新商品なのにR&Aから違反指摘!? ザンダー問題は、計測“器差”が原因か【記者の目】
新商品なのにR&Aから違反指摘!? ザンダー問題は、計測“器差”が原因か【記者の目】
配信日時:2019年7月30日 04時05分
アメリカで話題がくすぶり続けているのは、ザンダー・シャウフェレの「全英オープン」でのドライバー反発テスト問題だ。ザンダーの主張は、R&Aが抜き打ちの反発検査を行うのはいいが、公平性と秘匿性を同時に満たしてほしいということ。わずか30名のテストで引っかかった自分の名が勝手に広がるのは不本意との気持ちは理解できる。
■国内男子では、新商品なのに2機種がアウトに
R&Aが行う反発テストの中身は、本来公開されるものではない。SLEルール遵守をPRしたいR&AやJGAは日本のツアーで行われるテストの結果をメディアに語ることもあるが、「誰が違反をくらったか?」については触れない。せいぜい、テスト総数と違反が出た数くらいのものだ。
だが、メディアにしろ、選手にしろ、「どのメーカーのどの商品がアウトになったのか?」知りたくなるのが人情というもの。興味本位な噂が広まることはままあるものだ。去る5月に行われた「アジアパシフィックダイヤモンドカップ」でも、国内男子プロたちがR&AとJGAの反発検査を受けた。そこでは意外なことに今年の新商品2機種に違反が見つかっている。
ドライバーのフェースは、打球を重ねるにつれ、摩耗し、変形し、そのCT値は当初よりも上がっていくのが常識。ヘッドスピードが速く、同じ打点で打つ人ほどその数値が上がりやすい。ところが、今年の検査では、投入されてわずか数ヶ月の新作が引っかかったことに筆者は驚きを感じた。なぜ、厳格にCT値管理されているはずのツアー支給品ヘッドにこのようなことが起きるのか。
複数のメーカーに、この回答しづらい質問をぶつけたが、当該2機種のメーカー両社以外の担当者が、匿名を条件に答えてくれた。
■計測“器差”で、違反が出ることがある!?
「R&Aが使用するペンデュラム計測器の“器差”の可能性が高いのではないでしょうか。何台かあるうちの10μsほど高く出る計測器を使用されてしまうと、メーカーが持っている自社計測器では適合なのに、抜き打ち検査で引っかかることはあるでしょう。CT値の目安は239μsを上限にR&AやUSGAは推奨してきましたが、それも器差や製造公差を含んでのことでしょう。
ルール上CT値の上限は239+18の257μsですが、本来239を上限に設計していれば、10μsほど高く出る計測器でも引っかかることはない。ですが、最近の各社のドライバーは反発ぎりぎりを謳うものも多く、仮に245〜250くらいの高い水準で設計してしまった場合、器差によって引っかかってもおかしくないと思います」(某メーカー担当者)
重ね重ね言うが、メーカー側はツアー供給品に関してセンシティブにCT値を管理している。選手はヘッドの微妙な個体差の影響でも調子を失う可能性があり、そんなリスクを負いたくないのは当然である。そして、選手に自らCT値を調べる術はなく、R&Aのテスト結果やメーカーを信用するしかない。
ザンダー・シャウフェレのキャロウェイ『エピックフラッシュSZ』が引っかかった理由が本当に計測“器差”のせいなのか、理由は定かでないし、明らかになることもないだろう。本来、この類はツアーの裏事情で公開されないことだが、海外で議論が加熱するほど、ゴルファーに『エピックフラッシュSZ』が飛ぶとの認識が広まるだけ。
ザンダーの汚名を晴らすため、キャロウェイCEOのチップ・ブリューワー氏が擁護しているが、この発言自体がメディアにとっては話題の種。英語圏のゴルファーには、ますます『エピックフラッシュSZ』の飛びの認識が広まるに違いない。
Text/Mikiro Nagaoka
■国内男子では、新商品なのに2機種がアウトに
R&Aが行う反発テストの中身は、本来公開されるものではない。SLEルール遵守をPRしたいR&AやJGAは日本のツアーで行われるテストの結果をメディアに語ることもあるが、「誰が違反をくらったか?」については触れない。せいぜい、テスト総数と違反が出た数くらいのものだ。
だが、メディアにしろ、選手にしろ、「どのメーカーのどの商品がアウトになったのか?」知りたくなるのが人情というもの。興味本位な噂が広まることはままあるものだ。去る5月に行われた「アジアパシフィックダイヤモンドカップ」でも、国内男子プロたちがR&AとJGAの反発検査を受けた。そこでは意外なことに今年の新商品2機種に違反が見つかっている。
ドライバーのフェースは、打球を重ねるにつれ、摩耗し、変形し、そのCT値は当初よりも上がっていくのが常識。ヘッドスピードが速く、同じ打点で打つ人ほどその数値が上がりやすい。ところが、今年の検査では、投入されてわずか数ヶ月の新作が引っかかったことに筆者は驚きを感じた。なぜ、厳格にCT値管理されているはずのツアー支給品ヘッドにこのようなことが起きるのか。
複数のメーカーに、この回答しづらい質問をぶつけたが、当該2機種のメーカー両社以外の担当者が、匿名を条件に答えてくれた。
■計測“器差”で、違反が出ることがある!?
「R&Aが使用するペンデュラム計測器の“器差”の可能性が高いのではないでしょうか。何台かあるうちの10μsほど高く出る計測器を使用されてしまうと、メーカーが持っている自社計測器では適合なのに、抜き打ち検査で引っかかることはあるでしょう。CT値の目安は239μsを上限にR&AやUSGAは推奨してきましたが、それも器差や製造公差を含んでのことでしょう。
ルール上CT値の上限は239+18の257μsですが、本来239を上限に設計していれば、10μsほど高く出る計測器でも引っかかることはない。ですが、最近の各社のドライバーは反発ぎりぎりを謳うものも多く、仮に245〜250くらいの高い水準で設計してしまった場合、器差によって引っかかってもおかしくないと思います」(某メーカー担当者)
重ね重ね言うが、メーカー側はツアー供給品に関してセンシティブにCT値を管理している。選手はヘッドの微妙な個体差の影響でも調子を失う可能性があり、そんなリスクを負いたくないのは当然である。そして、選手に自らCT値を調べる術はなく、R&Aのテスト結果やメーカーを信用するしかない。
ザンダー・シャウフェレのキャロウェイ『エピックフラッシュSZ』が引っかかった理由が本当に計測“器差”のせいなのか、理由は定かでないし、明らかになることもないだろう。本来、この類はツアーの裏事情で公開されないことだが、海外で議論が加熱するほど、ゴルファーに『エピックフラッシュSZ』が飛ぶとの認識が広まるだけ。
ザンダーの汚名を晴らすため、キャロウェイCEOのチップ・ブリューワー氏が擁護しているが、この発言自体がメディアにとっては話題の種。英語圏のゴルファーには、ますます『エピックフラッシュSZ』の飛びの認識が広まるに違いない。
Text/Mikiro Nagaoka