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2年目の方が売れた、オバケのような『G430』の性能をどうやって越えたのか?【PING岡田健二社長・単独インタビュー】

2年目の方が売れた、オバケのような『G430』の性能をどうやって越えたのか?【PING岡田健二社長・単独インタビュー】

昨日発売を迎えた、PING『G440』シリーズについて。

所属 ALBA Net編集部
ALBA Net編集部 / ALBA Net

配信日時:2025年2月6日 23時00分

「日本人が好む要素をしっかりと『G440』に反映させられています」(岡田氏)
「日本人が好む要素をしっかりと『G440』に反映させられています」(岡田氏)

2022年11月に発売された『G430』シリーズは、2年以上にわたって売れに売れた。1年サイクルで新作を出す海外メーカーが数多く、必ず「マークダウン」の手法が取られるのが常だが、PINGの場合は異例中の異例で「2年目の方が売れた」。そのオバケのような『G430』シリーズの性能をどうやって『G440』は超えたのか? PINGゴルフジャパン株式会社、代表取締役社長の岡田健二氏に聞いた。

■売上を作るために新作を出す概念がない
 
創業者カーステン・ソルハイムから現在の3代目社長ジョン・K・ソルハイムまで、ファミリー企業らしいのは「売上を作るために新作を出すとの考えがない」ところ。昔から「前作を明らかに性能で上回らなければ、新作を発売できない」とのエンジニア魂が貫かれている通り、各クラブの販売期間は伸びたり短縮したり色々だった。
 
岡田氏は「過去に何回か発売を遅らせたモノもあったかと思いますが、【良いものが出来なかったら伸ばすこともあるよね】が当たり前の社風」と笑う。そして、2年3ヶ月も経って、ようやく新作『G440』シリーズの発売を迎えたわけだが、気になることが一つある。それは、「テーラーメイドと開発ロジックが似ている」こと。ずっと前からトータルMOIの大切さを標榜してきたPINGだが、近年テーラーメイドも追随し、今作ではPINGも高MOIと低重心の両立を謳った。
 
これはテーラーメイドの新作『Qi35』シリーズの開発テーマとほぼ同じで、高MOIと低重心は相容れない要素だったが、PINGもテーラーメイドも両社が同じ方向で両立に成功したモデルとして2025年の新作を出す形。このロジック被りについて岡田氏は平然とし「PINGの優位性はフィッティングになってくると思います」と言う。
 
「テーラーメイドさんの新作を見ていないので何とも言えませんが、ヘッド開発テーマやメッセージが似ているのは当然、物理なので、そこはどうしても似る部分は当たり前だと思います。じゃあ、その中でよりPINGがいいよ、なんでPINGを選ぶべきなのと聞かれれば、やっぱり【フィッティング】という言葉が出てくるんだろうなと思います」(岡田氏)
 
■20年前より遥かにフィッティングが浸透
 
岡田氏の入社は2004年のこと。当時のドライバーは『Si3』というライ角調整ができるフィッティングヘッドで、340ccと380ccの2種類が用意されていた。「その入社翌年に『G』シリーズの誕生となる、460ccの『G2』というヘッドが誕生して以降、ずっと大きなサイズですね」と入社当時を振り返る。
 
また、当時の日本の市場環境から「20年前はこんなにフィッティングという言葉が浸透するとは思わなかった。日本人のゴルファー側から、どんどんと我々が大事にしてきたフィッティングの方向へと寄ってきてくれたのが恵まれていた」とも振り返る。そして、この20年間のうちに、PINGゴルフジャパン側から「日本人のモノに対する繊細さ」を米国に伝え続けたことも大きいと言う。
 
「20年前って、アメリカのものづくり精神が【真っすぐ・やさしく・遠くまで飛べばそれが正義でしょ】という考えがすごく強かったんですよ。当然それは合ってるんですけど、その他の要素は【見た目や打感はもう二の次だ】っていう……。そのバランスが日本市場とズレていたと思います。徐々にアメリカもその点を気にするようになってきたし【アジアで受け入れられるのはこういう商品だ】と少しずつ理解してくれました。『G425』から『G430』になる前にも、打感や音・仕上げにかなり要求しましたし、段々とそこも順応できる形になってきましたね」(同)
 
昔と今の考えの違いを表すひとつの例が「アイアンにソケットが無かったこと」。わずか15年ほど前までは「PINGのアイアンにはソケットが付いていなかったんです」と笑いながら振り返る。「確かに接着強度にソケットは影響しないんですが、ちょっと前までアイアンやウェッジにソケットが無かったなんて、最近入った社員も驚くことが多いですね」。
 
この20年で、日本人がフィッティングを大切にするようになった市場の変化と、日本人が求める繊細さを徐々に具現化できるようになったPINGのモノづくりの進化が、『G430』のヒットの背景にあると言う岡田氏。この2点はキープした上で、さらに低重心化と長尺化で「飛び」が進化したのが『G440』ということのようだ。

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