QPさんが分析!やさしくなったと評判の『ステルス2』。3機種に最適な人とは?
昨年、一躍話題をかっさらった「カーボンウッド」。ドライバーの新時代を切り拓いたテーラーメイドが今年『ステルス2』で第2世代を発売。「やさしくなった」と評判の3機種は、一体どんな人に合うのか?QPさんの徹底試打レポート!(撮影・山代厚男 取材協力・武蔵丘ゴルフコース)
配信日時:2023年2月23日 22時51分
「やさしさ」の理由は、カーボンの増量!
昨年の『ステルス』はソールはもちろん、ボディ部の大部分がチタン製だった。ところが、今年の『ステルス2』は、新たに【カーボンソール】と【特殊強化カーボンコンポジットリング】を採用し、ヘッドに使用するカーボン容量を大幅にアップさせた。
同社のドライバー史上初めて、金属の使用量をカーボンが上回り、軽量化で生まれた余剰重量の重量配分を最適化。これによって慣性モーメントが飛躍的に向上し、再現性の高いショットが可能になったため「やさしさがアップした」と誰もが感じる仕上がりになったと、QPさん。また、3機種とも「打感がソフトになったのに打球音も弾く高音。その上、初速も芯を外してもしっかり出る」と言う。
新構造になった60層カーボンツイストフェース設計により、エネルギー伝達効率が向上、さらなるボールスピードの高初速化が実現。更に『インバーテッド・コーン・テクノロジー』というフェース裏側の肉厚に変化が生まれている。真ん中部分が厚くて周囲が薄い構造は、ミスヒット時のボール初速の低下を抑え、安定性と再現性を拡大させるのだ。その他、軽量化で生まれたヘッド後方のウェイトも重さを増し、「ラクに打ち出し角を上げられる」とのこと。
単なるオートマじゃなく「コースで本当に飛ぶ」
これらテクノロジーの進化によって、カーボンウッド第2世代の「やさしさ」の中身とは「端的に言えば、ミスヒットに強く、つかまって・上がること」だとQPさんは言う。
「3機種にそれぞれ最適なターゲットゴルファーがいるため、ヘッドスピードを打ち分けて今回は旧作と徹底比較してみました。特に感じたのが『ステルス2』のカバー範囲の広がりです。打感がソフトで弾く高音になり、つかまりとミス許容が引き上がっています。HS41~43m/sで適度なスピンでハイストレート系になるド真ん中なので、まず、ここから試せば必ず合う物が見つかるはずです」
ハイドローの略である『ステルス2 HD』も同様に「つかまり・上がりやすさ・ミス許容が旧作よりも大盛りになっていますね」とか。こう聞くと、我々アマチュアゴルファーには平均飛距離が伸びそうだが、一発の飛びを気にするアスリートゴルファーにはどうなのか?
「テーラーメイドさんのドライバーの一番の魅力は歴代飛びですが、『ステルス2 プラス』の高初速・低スピン・強弾道も相変わらず。昨今はオートマチックでミスに強いモノが人気ですけど、一番大事なのはコースで狙い通りの球が打てること。その意味で、3つともミス許容を増しつつ【コースでこそ飛ばせる】性能を磨き込んで、より実戦的になった感じ」
『ステルス2』はとにかく【真っすぐ】打てる
では、3機種それぞれが「どんなゴルファーに合うのか?」を深掘りしてもらおう。まずは、ど真ん中の『ステルス2』から。
「今回は3機種とも純正シャフトのSで、ロフト9°に揃えた結果の印象ですが、HS40~44m/sと最も幅広く対応できるけれど、ど真ん中が42m/sくらいの人に最もフィットするのが『ステルス2』ですね。打ち出し角が旧作より高く、安定したスピンが入る印象で、ミスヒットでも中・高弾道ストレートでドーンと真っすぐにネジレない球が打ちやすいです。
フェード/ドローを打ち分けるというより、とにかく真っすぐ安定させたい人にオススメで、インパクトの再現性に不安のある人や、球が低くなりがちで、キャリー不足の方には真っ先に試してほしいと思います。つかまりを求める方向けのドローバイアスは感じなくて、ニュートラルに真っすぐシンプルに素直な球が打ちたい人に最適なモデルだと感じます」
HS43m/sで3機種を打った平均結果で、『ステルス2 HD』が250.4ヤード、『ステルス2 プラス』が238.5ヤードに対して、『ステルス2』は258.6ヤードと最も飛ぶ結果に。やや右に出る球でもスライスせず真っすぐ飛んで260ヤード超も記録していた。
旧作はマットクラウンだったが「ここは好みですね」と言いつつも「一般には艶のあるグロス仕上げの『ステルス2』が好きな人の方が多いはず。構えた時の周囲に見える赤いリングもタイガー・ウッズ選手が好きだと言っていたくらいだから、そういうことでしょう!」とQPさん。
『ステルス2 HD』は、ハイドローが打てる
次に、前作『ステルスHD』と同様にHD=ハイドローの名を継承させた、『ステルス2 HD』について。今度はHS40m/sで打った結果が平均234.4ヤードと、3機種の中で最も飛ばせる結果が出た。中弾道でランの出た球でMAXはこのHSでも241ヤードを記録した。
「前作よりもつかまるし、格段にやさしくなった感じがします。『ステルス2』は打感がソフトになって、パキン!と弾く高音になっているので、HS40m/s前後に落として打っても非常に気持ちいい打感で普通に打ってドロー系の球になりますね。打点がズレても初速が落ちずに高打ち出しになるのが印象的で、適度なスピン量が入って効率よくキャリーを稼げる印象がします。
弾道が低めで、スピン量が足りずにドロップしがちな人は、『ステルス2 HD』で基本的に間違いないと思います。あとは、打ち出し角が低い人ですね。低スピンモデルでフェースが閉じて当たるとHSの遅い方はキャリーが減りがちですけど、『ステルス2 HD』なら打ち出し角を上げられるので、効率よくキャリーを稼げると思います」
HSを落として打っても、本球を打つと「すごくソフトというか、フェースのたわみを感じます」とのこと。「純正シャフトは『ステルス2』と同じでしなり量が多めでタイミングの取りやすい全体しなり。直進性のある『ステルス2』を打ってみて、少し振り遅れて右に出るような方は、迷わず『ステルス2 HD』をオススメしますね」。
『ステルス2プラス』は、強弾道で実戦向き!
最後に、HSの速いQPさんにとって「本命」と言える、『ステルス2 プラス』について。前作『ステルス プラス』も高く評価していたQPさんは、しみじみとこう話す。
「今回の『ステルス2 プラス』は前作『ステルス プラス』とシルエットは変わりませんが、マットクラウンからグロス仕上げになってよりやさしさを感じる仕上がりになりましたよね。実際、芯近くで捉えると71m/s近くと初速がすごく出て強弾道な点は変わりません。でも、ちょっと外した時に『ステルス2 プラス』はミート率1.5近くが出てくれて、芯を外してもロスが少なくなってます。加えて、一番いいのは、弾道を操れることですよね。
ボクは元々重心の深いドライバーは苦手で、ホールロケーションや風など状況によって色々な球を打ち分けたいタイプ。他社と違ってテーラーメイドさんの良いところは、この状況に応じて弾道を作れるところ。『ステルスプラス』もそうでしたが、『ステルス2 プラス』になっても、その良さが確実にキープされた上で、ミスにも強くなってます。コースで本当に飛ばせるのは、こういうドライバーのことを言うんですよね」
出やすい弾道で選ぶと、こうなる!
今回、3機種のうち、誰にどのようなモデルが合うのか、ヘッドスピードを分けて試打した結果が上記のデータだ。ご覧のように、QPさんのHSでは『ステルス2 プラス』が最も飛ばせる結果で、一発の飛びではHS47m/sで最長293ヤードをマーク。それぞれ、まずはHSに合わせて選ぶことで『ステルス2』や『ステルス2 HD』の恩恵を受けられることが分かる。QPさんの試打データを参考に、アナタもぜひ店頭で試してほしい。
●試打・解説/関雅史プロ
ご存知・様々なメディアで引っ張りだこのギア賢人。前作『ステルス』の球筋を打ち分けられる実戦的な性能と飛距離を高く評価している
●取材協力/武蔵丘ゴルフコース、FULL SWING JAPAN
●撮影/山代厚男、GettyImages