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    PGAツアーの1Wスタッツに異変。飛距離ダウンの原因は?【記者の目】

    PGAツアーの1Wスタッツに異変。飛距離ダウンの原因は?【記者の目】

    配信日時:2019年8月30日 07時39分

    • ギア
    あれれ、2019年モデルは反発が上がったはずなのに、PGAツアーのドライビングディスタンスが下がっています…
    あれれ、2019年モデルは反発が上がったはずなのに、PGAツアーのドライビングディスタンスが下がっています… (撮影:GettyImages)
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    ツアー選手権」は飛ばし屋のローリー・マキロイの優勝で幕を閉じ、2018−19のPGAツアー全日程を終えた。そこで、昨季と今季でドライビングディスタンスに変化があったのか、数字を振り返ってみたい。まずは、昨季と今季両方のスタッツを記録する選手の平均値で、どのくらい飛距離に変化があるのかを見ていこう。

    ドライビングディスタンス(ALL DRIVE)は、2018年が297.6ヤード、2019年が294.3ヤードと、昨季よりも3.3ヤード減となっていた。昨季より伸びたのは147人中わずか30人と、ツアー全体の数字が下がる結果となっていた。テーラーメイド『M5』、タイトリスト『TS3』など、フェースの反発性能を大幅に引き上げた最新モデルを使用したはずで、意外な結果だと言えるだろうか。

    ■ボール初速もスピン量も下がっているわけではない

    飛距離ダウンの原因は何か? 飛びの3要素である、【ボール初速】【スピン量】【打ち出し角】【キャリー】のツアー全体の平均値を、昨季(左)と今季(右)で下記を見比べてみよう。

    【ボール初速】
    169.63マイル/秒 → 170.96(約0.59m/sアップ)
    【スピン量】
    約2635rpm → 2636(全く変わらず)
    【打ち出し角】
    11.06度 → 9.96(約1.1度ダウン)
    【キャリー】
    278.3y → 280.6(2.3yアップ)

    データ上では、190人近い選手の平均値で、ボール初速は約0.6m/sアップしており、やはり2019年モデルの反発力アップの影響を感じずにはいられない。また、スピン量は変わらず、キャリーは全選手の平均で2.3ヤードも伸びる結果となっていた。

    ■地面の柔らかさと天候によるランの減少が原因か

    飛距離への70%も影響すると言われる【ボール初速】が上がり、実際【キャリー】も伸びたのに、ほとんどの選手の平均飛距離が下がったのは【ランが減った】から。そして、昨季より着弾地点の地面が柔らかく、天候の影響が一番大きいと考えられる。

    だが、PGAツアーウォッチャーの筒康博は【打ち出し角】の変化から、下記のような見立ても成り立つと話していた。

    「全選手の平均データで、【打ち出し角が1.1度も低くなる】とは驚きです。このことから、PGAツアープロたちが、より【曲げたくない方向にシフトしている】のは明らか。ボール初速が各社の2019年モデルで上がって【距離が余った】からこそ、より弾道を抑えて曲げない方向に選手がシフトしたんだと思います。

    特にPING契約プロの飛ばし屋の多くは、リアルロフト7度台を選び、一番ミスに強い『G400MAX』を選ぶ傾向もありますし。昨季は下部ツアーで平均343.1ヤードも飛ばしたキャメロン・チャンプ選手が今季318ヤード(両方で1位)に下がったのも、より曲げないことを優先するからでしょう。まぁ、途中のケガの離脱の影響も考えられますけど。

    打ち出し角を上げてアッパー軌道に変えれば20ヤード以上距離を伸ばせると分かっていても、低い球で曲げないことを選ぶ。飛距離が余っているチャンプ選手だからこそ出来る選択ですが、他の多くの選手にも、2019年モデルの反発が上がった影響は、より左右の曲がりも減る方向に波及すると思います」(筒康博)

    そこで、全選手の【ドライビングアキュラシー=FWキープ率】を確認してみると、昨季が「61.488%」だったのが、今季は「62.638%」と、約1.2%の上昇が見られた。この約190人の平均データを誤差の範囲と見るか、大きな傾向と見るか。筆者は筒が言う「飛距離が余るから、方向性が上がる」という大枠の流れが【来季以降も加速する】と感じる。

    Text/Mikiro Nagaoka

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