構えやすいことが何よりも大切
あらゆるクラブの中で、パターは多種多様なヘッドが揃っている。それだけにモデル選びに迷いやすいクラブでもあるのだが、ゴルフクラブアドバイザーの松田康太さんは、構えたときの「顔」でモデルを絞ってほしいと話す。
「パターを選ぶときは必ず一度アドレスを取って、そのモデルの顔をチェックしてほしいです。ターゲットに対してアライメントを取りやすいか、ボールを見やすいかなど、気持ち良くアドレスできるか、感じてください。パターは感性を重視するクラブですから、モデル選びも自分の感覚を第一に選んだ方が結果的に良いものが見つかります」(松田さん)
「構えるときに注意していただきたいのが“ボールの位置”です。初心者の方などは、ボールをどこに置けば良いか分からず、バラバラな構えになってしまっていることも少なくありません。ボールの位置がズレるとヘッドの見え方が変わりますし、試打をする際にもしっかり性能が感じられなくなる恐れがあります。ボール位置は“左目の真下”にセットするよう統一し、その上でパターの顔をチェックするのがおすすめです」(松田さん)
「顔の良さでパターを絞り込んだら、最後は自分の求める性能でモデルを決めましょう。今すぐに結果を出したいのであれば大型のマレットが良いでしょうし、半年先、1年先の上達を見据えて選ぶなら、より感性を生かせるブレード型が合うでしょう。オートマ性と操作性のバランスが良いモデルもありますので、好みに合わせて選んでください」(松田さん)
ゴルフショップにはパターの試打コーナーが設置されていることが多く、ボールを打ってテストできることも多い。アドレスを取って好印象なヘッドは、ぜひ試打も行って、より細かく性能をチェックするのがおすすめだ。構えたときだけでなく、打っても気持ちいいパターならスコアアップすること間違いなしだ。
以下に、松田さんおすすめの『最新パター』を紹介していくので、モデル選びの参考にしてほしい。
オデッセイ『AI-ONE トライビーム』
樹脂とアルミニウムの2層構造となったフェースを搭載。裏側に複雑な起伏を付ける特殊な構造によって、オフセンターヒットでもボール初速が落ちにくく、距離感が合いやすい。プロの使用者も多い人気のシリーズだ。
「AIが設計した部分ごとに肉厚を変化させた特殊なフェースの効果で、打点がブレてもコロがる距離の差が小さくなります。ショートするミスの多い人が距離感を安定させやすいシリーズです。三角ネックの効果でフェース開閉も小さく抑えられるので、直線的にストロークすることができます」(松田さん)
テーラーメイド『スパイダーツアーX トラス』
テーラーメイドパターの代名詞とも言える『スパイダー』と三角ネックの『トラス』が融合したシリーズ。『スパイダーX』はマレットらしい直進性、寛容性がありながら、適度な操作性もあるバランス型の性能にになっている。
「マレット形状ですが、小ぶりな作りなので感性を生かしたストロークもできるパターです。三角ネックの効果でオフセンターヒットにも強く、性能バランスは抜群に良いです。テーラーメイド独自のヨコ方向に溝の入ったフェースが、非常にソフトな打感に仕上げられていることもポイントです」(松田さん)
コブラ『3Dプリンテッド』
ヘッドの慣性モーメントを高めることで、圧倒的な安定感とミスヒットへの強さを持たせたシリーズ。ブレード型から大型マレットまで、さまざまなタイプのヘッドがラインナップされているが、それぞれに適したカートリッジを3Dプリンターで出力して、性能を高めている。
「3Dプリンターを使って、複雑な形状のカートリッジを作り、それをヘッドに内蔵することで直進性を高めています。ミスヒットでもヘッドがブレずに前に押し出してくれるので、狙った方向にボールをコロがしやすくなっています。重量もしっかりあるので、オートマチックにゆったりストロークしたい人にピッタリです」(松田さん)
PING『PINGパター』
ゴルファーの多種多様な好み、感性に対応するために全16モデルの豊富なヘッドタイプを揃えるシリーズ。ヘッドタイプによって素材やフェースの構造などがバラバラで、それぞれの形状に合った性能に細かく調整されていることがポイントだ。
「ヘッドごとに素材や構造を最適化していることが特徴のシリーズで、さまざまな『顔』のモデルが揃っています。独自の『iPING』というフィッティングシステムを使うことで、ストロークに合ったヘッドを選ぶこともでき、ゴルファー個人にしっかり合うパターを手に入れることができます。削り出しのヘッドもあり、手に響くようなソリッドな打感はヤミツキになりますよ」(松田さん)
キャスコ『レッド9/9デルタフェース』
真っすぐ構え、真っすぐ打つことをサポートする性能がふんだんに投入されたパター。フェースとネックが一体化した構造により、インパクト時の打感が手に伝わりやすく、オフセンターヒットにも強くなっている。
「ターゲットに真っすぐ構えることに特化したパターです。2本の黄色いガイドラインでヘッドを真っすぐ向けやすく、トップラインにあるヒール側の線をシャフトで隠すように構えれば、アドレスも完璧です。初心者やパターに悩む人に最適なモデルです」(松田さん)
取材協力/VictoriaGolf世田谷店 撮影/近澤幸司