契約して丸7年、天才・タイガーに「技術者達は天才だ!」と言わせた、ブリヂストンの新『TOUR B X/XS』の性能進化とは?
ブリヂストン『TOUR B X/XS』が生まれ変わる!
配信日時:2024年1月25日 10時54分
25日、都内でブリヂストンの新商品発表会が行われ、『TOUR B X/XS』ボールの新作がお披露目された。また、既に昨年のプロトタイプ時から実戦投入済みの宮里聖志・優作、堀川未来夢、清水大成、原英莉花、桑木志帆、馬場咲希らが口々に新作の良さを語った。
■タイガーが求めた、アプローチのDEEP感
長く同社と契約し、歴代ボールの進化を実感する宮里兄弟が「もうこれ以上のボールは無いと思った」と言う通り、これまでの『TOUR B X/XS』に堀川未来夢も「不満は無かった」と話す契約プロたち。かねてからタイヤのスリップ防止に始まる“接点の科学”でスピードとスピンのコントロール性能を磨き込んできたため、選手たちから「満足しているから新作を大きく変えないで」と言われてきたそう。
開発陣もこの反応に悩んだそうだが、方向に光をくれたのはタイガー・ウッズ。2016年途中にナイキが撤退した後、あらゆるボールを試して「最も重要なギアはボール」と、17年1月からBSを選んだ糸巻き育ちの天才は「欲を言えばアプローチのDEEP感がほしい」とリクエスト。神がかり的なショットでゴルフ界を押し上げたレジェンドは、マウスをカチカチ鳴らすような“Clicky”な音と対極のDEEPな音こそ、イメージ通りのボールだと言う。
「新しい『リアクティブiQウレタンカバー』で、ソフトでDEEPな音をアプローチやパッティングで実現できている。一方、1Wでは大きな飛距離が得られるボールになって約1m/sボール初速も上がった。これはツアーレベルでは大きな違いで、アゲンストの風に強い弾道も本当に素晴らしい。今までよりアプローチで2~300rpmスピンも増え、本当に驚いたのは、本来スピンをかけにくいライからでもスピンをかけられること。ボクがゴルフを始めた時は糸巻きバラタボールかサーリンカバーのボールがあったけど、サーリンだと高いClickyな音がして、バラタは柔らかくDEEPな音だった。
Clickyは飛距離を意味し、DEEPはスピンとコントロールを意味した。ボクはDEEPを好み、Clickyだと球離れが早くてショートゲームやパットをコントロール出来なかった。ポンッと高く出るとショットをイメージできない。抑えが効いてスピンもかかるDEEPな音のボールだと、イメージ通りに弾道をコントロールできるんだ。新しい『リアクティブiQウレタンカバー』がそれを可能にした。パッティングも含め、ボクが大好きな、よりDEEPな音がする。ブリヂストンの技術者達は天才だ。素晴らしいのはショートゲームのスピン性能をアップさせながら、ロングゲームで飛距離アップさせたことだね」(タイガー)
ウレタンカバーに、新たな制音・衝撃吸収材を加えた新しいカバーは特許出願中とのことだが、DEEP感の実現だけで飛びが解決するわけではない。同じく特許出願中の2層目の「Newハイスピード・インナーカバー」にも重要な性能アップが隠されていた。
■風に強くアイアンの距離が安定し、傷に強すぎる!
同社の開発陣は、一部のプロの「前作より風に強くしてほしい」という要望にも取り組んだ。この要求には2層目のインナーカバーの剛性を上げるのが手っ取り早いのだが、耐久性が悪くなるデメリットもある。そこで、強みの高分子材料技術を活かし、2層目に数十種類から選びぬいた充填剤をブレンドした結果、高剛性かつ耐久性のあるNewハイスピード・インナーカバーが完成した。
新しいインナーカバーは比重も高めてボール自体の慣性モーメントも上げられたため、風に強い伸びのある弾道だけでなく、アイアンのスピンを適正化し、タテ距離の安定にも繋がるとか。また、糸巻き育ちのタイガーが求めるフィールは、未経験の選手にも好評だった。『X』の使用者で元々球が高かった原英莉花は、DEEP感を増した『X』を初めて打った時「この打感だと上がっちゃうのでは?」と思ったとか。ただ、それは過去の経験から来る杞憂に終わり、新しい『X』は強い弾道でスピンも適正になったと話す。
前述の通り、DEEP感のためにウレタンカバーに制音・衝撃吸収材を加えたが、同時に傷に強いカバー耐久性も引き上げている。堀川未来夢も「他の選手は3ホール毎にボールを替えるけど、正直1球でラウンド出来るくらい傷に強い。1ダースで12ラウンド出来るくらい(笑)それに水滴や泥も付きづらく、総合力が高い」と言う。
これには登壇者全員が頷き、宮里聖志が「こんなに耐久性を強くしちゃって大丈夫ですか?」と消耗品であるボール売上の心配をしたほど。また、聖志は「宮本勝昌と金谷拓実が『XS』も試している」と、従来の『X』ユーザーのテスト状況を明かしたが、反対に『XS』派だった桑木志帆は新作で『X』へ移行したとか。理由は、スピン量が抑えられて1Wの飛距離を大きく伸ばせたことも一因で、聖志らが心配するアプローチのフィーリング面もDEEP感が増したため、“イメージ通り”に移行が進んだとか。
発売は2月9日で、両機種ともウレタンカバーの3ピースでオープン価格。ホワイト、パールホワイト、イエロー、コーポレートカラーの4色展開となる。