テーラーメイドの『カーボンフェース』を本当に活かす【最強ボール】を発見!
テーラーメイドが革新的な『カーボンウッド』を世に送り出してから早1年。最新の『ステルス2』シリーズも発売となったが、より飛ばしたいなら“ボール”にも注目してほしい。なぜなら、『カーボンフェース』の性能は、相性の良いボールを使うことで、最大限まで発揮されるからだ。
配信日時:2023年3月24日 00時12分
チタンフェースとの違いはインパクトの“圧”
“初速が出る”と話題になったテーラーメイドの『カーボンフェース』だが、そのキモは、ヘッド全体の構造にある。フェースを軽量化し、ヘッド後方に重量を集中させることでエネルギー伝達効率を高め、ボールを強く押し出せる構造になっているから、圧倒的な初速が出るのだ。
その構造ゆえに、テーラーメイドの『カーボンウッド』は総じて、インパクトの“押す力”が強くなり、HSが遅いゴルファーでもしっかりボールをつぶすことができる。結果、コアの反発力やスピン量など、ボールの性能の違いがくっきり出るヘッドにもなっている。
ギアコーチの筒康博は、そんな『カーボンウッド』の性能を最大限まで引き出すにはマッチングの良いボール選びが大切になると話す。「ボールはつぶれて復元することで性能を発揮するように作られていますから、『カーボンウッド』はボールの性能が結果として表れやすいドライバーだと言えます。そのため、総重量や重心位置を加味した上で相性の良いボールを選ぶ必要があるのです」(筒)同時に、練習場の“レンジボール”を使って『カーボンウッド』の飛びや打感を判断することに警鐘を鳴らす。
「レンジボールは、極端に軟らかく作ることで、練習時の衝撃を和らげ、割れにくくなっています。そのため、ボールの特性が出る『カーボンウッド』で打つと、つぶれ過ぎて打感がボヤけたように感じられ、飛び姿も本来とは違って見える可能性があります。やはり、性能をしっかりチェックするには、コースボールを使うのがマストでしょう」
『カーボンウッド』のドライバーを使うプロは、その特性を理解した上で最適なボールをチョイスしている。例えば、ローリー・マキロイは『ステルス2 プラス』に『TP5x』を組み合わせることで、速いHSでもしっかりスピンを抑えて、平均飛距離で326.6ヤードと圧倒的な飛距離を叩き出している。高性能なヘッド特性を最適なボール選びで、最大限まで引き出しているからこそ、飛距離をここまで伸ばすことができているのだ。
スピン量やオートマ度はボール選びの重要ポイント
では、『カーボンウッド』に合うボールを選ぶには、どのような点に気をつければ良いのだろう。まず考えたいのは、ヘッドの重心深度と打感の関係だ。例えば、『ステルス2 プラス』は、重心が浅く、インパクト時のロフト変化が小さくなるので、ボールを“押す力”が強くなりやすい。よりボールがつぶれるため、インパクトの感触が軟らかく感じられる傾向にある。
一方で、『ステルス グローレ』など、重心が深いヘッドは、ボールを“上げる力”が強くなるので、つぶれ方が小さくなり、同じボールを打った場合でもインパクトの感触が硬く感じやすくなる。打感は、弾道結果に大きく影響する部分だけに、気持ちよく打てるボールを選ぶことも非常に大切だ。ヘッドのスピン量とオートマ度に合わせてボールを選ぶことも、効率的に飛ばすために重要なポイントとなる。
まずスピン量には、ヘッドの重心高さが大きく影響する。低くなるほど、打点が重心より上に来るので、低スピンの強弾道が打ちやすいヘッドになる。また、ディープフェースのヘッドほど、フェースの高さに対しての重心が低くなるので、より低スピンなボールが出やすい。低スピンヘッドに、低スピンボールを合わせてとことん吹かない組み合わせにするのか、それともスピンが入るボールで少し緩和するのかなど、自分のHSに合った組み合わせを見つけることで、より効率良く飛ばせるようになる。
ヘッドのオートマ度は、ホーゼルの長さをチェックすることで、簡易的に性能を判断することができる。ホーゼルが長いとシャフト軸に重さがあることになり、ヘッドターンなどの操作がしやすく、ゴルファーの感覚で球筋をコントロールできる。一方、ホーゼルが短いと、ヘッドの特性なりのボールが出るオートマ度の高いヘッドだと言える。ヘッドとボールの特性は揃えた方が、互いの性能を発揮しやすく、マッチングの良い組み合わせになる。
自分のHSに合った“総重量”のヘッド選びも大切
テーラーメイドの『カーボンウッド』は、モデルごとに対象ゴルファーを分けて、総重量に違いを出している。そのため、自分に合った総重量のモデルを選ぶことで、性能をより引き出すことができる。例えば、『ステルス2 HD』と『ステルスグローレ』は、どちらもつかまりの良さ、ボールの上げやすさの備わったモデルだが、総重量には22グラムの差がある。
『ステルス2 HD』は純正シャフトの「TENSEI RED TM50(S)」を装着した状態で総重量が303グラム。やや重めのドライバーとなるため、HS40m/sから45m/sのゴルファーにマッチする。クラブの重さによってボールがしっかりつぶれるため、硬さがしっかりあるツアーボールの方が飛距離性能を実感できるだろう。
一方、『ステルス グローレ』は、純正シャフトの「FUJIKURA SPEEDER NX for TM(S)」を装着した状態で総重量は281グラムなので、HS35m/sから39m/sのゴルファーと相性が良い。軽快にヘッドを走らせながらスイングする感覚になるドライバーなので、ソフトでつぶれやすいディスタンス系ボールを使った方が性能を引き出しやすくなる。このようにヘッドの総重量は、ゴルファーの振り心地にも、マッチするボール選びにも大きく影響するポイントなので、しっかりチェックして欲しい。
全20パターン試打でHS別の黄金コンビを発見!
現在、テーラーメイドの『カーボンウッド』は4モデルがラインナップされている。そこでそれぞれのヘッドで同じテーラーメイドのボール5機種を打ち比べて、打感も、結果も良くなる最高の組み合わせを探してみた。
ただし、前述したようにHSによって最適なヘッド選びも変わってくるため、HS 38m/s、HS40m/s、HS42m/s、HS46m/s以上の4つのスピード別の黄金コンビを紹介していく。まず、HS46m/s以上のパワーヒッターに合うのは、『ステルス2 プラス』と『TP5』の組み合わせだ。
『ステルス2 プラス』は、総重量が重く、ディープフェースでスピンの少ない強弾道が打てるヘッド。HSが速いパワーヒッターでもボールが吹け上がることなく、前に伸びてくれる。そこに、5層構造で、ウレタンカバーを採用し、直進性が高く、飛距離性能が高い『TP5』を組み合わせることで、軽快な弾きによるボール初速と低スピンの強弾道でとことん飛距離を伸ばすことができる。
『ステルス2』は、テーラーメイドの『カーボンウッド』の中でも、多くのゴルファーにマッチする“ど真ん中”の性能を持ったドライバー。高い打ち出しでネジレの少ない真っすぐなボールが打てる特性を生かすには、5層構造で、ウレタンカバーを採用した『TP5x』がベスト。余分なスピンがさらに抑えられて飛距離が伸び、曲がりもより小さくなる。
『ステルス2 プラス』よりも総重量が軽くなる分、『TP』シリーズだけでなく、よりソフトな3層構造の『ツアーレスポンス』との相性も良くなった。そして、次が注目だ。HS40m/sで打感も、弾道結果も良くなった黄金コンビは、『ステルス2 HD』と『ツアーレスポンス』だった。
『ステルス2』とほぼ同じ総重量のまま、ほど良いつかまりで高いボールが打てるよう調整されたヘッドが『ステルス2 HD』だ。HSが42〜45m/sのゴルファーであれば、『TP』シリーズも相性が良いが、HS40m/sの場合は、3層構造の『ツアーレスポンス』がより性能を引き出してくれる。コアの高い反発力によって、HSが遅めでもボール初速が伸びてくれるので、直進性の強い高弾道ボールで飛ばすことができる。
オートマ度が高い『ステルス2 HD』は、『ステルス2』よりも軟らかくつぶれやすいボールの方が心地良い打感で弾道も良くなった。最後に、HS 38m/sのゴルファーが『カーボンウッド』の性能を実感できるのは、『ステルス グローレ』と『ソフトレスポンス』の組み合わせだ。
ドローバイアス設計かつ軽量で、HSを上げやすいモデルである『ステルス グローレ』は、軽快に振り抜いていきたい。そのため、最もソフトでつぶれやすいボールである3層構造の『ソフトレスポンス』と組み合わせることで、余分なスピンを抑えられるので、より真っすぐな高いボールでキャリーを伸ばすことが可能になる。
『TP』シリーズのボールだと少しインパクト時の抵抗感が強くなる傾向の『ステルス グローレ』。より軽快に振り抜いて飛ばすには、ソフトな3層構造の『レスポンス』シリーズが好相性だった。試打検証を終えた筒は、ヘッドの特性をブーストするようなボールとの組み合わせがおすすめと話す。
「例えば、『ステルス2 プラス』や『ステルス2』のような操作性の高いヘッドには、ツアー系の操作性が高いボールが好相性。一方で、オートマ度の高い『ステルス2 HD』や『ステルス グローレ』には、ソフトで直進性の高いボールを使うと性能が引き出されます。また、HSによって同じ組み合わせでも、得られる感覚が変わってきますので、振りやすい総重量のドライバーを選ぶことも大切ですよ」
最後にレディース用のヘッドでも検証。『ステルス2HD』や『ステルス グローレ』の軽量ヘッドには、柔らかいディスタンス系のボールを組み合わせることで、女性でも高い弾道でキャリーを伸ばすことが可能になる。
今回の検証からも分かるように、『カーボンウッド』は組み合わせるボール次第で、印象が大きく変わる。もし、ドライバーを新たに購入したのなら、ボールの変更も同時に検討して、打感も、結果も良くなる最高の組み合わせを探すのがおすすめだ。
取材協力/インドアゴルフレンジKz亀戸店
写真/山代厚男、Getty Images
構成/田辺直喜