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ゴルフプライド生誕75周年。今知るべき「伝統」と「革新」とは?

ゴルフプライド生誕75周年。今知るべき「伝統」と「革新」とは?

画像・日本フェイウィック、GettyImages

所属 ALBA Net編集部
ALBA Net編集部 / ALBA Net

配信日時:2024年12月26日 07時15分

ーー「ゴルフプライド」は1949年の生誕から75周年を迎えた。その歩みを振り返ると、一つひとつが革新の連続で、同社の歩みが今日のゴルフグリップの礎を築いたことがよく分かる。今、ゴルファーが知るべき、その伝統と革新とは?ーー
 

全てにOEM供給する業界の〝スタンダード”

 
ゴルフメーカー数あれど、『ゴルフプライド』ほどの比類なき歴史を持つ社はない。それまで革巻きグリップだった1940年代、エアークラッチブレーキの発明者でもある実業家のトーマス・L・フェイウィック氏は「ラバーは安全性と耐久性で革製グリップに優るはず」と着想。49年にゴルフプライド社を設立して以後75年にもわたり、大半のメーカーの「OEM グリップ」に採用される“スタンダード”であり続ける。

【創業者】トーマス・L・フェイウィック/オハイオ州クリーブランド出身の実業家で、空気圧クラッチとブレーキを発明した経験を持つゴルフ愛好家。当
時、革巻きグリップしか無かった時代にゴム製グリップ「Golf Pride」を実現し、1949年に創業した

【創業者】トーマス・L・フェイウィック/オハイオ州クリーブランド出身の実業家で、空気圧クラッチとブレーキを発明した経験を持つゴルフ愛好家。当 時、革巻きグリップしか無かった時代にゴム製グリップ「Golf Pride」を実現し、1949年に創業した

革より軽いゴムは、衝撃吸収・感触・耐久性と全てに優れて置き換わったが、より大きな革新は53年の「スリップオン」グリップの導入だ。今でこそ当たり前だが、この発明はクラブメーカーにとって完璧なものだった。生産リードタイムとコストを大幅改善し「貴族の遊び」時代の延長上にあったクラブ製造を「工芸品」の域から工業化に成功
 

53年の「スリップオン」の発明が全てを変えた

 
グリップの性能面でも生産効率の面でも「工業品」に押し上げる契機になり、ピンの創業が69年、テーラーメイドが79年、キャロウェイが82年といった具合で、我々が気軽にゴルフを楽しめる今日があるのも、ゴルフプライドの発明あってこそと言っては大げさだろうか。

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ところで、80年代から親しむ人は年表の『ヴィクトリー』と同じ緑のデザインの『グリップライト』『スイングライト』を懐かしむ人も多いだろう。加えて、90年代初期の代表作『ツアーラップ』や、95年から現在まで「グリップのスタンダード」として有名な『ツアーベルベット』を愛用し続ける人も多いはず。
 
ちなみに、97年に「マスターズ最年少優勝」した選手のキャリアで不変なのが『ツアーベルベットコード』だ。同社は58年からメジャー覇者を生み続けることから分かる通り、クラブとの唯一の接点に替えは効かない。

そのため、どんな強い選手とも契約することなく、8~9割の選手が自ら好んでゴルフプライドを使用してきた。神経が集まる指先に、常人より遥かに繊細な感性を持つ選手たちの手は、グリップを通してシャフトのしなりやヘッドの動きを感じ取る根幹をなすため、それも当然のことと言えるだろう。
 

ヘッドが大型化してもテーパーレスで対応

 
04年、現在まで続く新たなスタンダード『MCC』を発売した同社。手元側が滑りにくいコード入りで、利き手の部分は繊細なフィールという、相反する要素を一つにした革新的な全天候型グリップは、瞬く間に世界のトップ選手に受け入れられた。

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(撮影:GettyImages)

そして、14年にソフトなテーパーレスの『CP2 ラップ』と兄弟作『CP2 プロ』、翌15年には利き手の部分が下巻テープ4重相当のテーパーレス『MCC プラス4』を発売するなど、細かなテーパーを再設計する革新の連続で、ヘッドの大型化による選手のスイング変化にも対応。
 
背景には、R&Dなど様々な施設を統合し本社を「パインハーストナンバー8」内に移したことも大きい。その場で即試作&テスト可能な施設を得たことで、企画→試作→テスト→品質管理→顧客の反応調査のサイクルを早められたのだ。

米国を代表する歴史ある名コース内に本社及びR&Dを集約した「GIC」を設立。今年は入口に「リテールラボ」も開き、企画・開発から試作・フィード
バックまで一気通貫。ツアー同様の即応性かつ開発サイクルを高める

米国を代表する歴史ある名コース内に本社及びR&Dを集約した「GIC」を設立。今年は入口に「リテールラボ」も開き、企画・開発から試作・フィード バックまで一気通貫。ツアー同様の即応性かつ開発サイクルを高める

今年は『リバーステーパー』でパター用に革新を持ち込んだが、これは自社製に固執せず【ゴルファーのユーザビリティ第一】の新体制の柔軟な考えから生まれたもの。と同時に、来年は『アライン』の凸部をMAX 高くした未発表の新作『アラインMAX』(2025年発売予定)に早くも絶大な自信を覗かせる。
 
既にゴルファーの好評を試作サイクルで得ているだけに、その自信はおそらく現実のモノとなるのだろう。75年間の同社の革新の連続に、ほとんど間違いがないことは、我々が楽しんできたゴルフ人生を振り返ればすぐに分かることだ。

■ 取材協力/日本フェイウィック(株)
https://www.fawick.co.jp/gp/

17年から複数展開のバック
ライン強調モデル『アライ
ン』(上)が、さらに凸部を過去最高まで増した形で、来年
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