2年連続年間女王・山下美夢有のシャフト構成が非常識すぎて驚かされる【女子プロセットのどこマネる⁉】
2年連続年間女王に輝いた山下美夢有のセッティングを分析。アマチュアの参考になる点を、フィッター兼クラフトマンの吉田智氏に聞いた。
配信日時:2024年4月22日 03時00分
2年連続年間女王に輝いた山下美夢有のセッティングを分析。アマチュアの参考になる点を、フィッター兼クラフトマンの吉田智氏に聞いた。
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山下プロのセッティングは非常に面白いですね。シャフトの調子がウッド系とアイアン系で全然変わるんですね。ドライバーや3、5番ウッドのシャフト『スピーダーNXグリーン』は中調子系、ユーティリティの『ベンタスHB 70S』とアイアンの『DG85 R300』は元調子系と、見事に特性が分かれています。
ウッド系シャフトは中調子で先端を動かして、シャフトで球をつかまえたい意図が見て取れます。長いドライバーや3番ウッドは振り遅れやすい。中調子シャフトを使用することで、振り遅れずに球をつかまえる工夫がなされているのだと思います。
ドライバーとフェアウェイウッドは同じ50g台を使用していますが、面白いのが、ドライバーのフレックスSに対し、3、5番ウッドのフレックスがSRとより軟らかくなっている点です。芝から打ちボールをとらえにくいFWは、より軟らかいシャフトを入れて、インパクトゾーンを長くしているのです。シャフトが軟らかいと、インパクトでフェースが上を向き、球を拾いやすくなります。
ドライバーとフェアウェイウッドのシャフト重量が同じ50g台を使っているのは、ヘッドをレベル軌道に入れたいからでしょう。仮にフェアウェイウッドで60g台と10gほど重めのシャフトを使うと、よりヘッドは鋭角に入ってスピンが入りやすくなるので、覚えておくといいでしょう。
ただ、ユーティリティやアイアンのシャフトは手元調子になっていて、シャフトをしならせたくない意図が見られます。シャフト自体をしならせずに、スイングによってラインを出したいのだと思います。これが先調子だとヘッドが暴れて、引っかけが出やすくなりますから。
また、48度のシャフト『DG85 R300』がアイアンシャフトと同じスペックを使用しているのも面白いですね。48度はあくまでフルショットの番手と考えているからでしょう。なるべくアイアンショットと同じ振り感で100ヤード前後を打ちたいのだと思います。
一方、52、58度のシャフト『DG95 R300』はやや重め。小さな振り幅でゆっくり飛ばすアプローチだから、やや重めのシャフトを使っているのでしょう。しかも、フレックスは軟らかいR300を使用しており、手元調子との相乗効果でゆったりしなり戻ります。振り感とボールスピードを合わせることができるのだと思います。
独特なシャフトセレクトなので、アマチュアが参考にするのは難しいと思いますが、フェアウェイウッドをドライバーより軟らかいシャフトを使う点や、48度にアイアンと同じシャフトを使う点などは取り入れるべき工夫だと思いますよ。
【山下のギアセッティング】
1W:ダンロップ スリクソン ZX5 Mk II(8.5度/スピーダーNX グリーン 50S、45インチ、D1)
3,5W:ダンロップ スリクソン ZX Mk II(15,18度/スピーダーNX グリーン 50SR、43インチ、D1【#3】)
4,5U:ダンロップ スリクソン ZX Mk II(22,25度/ベンタスHB 70S、39インチ、D1【#4】)
6I~PW:ダンロップ スリクソン ZX5 Mk II(DG85 R300)
48度:クリーブランド RTX6 ZIPCORE(DG85 R300)
52,58度:クリーブランド RTX6 ZIPCORE(DG95 R300)
PT:リアライズ SQUAD プロトタイプ
BALL:ダンロップ スリクソンZ-STAR XV
※2024年「ダイキンオーキッドレディス」のセッティング
■山下美夢有
やました・みゆう/2001年生まれ、大阪府出身。21年「KKT杯バンテリンレディス」で初優勝。22年に5勝を挙げて史上最年少の21歳103日で年間女王に輝く。23年も5勝を挙げて2年連続年間女王となった。加賀電子所属。
■吉田 智
よしだ・さとし/クラブメーカーを経て「プレミアム ゴルフスタジオ」(渋谷区)でフィッターを務める。アマチュアだけでなく多くのプロからも信頼され、これまでに女子ツアー5勝、ステップ・アップ・ツアー1勝、シニアツアー1勝をサポートしている
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