飛距離を求めるなら軟らかいフレックスがいい【QPのギアマニュアル】
クラブフィッターとしてアマチュアゴルファーと向き合っている、QPことプロゴルファー関雅史が最新のギアマニュアルを紹介する。今回はドライバーのシャフトフレックスのお話。
配信日時:2023年11月28日 03時28分
最近はレッスンやクラブフィッティング、メディアやイベントの出演などのお仕事をやらせていただいておりますが、これでも10年ほど前にはドラコン競技なんぞに出ておりましてですね……。お陰様で当時は382ヤードなんていう記録も出させていただきました。私はけっして大柄な方ではなく、ヘッドスピードもむちゃくちゃ速いわけではありません。ドラコン競技に出場するにあたり、効率よく飛ばすためにクラブの研究から始めました。
まずはシャフト選びから始めよう!ってことで、うちのお店にある試打シャフトを既成概念を取っ払って全て打ってみました。その中で一番飛んだシャフトが、なんと手でも曲がるくらい軟らかいフレックスのシャフトだったのです。重さこそ50グラム台ですが、フレックスで言うとレディース(L)よりも柔らかいシャフトでして、まさかコレが自分にとって一番飛ぶシャフトになるとは……っと、非常に驚いた記憶がございます。
実はコレ、みなさんにも当てはまる現象なのです。飛ばそうと思ったらシャフトフレックスは軟らかいほうが、しなり戻りが大きく強くなるので大きな力を出せます。
でも、プロゴルファーやトップアマの方はそういうシャフトを選びませんよね?それはなぜかといいますと、軟らかいシャフトが最大に飛ばせる条件を満たすのは「芯に当たった時のみ」なんです。しなり戻りのタイミングがドンピシャに合うと、本当に飛びます。
シャフトは、ボールを遠くへ飛ばすために必要な横しなりだけではなく、ヘッドが下に垂れる方向、つまり縦方向にもしなります。その現象をヘッドのトゥ側が落ちる動きになるのでトゥダウンと呼ぶのですが、その動きが強くなる軟らかすぎるシャフトを使うとプレーヤーが意図しない縦方向にヘッドが大きく動いてしまうので、芯に当てることが非常に難しくなってしまうのです。
飛距離を出す第一条件は「芯に当てる」こと。上級者はそれをよく知っているので、ある程度しっかり感のあるシャフトフレックスを前提にモデルを選別しています。
それに軟らかすぎるフレックスはミスヒットにも弱くなります。トゥダウンでヘッドが大きくブレやすいのに加えて、さらにミスヒットしやすくなるのです。言い換えると硬いシャフトは曲がりづらいとも言えます。
ティショットが苦手で曲がり幅の大きいプレーヤーはやや硬めを選ぶと、その曲がり幅を小さくすることができるのです。
最近では、5Xなどシャフトを軽く硬くする、いわゆる〝カルカタ〟が流行っていますが、それは飛ばすためにというよりは、軽さでコントロールを容易にして、硬さでブレを抑えて芯に当てやすくするのが狙いです。カルカタだとシャフトを長尺化できるので、飛ぶという方向にもつなげていけるのです。
みなさんは『自分はヘッドスピードが40チョイくらいだからSかなぁ……?』って漠然とシャフトフレックスを選んだりしてませんか?もちろんそれも目安にはなりますが、飛びを求めるならちょっと軟らかめのシャフト、方向性を重視したいなら硬めのシャフトとを選ぶなど、フレックスを利用すると、さらにあなたのプレースタイルに合わせた使い方ができると思います。
関雅史(せき・まさし)/1974年生まれ、東京都出身。PGA公認A級ティーチングプロの資格を持ち、クラブフィッティングも行う。東京・駒込のゴルフスタジオ「ゴルフフィールズ」で活動。
QPのギアマニュアル