フェアウェイウッドのチョロの原因は、FP値が大きいから!?【QPのギアマニュアル】
クラブフィッターとしてアマチュアゴルファーと向き合っている、QPことプロゴルファー関雅史が最新のギアマニュアルを紹介する。今回はフェアウェイウッドのFP値の話。
配信日時:2023年9月27日 06時26分
前回はウェッジのFP(フェースプログレッション)値について取り上げました。今回はフェアウェイウッド編。苦手な人も多いと思いますが、重量と同様、スイングを変えずにFP値を見直すだけでも苦手意識を払拭できます。シャフトの真ん中とリーディングエッジまでの距離を指すFP値。フェアウェイウッドはみんな似たような形状に見えますが、モデルによってFP値に差があり、スイングタイプによって合う、合わないがあります。
ドライバーを含むウッド類はアイアンやウェッジと比べて、構造上FP値が大きくなります。アイアン類にはシャフトを挿すためのネックがあるため、FP値は比較的小さく設計できます。対してウッド類はフェース面の後ろにボディがあり、そのボディに直接シャフトが挿さっているため、どうしてもフェース面が前方に出てしまうのです。
FP値が大きいとリーディングエッジが前に張り出す形になるため、インパクトのタイミングが早くなります。ということは、FP値が大きいフェアウェイウッドは、アイアンよりインパクトのタイミングが早くなるわけです。ソールを滑らせて払うように打つ方にはあまり関係ありませんが、アベレージゴルファーに多い、アウトサイドインに上から打ち込むタイプの人は注意が必要です。
FP値の小さめなアイアンなら、多少打ち込んでもボールをミートすることはできます。しかし、アイアンよりもFP値が大きいフェアウェイウッドだと、フェースに当たる前にリーディングエッジがボールの赤道付近に当たって、トップや、最悪の場合ソールでボールを打つチョロになってしまいます。アイアン型のユーティリティが打てても、ウッド型のユーティリティでミスが多いというのも同じ現象といえます。
フェアウェイウッドはアイアンと比べると総じてFP値が大きくなりますが、スイングスキルの高いプロや上級者が好むフェアウェイウッドは、FP値が大きくなる傾向にあります。
飛距離の出るフェアウェイウッドは、つかまりすぎによる左のミスは大ケガにつながります。FP値が大きく、リーディングエッジが前方に出ていると、つかまりにくくなるので左へのミスを防げます。また、ボールに直接コンタクトしやすいので、少々芝に沈んでいても当てやすくなります。ボール位置を左側にずらして高いボールを打ったり、カット軌道でフェードを打つなど多彩なショットが打てるのです。200ヤード以上の距離でも、ピンポイントにグリーンを狙うプロや上級者には重要な性能になります。
フェアウェイウッドに苦手意識のある方は、プロが使用するようなモデルを使っているケースが多く、難しいものを選んでいるといえます。フェアウェイウッドはFP値の大きいモデルばかりではありません。アベレージゴルファーがミートしやすいようにFP値の小さいモデルもたくさん市販されています。フェアウェイウッドが苦手という方は、まず今お使いのクラブのFP値をチェックしてみましょう。今よりもFP値の小さいモデルに替えるだけで、スイングを変えなくてもかなり改善されるはずです
関雅史(せき・まさし)/1974年生まれ、東京都出身。PGA公認A級ティーチングプロの資格を持ち、クラブフィッティングも行う。東京・駒込のゴルフスタジオ「ゴルフフィールズ」で活動。
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