1Wの巧さが昨季76位⇒2位へ爆上げ。石川遼のドライバーは過去最強!【記者の目】
1Wの巧さが昨季76位⇒2位へ爆上げ。石川遼のドライバーは過去最強!【記者の目】
配信日時:2019年7月11日 10時41分
ここ数年、石川遼の口から何度「ドライバー」への不安や悩みが聞かれたことだろう。だが、日本プロで3年ぶりの優勝を遂げた男は、そんな過去の姿を微塵も見せなかった。腰痛で1ヶ月の離脱もあったにもかかわらず、むしろパンプアップして見えた。そして、優勝会見では、そんな過去の自分とは決別できていることを明かしている。
■ドライバーが好きな時季に近い感覚で振れている
「(勝てなかった時期も)意外と楽観的でストレスはたまらない方。ただ、気持ちよく打てない、クラブを振れない時期は、ドライバーに関しては長かった。ドライバーがよくなかったときは、“ドライバーだけが石川遼じゃない”って言い聞かせていたし、プレースタイルもドライバーでいくことに拘らなくても、って思っていた。
自分の中では、絶対にドライバーと戦っていく、ドライバーをよくするということに関しては避けては通れない道だと思ったので、去年から徹底的にやりはじめて。ドライバーを持つホールは、必ず気持ちよくという感じでやっていた。勇気のいることだけど。
それが、ちょっとずつ成功体験を増やしていけたら、ドライバーが好きだなという時期に近い感覚で振れるようになってきて、最後も結果的にドライバーでアドバンテージは握れていると思うので、そういうゴルフができれば、これからも自分らしいゴルフができると思う」(石川遼)
■昨年12月に『フラッシュSZ◆◆』で鉛1Wと決別
言葉どおり、昨季終盤はスイング改造に取り組んできたため替えられない状態だった『XR16』ドライバーのネックに大量の鉛を貼ったり、ブラッシーの投入を真剣に検討するなど、さまざまな試行錯誤をしていた。(石川担当のキャロウェイ島田氏は、真剣に小型のプロト製作を検討していた)
だが、昨年末の『エピックフラッシュ』のメディア向け発表会時には、まったく違う姿があった。「アイアンとドライバーの感覚を近づけるために鉛を貼ったけど、スピン量が多くなって。でも、『エピックフラッシュ』にすると、スピン量が下げられると気づいた。その上で、重心位置の関係か、ヘッドスピードも速くなるし、ボール初速も上がって高い球が出る」と笑顔で語っていた。
正直なところ、『エピックフラッシュ』のデビューのタイミングでもあったため、聞いた瞬間はキャロウェイへのリップサービスだと疑ってしまった。だが、デモンストレーションで、石川の言葉にまったく嘘偽りないことが判明する。
12月の寒い時季のトラックマンの試打結果でも顕著に違いが現れ、鉛を貼った『XR16』では3100〜3300回転、ボール初速73〜74m/sでMAX290ヤードだったが、『エピックフラッシュSZ◆◆』を打つと、キャリーでそのトータル飛距離を越え、MAX318.9ヤードを記録。スピン量も2200回転、ボール初速は75〜76m/sを常時記録していた。もう一度言うが、12月末に近い寒さで、この数字だ。
『XR16』とはデータに差のなかった『ローグサブゼロ』へはついに替えられなかったが、『エピックフラッシュSZ◆◆』へは、世界最速ですんなりとスイッチ。その後、腰痛などの離脱もあったものの、昨年のようにドライバーに悩んだ姿は今季見られなくなっていた。その数字は、下記のようにスタッツにもしっかりと現れている。
【2019年】 ◆EPIC FLASH SZ◆◆、◆◆◆使用
トータルドライビング:2位
(DD:5位・315y、FK:26位・57.59%)
【2018年】 ◆XR16使用
トータルドライビング:76位
(DD:22位・289.35y、FK:96位・44.5%)
【2017年】 ◆GBB EPIC STAR使用
トータルドライビング:記録なし
(DD:281.35y、FK:39.68%)
【2016年】◆BB α816◆◆、XR16 SZ使用
トータルドライビング:記録なし
(DD:288.72y、FK:48.68%)
※DD=ディスタンス、FK=FWキープ率
■今季の1Wスタッツは、現時点でキャリア最高!
このように、勝てなかった過去3年間のスタッツから今季は飛距離も方向性も大幅に向上させたことがよく分かる。そして、ドライバー巧者ぶりを示す、トータルドライビングで2位というのは、キャリア最高の順位。これまではプロデビュー年の2008年の13位が最高で、飛距離も方向性もスタッツ上はキャリア最強レベルに達していた。
この試合の途中、解説していた丸山茂樹が残り157ヤードを52°でグリーンを狙う石川の番手に「157ヤードを52°!?」と驚いていたことも印象的だが、腰痛明けとは思えないほどのパワーアップを観るものに感じさせた1シーンである。
優勝会見で本人も「十代とは体も変わってきた」と話したとおり、この3年間の紆余曲折は、後々振り返れば、必要な助走期間だったと見ることが出来るかもしれない。そして本人は「エベレストに登る」と表現するとおり、PGAツアーへの再挑戦へ地固めが着々と進みつつあると感じるのは筆者だけではないはずだ。
Text/Mikiro Nagaoka
■ドライバーが好きな時季に近い感覚で振れている
「(勝てなかった時期も)意外と楽観的でストレスはたまらない方。ただ、気持ちよく打てない、クラブを振れない時期は、ドライバーに関しては長かった。ドライバーがよくなかったときは、“ドライバーだけが石川遼じゃない”って言い聞かせていたし、プレースタイルもドライバーでいくことに拘らなくても、って思っていた。
自分の中では、絶対にドライバーと戦っていく、ドライバーをよくするということに関しては避けては通れない道だと思ったので、去年から徹底的にやりはじめて。ドライバーを持つホールは、必ず気持ちよくという感じでやっていた。勇気のいることだけど。
それが、ちょっとずつ成功体験を増やしていけたら、ドライバーが好きだなという時期に近い感覚で振れるようになってきて、最後も結果的にドライバーでアドバンテージは握れていると思うので、そういうゴルフができれば、これからも自分らしいゴルフができると思う」(石川遼)
■昨年12月に『フラッシュSZ◆◆』で鉛1Wと決別
言葉どおり、昨季終盤はスイング改造に取り組んできたため替えられない状態だった『XR16』ドライバーのネックに大量の鉛を貼ったり、ブラッシーの投入を真剣に検討するなど、さまざまな試行錯誤をしていた。(石川担当のキャロウェイ島田氏は、真剣に小型のプロト製作を検討していた)
だが、昨年末の『エピックフラッシュ』のメディア向け発表会時には、まったく違う姿があった。「アイアンとドライバーの感覚を近づけるために鉛を貼ったけど、スピン量が多くなって。でも、『エピックフラッシュ』にすると、スピン量が下げられると気づいた。その上で、重心位置の関係か、ヘッドスピードも速くなるし、ボール初速も上がって高い球が出る」と笑顔で語っていた。
正直なところ、『エピックフラッシュ』のデビューのタイミングでもあったため、聞いた瞬間はキャロウェイへのリップサービスだと疑ってしまった。だが、デモンストレーションで、石川の言葉にまったく嘘偽りないことが判明する。
12月の寒い時季のトラックマンの試打結果でも顕著に違いが現れ、鉛を貼った『XR16』では3100〜3300回転、ボール初速73〜74m/sでMAX290ヤードだったが、『エピックフラッシュSZ◆◆』を打つと、キャリーでそのトータル飛距離を越え、MAX318.9ヤードを記録。スピン量も2200回転、ボール初速は75〜76m/sを常時記録していた。もう一度言うが、12月末に近い寒さで、この数字だ。
『XR16』とはデータに差のなかった『ローグサブゼロ』へはついに替えられなかったが、『エピックフラッシュSZ◆◆』へは、世界最速ですんなりとスイッチ。その後、腰痛などの離脱もあったものの、昨年のようにドライバーに悩んだ姿は今季見られなくなっていた。その数字は、下記のようにスタッツにもしっかりと現れている。
【2019年】 ◆EPIC FLASH SZ◆◆、◆◆◆使用
トータルドライビング:2位
(DD:5位・315y、FK:26位・57.59%)
【2018年】 ◆XR16使用
トータルドライビング:76位
(DD:22位・289.35y、FK:96位・44.5%)
【2017年】 ◆GBB EPIC STAR使用
トータルドライビング:記録なし
(DD:281.35y、FK:39.68%)
【2016年】◆BB α816◆◆、XR16 SZ使用
トータルドライビング:記録なし
(DD:288.72y、FK:48.68%)
※DD=ディスタンス、FK=FWキープ率
■今季の1Wスタッツは、現時点でキャリア最高!
このように、勝てなかった過去3年間のスタッツから今季は飛距離も方向性も大幅に向上させたことがよく分かる。そして、ドライバー巧者ぶりを示す、トータルドライビングで2位というのは、キャリア最高の順位。これまではプロデビュー年の2008年の13位が最高で、飛距離も方向性もスタッツ上はキャリア最強レベルに達していた。
この試合の途中、解説していた丸山茂樹が残り157ヤードを52°でグリーンを狙う石川の番手に「157ヤードを52°!?」と驚いていたことも印象的だが、腰痛明けとは思えないほどのパワーアップを観るものに感じさせた1シーンである。
優勝会見で本人も「十代とは体も変わってきた」と話したとおり、この3年間の紆余曲折は、後々振り返れば、必要な助走期間だったと見ることが出来るかもしれない。そして本人は「エベレストに登る」と表現するとおり、PGAツアーへの再挑戦へ地固めが着々と進みつつあると感じるのは筆者だけではないはずだ。
Text/Mikiro Nagaoka