかけの通り、スピンコントロールがしっかりできるのもいいわね」(レクシー・トンプソン)
レクシーは、4年前ほど前から『TOUR B 330S』を契約外ながらに気に入って使い始めた。それを知ったブリヂストン側が後から「契約しましょう」となった。きっかけは先に本人がグリーン周りのスピン性能の高さを気に入ったこと。ブライソン・デシャンボーも気に入った中身は違えど、時間軸がよく似ている。
“マッドサイエンティスト”の異名をとるデシャンボー。偏芯を調べるために、自ら塩水にボールを浮かべて数多のメーカー品をテストして、ブリヂストンのボールを選び抜いていた。それを知ったブリヂストンが「契約しましょう」となった。いずれのケースもきっかけはブリヂストン側から持ちかけた話ではない。
ちなみに、クラブはテーラーメイド契約だが、タイガー・ウッズがブリヂストンと契約した経緯も有名な話。「もっとも大切なゴルフギアはボールだ」として、ナイキ撤退後、まず最初にさまざまなボールをテストして『TOUR B 330S』を選び抜き、その後にクラブはテーラーメイドを選んだ。現在も『TOUR B 330S』の後継『TOUR B S』を使っている。
■当たり前だが、コブラにボールがないため自由に選べる
なぜ、このような特殊に思えるボール選びが生まれるのか? それは、当たり前だが、コブラがクラブメーカーであって、ボールメーカーではないからだろう。そもそもボール契約も含めて縛られることがないため、他のメーカーの選手よりも自由度があるのは当然。(PINGも同様)
その点では、HONMAとの電撃契約を発表したジャスティン・ローズも同様のことを話している。「HONMAとの関係にはフレキシビリティ(契約の柔軟性)がある」と。今でこそHONMAもさまざまなボールを発売しているが、HONMAサイドはローズに自社ボールの使用を縛りつけなかった。そこが、世界一のさらなる上を目指すローズとの合意の上では重要なポイントだろう。
なにしろ、【使い慣れたクラブとボールをセットで一挙に替えることのリスク】をHONMAもよく分かっている。基準となるものをどちらかに残さないと、新しくするギアの良さを判断しづらくなる。ローズは使い慣れたテーラーメイド『TP5』を継続して使用する方針で、今季はボール契約フリーの状態で戦う。
前述のレクシー、そして今回のファウラーはいずれも長きにわたるコブラの看板選手。クラブの特性を変わらずよく理解しているため、ボールを替えることのメリット・デメリットを把握しやすいのは言うまでもない。
これは、プロに限った話しではなく、アマチュアにも同じことが言える。クラブを固定していれば、新しく試すボールの性能は体感しやすい。反対に、ボールを固定していれば、新しいクラブの性能もよく分かる。ちなみに、筆者のエースボールは『TOUR B X』と『TP5x』。(気分で使い分ける)それだけに、今回のファウラーの契約、コブラ勢のボール選択にはすごく親近感を感じている。
Text/Mikiro Nagaoka