チャンプが『Z-STAR XV』を選ぶ理由。『プロV1』との“違い”の謎に迫る【記者の目】
チャンプが『Z-STAR XV』を選ぶ理由。『プロV1』との“違い”の謎に迫る【記者の目】
配信日時:2019年1月31日 03時10分
ダンロップから2月8日に発売される、スリクソンの6代目『Z-STAR』シリーズについて商品説明があった。同社商品企画の片山氏に、筆者は以前から疑問に思っていたことをぶつけた。
――キャメロン・チャンプは新しい『Z-STAR XV』を使用していますか?
「直近の先週はまだ5代目を使用していました。チャンプ選手はすごく『Z-STAR XV』を気に入ってくれていて、使い始めたきっかけは“一番飛距離が出る”“風に強くて直進安定性が高い”と、学生時代に自ら選んでくれたことなんです。その後、今のような活躍となりました」
――なるほど、契約する前から、チャンプ自ら飛距離性能で選んでいたと。
「はい。当社としては、【ツアーボールの中で最も飛距離が出るボール】という軸は、絶対に譲れないところ。自社でさまざまなテストをしていますが、歴代モデルでこの部分は圧倒的に他社より優位性があると自負しています。その部分をチャンプ選手に評価してもらえるのは非常にありがたいですね」
――新しい6代目は、コーティングに超分子素材『SeRM』でスピン性能がUPした?
「はい。『SeRM』で摩擦係数を14%引き上げられる上、傷に強くて、フィーリングもソフトになるメリットがあります。そのため、ボールスピードを高めるためのコアをさらに強化できたのが6代目『Z-STAR』シリーズの特徴です」
――実は去年の11月末に、ツアープロトタイプの段階で入手して、新しい『プロV1』と『Z-STAR』の性能を比較していたんです。そこで感じたことについて聞きたいことがあります。『プロV1』の方がアプローチやパターなどショートゲームの打球音が低く、『Z-STAR』の方が“キュピッ”という高音がするなぁと。これは5代目も同じ傾向だったのですが、【ショートゲームの音が『プロV1』の方が低く感じる】のはなぜですか?
「カバーの分厚さでしょうね。先程、歴代『Z-STAR』シリーズは、とにかくツアーボール最高の飛距離性能を追求してきたと言いましたが、そのためにコアをなるべく大径化し、ウレタンカバーも0.5ミリの極薄を追求しています。
それに比べて、先代までの『プロV1』シリーズは、ウレタンカバーが約0.85ミリと分厚くなっていました。その差が室内で打ったときのショートゲームの音に若干現れる可能性はあります。ただし、それは狭い室内だけ感じるものの可能性があります。屋外やコースではほとんどショートゲームの音の差はないですよ」
――なるほど。飛距離を追求しているから、カバーが薄いと。でも、『プロV1』も“新作ではボールスピードを追求した”と説明してくれましたが?
「はい。我々も新しい『プロV1』がどう変わったか? 調査したのですが、カバーがおよそ0.85ミリから0.7ミリに薄くなり、その分2層目の厚さが増して初速性能を上げにこられた印象があります。でも、我々のボールは歴代モデルから一貫して最薄のカバーで飛距離性能に自信を持っている上、6代目は『SeRM』でスピン性能やフィーリングまで大幅に引き上げられています」
――そこでまた、疑問があります。6代目の新作が表面のコーティング剤『SeRM』で粘り気が増したことは認めます。例えば、ボール同士をくっつけてこすろうとしても、びくともしないくらい、粘り気は強い。反対に新しい『プロV1』 は同じように試してもツルっとボール同士はすべりますから。でも、最大の疑問は、【それでもスピン性能は同等という事実】。表面コーティングがスピン性能の決め手になるなら、『プロV1』はスピンがかからないというロジックになりますが、現実はそうではなく、【特に『プロV1x』はスピン性能が最高レベルに高い】。これをどう説明しますか?
「それも、ウレタンカバーの分厚さで説明できます。アプローチショットの場合、ボールをつぶさないため、ウレタンカバーの設計でスピン性能に差が出ます。ここが分厚い方が溝に食い込んでフェースに乗ってスピンがかかる。ただし、ウレタンカバーを分厚くすればその分、ドライバーショットのボールスピードにデメリットが出るのも事実。
弊社の場合、飛距離性能は絶対に譲れませんので、0.5ミリの極薄ウレタンカバーは貫きます。その分、ウレタン素材自体を柔らかくしてスピン性能を担保し、今回はコーティングに『SeRM』も加え、さらにスピン性能を強化しました。『プロV1』の場合、ウレタンカバーが分厚い分、これまでのものはウレタン素材自体が弊社よりも硬いもので初速を失わないように努力されていたとは思いますが…」
――なるほど、ありがとうございました。今回の新作は、既に『プロV1』シリーズと『Z-STAR』シリーズでかなり新旧テストをやっていて、両方いいボールと分かっていたのですが、最大の疑問が解けてすっきりしました。特に旧作の5代目の方がショートゲームの音が高音だったので、それをチャンプ選手も松山選手もまだ使っているのがすごく謎ですけど。明らかにスピン性能が新作の方が上なのに…。
「5代目『XV』は松山プロがパターの時に“澄んだ高い音がほしい”と要望されて開発した面もありましたので。でも、テスト段階では“6代目『XV』の方が明らかにスピン性能が高い”と実感していいただいています」
――ありがとうございました。
Text/Mikiro Nagaoka
――キャメロン・チャンプは新しい『Z-STAR XV』を使用していますか?
「直近の先週はまだ5代目を使用していました。チャンプ選手はすごく『Z-STAR XV』を気に入ってくれていて、使い始めたきっかけは“一番飛距離が出る”“風に強くて直進安定性が高い”と、学生時代に自ら選んでくれたことなんです。その後、今のような活躍となりました」
――なるほど、契約する前から、チャンプ自ら飛距離性能で選んでいたと。
「はい。当社としては、【ツアーボールの中で最も飛距離が出るボール】という軸は、絶対に譲れないところ。自社でさまざまなテストをしていますが、歴代モデルでこの部分は圧倒的に他社より優位性があると自負しています。その部分をチャンプ選手に評価してもらえるのは非常にありがたいですね」
――新しい6代目は、コーティングに超分子素材『SeRM』でスピン性能がUPした?
「はい。『SeRM』で摩擦係数を14%引き上げられる上、傷に強くて、フィーリングもソフトになるメリットがあります。そのため、ボールスピードを高めるためのコアをさらに強化できたのが6代目『Z-STAR』シリーズの特徴です」
――実は去年の11月末に、ツアープロトタイプの段階で入手して、新しい『プロV1』と『Z-STAR』の性能を比較していたんです。そこで感じたことについて聞きたいことがあります。『プロV1』の方がアプローチやパターなどショートゲームの打球音が低く、『Z-STAR』の方が“キュピッ”という高音がするなぁと。これは5代目も同じ傾向だったのですが、【ショートゲームの音が『プロV1』の方が低く感じる】のはなぜですか?
「カバーの分厚さでしょうね。先程、歴代『Z-STAR』シリーズは、とにかくツアーボール最高の飛距離性能を追求してきたと言いましたが、そのためにコアをなるべく大径化し、ウレタンカバーも0.5ミリの極薄を追求しています。
それに比べて、先代までの『プロV1』シリーズは、ウレタンカバーが約0.85ミリと分厚くなっていました。その差が室内で打ったときのショートゲームの音に若干現れる可能性はあります。ただし、それは狭い室内だけ感じるものの可能性があります。屋外やコースではほとんどショートゲームの音の差はないですよ」
――なるほど。飛距離を追求しているから、カバーが薄いと。でも、『プロV1』も“新作ではボールスピードを追求した”と説明してくれましたが?
「はい。我々も新しい『プロV1』がどう変わったか? 調査したのですが、カバーがおよそ0.85ミリから0.7ミリに薄くなり、その分2層目の厚さが増して初速性能を上げにこられた印象があります。でも、我々のボールは歴代モデルから一貫して最薄のカバーで飛距離性能に自信を持っている上、6代目は『SeRM』でスピン性能やフィーリングまで大幅に引き上げられています」
――そこでまた、疑問があります。6代目の新作が表面のコーティング剤『SeRM』で粘り気が増したことは認めます。例えば、ボール同士をくっつけてこすろうとしても、びくともしないくらい、粘り気は強い。反対に新しい『プロV1』 は同じように試してもツルっとボール同士はすべりますから。でも、最大の疑問は、【それでもスピン性能は同等という事実】。表面コーティングがスピン性能の決め手になるなら、『プロV1』はスピンがかからないというロジックになりますが、現実はそうではなく、【特に『プロV1x』はスピン性能が最高レベルに高い】。これをどう説明しますか?
「それも、ウレタンカバーの分厚さで説明できます。アプローチショットの場合、ボールをつぶさないため、ウレタンカバーの設計でスピン性能に差が出ます。ここが分厚い方が溝に食い込んでフェースに乗ってスピンがかかる。ただし、ウレタンカバーを分厚くすればその分、ドライバーショットのボールスピードにデメリットが出るのも事実。
弊社の場合、飛距離性能は絶対に譲れませんので、0.5ミリの極薄ウレタンカバーは貫きます。その分、ウレタン素材自体を柔らかくしてスピン性能を担保し、今回はコーティングに『SeRM』も加え、さらにスピン性能を強化しました。『プロV1』の場合、ウレタンカバーが分厚い分、これまでのものはウレタン素材自体が弊社よりも硬いもので初速を失わないように努力されていたとは思いますが…」
――なるほど、ありがとうございました。今回の新作は、既に『プロV1』シリーズと『Z-STAR』シリーズでかなり新旧テストをやっていて、両方いいボールと分かっていたのですが、最大の疑問が解けてすっきりしました。特に旧作の5代目の方がショートゲームの音が高音だったので、それをチャンプ選手も松山選手もまだ使っているのがすごく謎ですけど。明らかにスピン性能が新作の方が上なのに…。
「5代目『XV』は松山プロがパターの時に“澄んだ高い音がほしい”と要望されて開発した面もありましたので。でも、テスト段階では“6代目『XV』の方が明らかにスピン性能が高い”と実感していいただいています」
――ありがとうございました。
Text/Mikiro Nagaoka