マイクラブよりキャリーが15ヤードアップ!? HONMA『TW767』の飛びは本物だった!
発売前から、「飛距離が伸びる」と話題になっているのがHONMAの『TW767』シリーズだ。今季から『TW767』のプロトタイプドライバーを使用している女子ツアー屈指の飛ばし屋、葭葉ルミは、昨年から10ヤード以上の飛距離アップに成功しているという。その性能の高さが真実か検証するため、ゴルフライターの田辺直喜がマイクラブと『TW767』シリーズのガチンコ飛距離比較を行った。
配信日時:2024年10月30日 01時07分
飛ばし屋たちがこぞって飛距離アップに成功したドライバー
11月29日(金)に発売を控えるHONMA『TW767』シリーズには、“飛距離が伸びた”というエピソードが多い。
国内女子ツアー屈指の飛ばし屋、葭葉ルミは『TW767』シリーズのプロトタイプを使用して、平均飛距離262.45ヤードをマーク(※10月21日現在)。252.90ヤードでツアー12位と低迷した2023年シーズンと比べて、10ヤード近い飛距離アップに成功しているのだ。現在、平均飛距離のスタッツは2位で、2018年以来の“ドラディス女王”を射程圏内に捉えている。
最長飛距離446ヤードという記録を持つドラコンプロの三隈直人も『TW767』のプロトタイプヘッドを手に偉業を達成している。9月28日に開催された「ULD世界選手権」のオープンビジョン決勝戦で352ヤードをマークしてドラコン世界一に輝いたのだ。これは日本だけでなく、アジア勢としても初の快挙となっている。
これだけの選手たちが、ドライバーを替えることでさらなる飛距離を手にしたと聞くと、『TW767』のドライバーがどんな性能を秘めているのか俄然興味が湧いてくる。そこで今回は、JGTOの2ndQTに出場した経験を持つゴルフライターの田辺直喜が愛用するマイクラブと『TW767』のガチンコ飛距離比較を実施。巷に流れる飛距離アップの噂が本当なのか検証を行った。
HONMAのトータルフィッティングで最適な『TW767』を探す
今回の飛距離比較は、HONMAの直営店「用賀店」にある「Total Fitting Plaza 用賀」の協力のもとで行った。
田辺が使用するマイクラブは2年ほど前に好みに合わせて調整したもので、海外メーカー製の8.0度のヘッドにカスタムシャフトの“6TX”が装着され、長さやバランスも細かくチューンナップしている。そのため、正確で公正な飛距離比較を行うには、同じように田辺のスイングやパワーに合わせて調整した『TW767』のドライバーが必要になる。そこでまずはHONMAが誇る「トータルフィッティング」を受けることにしたのだ。
フィッテイングを担当してくれたのはHONMA専任フィッターの青木成泰氏だ
HONMAのフィッティングでは、まず『SLAP』という機器を使用して、“シャフト挙動の測定”を行う。
「『SLAP』を装着したクラブでボールを打つことで、スイング中のシャフトのタテのしなりやヨコのしなりが測定され、グラフとして可視化されます。シャフトのしなりには個人のクセのようなものがあり、同じ人が打ち方を変えたとしても、ほとんど同じ波形になります。どのタイミングで負荷をかけ、インパクトにかけてどれくらいしならせられているかなど、スイングを細かく解析できますので、短時間で最適なシャフトを推奨することが可能になっています」(青木氏)
「HONMAでは自社製造のシャフトはもちろん、市場にあるカスタムシャフトを独自に計測して、性能マップを作っています。『SLAP』で計測したデータを元に、マップ上のどのシャフトが合うのかチェックすることができます。田辺さんの場合は、ダウンでしっかりシャフトをしならせながら、適度にヘッドを走らせることができています。安定感を重視して中調子系を選ぶのもアリですし、先が走るタイプのシャフトでさらに加速感をプラスするのもおすすめという結果が出ています。それではこれを元にシャフトとヘッドを絞っていきましょう」(青木氏)
『SLAP』による計測結果を元に、まずは最適なシャフトを見つけるための試打をスタート。ヘッドを同じものに統一したまま、モデルやスペックの違うシャフトを何パターンか試すと、田辺に最適なのは『VIZARD EZ-P6』のXフレックスであることが分かった。
『VIZARD EZ-P6』は『TW767』シリーズ用に設計された中元調子の純正カスタムシャフトだ。手元に適度な硬さがあるので切り返しのタイミングが取りやすく、中間から先端に適度な動きがあるのでヘッドをスムーズに走らせることが可能となっている。
「田辺さんのシャフトの使い方だと『VIZARD EZ-P』がぴったりで弾道も安定していました。あとはスペックですが、6Sはしなり量が多くなり過ぎて吹け上がる傾向があり、逆に7Xまで上げるとヘッドスピードが上がり切らず、飛距離が落ちていました。最終的に6Xか7Sに絞られましたが、スピードを出して叩けるという意味で、6Xを推奨しました」(青木氏)
あとは、『TW767』のどのヘッドを合わせるかだ。『TW767』には慣性モーメントを高めたスタンダードモデルの『TW767』、ドローバイアス設計の『TW767 MAX』、操作性と寛容性のバランスが良い『TW767 LS』の3モデルが用意されている。
「田辺さんはボールをつかまえられるタイプなので、ドローバイアスでスライサー向けの『TW767 MAX』はあまり合わないでしょう。スピンを抑えながら操作性と寛容性のバランスを取った『TW767 LS』が第一の選択肢になりますが、慣性モーメントの高い『TW767』に調整を加えて使うのも面白いかもしれません」(青木氏)
ヘッドを『TW767』と『TW767 LS』に絞って試打を重ねた結果、田辺が最も好感触を得たのはスタンダードモデルの『TW767』だった。
「葭葉プロも使用している『TW767 LS』は球の強さがありつつ、ボールが上がりやすくて、操作性も抜群に良かったです。ただドライバーでは、一定の球筋で飛ばしたいと考えていて、その意味で『TW767』が最適でした。慣性モーメントの高さでヘッドの入射が一定して、ほぼ真っすぐの球が打てましたし、ミスしたときの曲がりも非常に少なくなっていました。タテの慣性モーメントが大きいためか、ボールが上がり過ぎて吹け上がることもなく、適正スピンの伸びるようなボールが打てることも魅力的でしたね。青木さんが鉛を張って、調整してくれたことでかなり理想に近い球が打てるようになりました」(田辺)
フィッティングによって田辺に最適な組み合わせは、『TW767』と『VIZARD EZ-P6(X)』だと分かった。いよいよマイクラブとのガチンコ飛距離検証に移っていく。
まさかのキャリー15ヤードアップ!? ヘッド性能と圧倒的な振りやすさが驚愕の飛距離を生む
飛距離比較は、「Total Fitting Plaza 用賀」に設置されている弾道計測器「トラックマン」を使用して行った。マイクラブと『TW767』でそれぞれ3球ずつ打ち、最大飛距離をマークしたデータを比較していく。
まずは、マイクラブの計測を開始した。
「元々スピン量の多いことが悩みだったので、浅重心系のヘッドで8.0度のヘッドを過去に購入しました。シャフトも先端が硬いタイプでスピンを抑えやすいものにしていますので、ランを含めたトータル飛距離はいつもしっかり出てくれています。ただ、キャリーが伸びない印象も正直あって、ドッグレッグのホールでショートカットしたり、250ヤード以上あるバンカーを越したりすることはできていません」(田辺)
計測を見ていた青木氏は、田辺のマイクラブについて「相性は決して悪くない」と話します。
「フィッティングをする際にマイクラブのチェックをさせてもらいましたが、田辺さんのスイングに対して、シャフトのモデルやスペックなどは合っていると思います。方向は安定するでしょうし、平坦なホールや打ち下ろしでは特に問題はないはずです。ただ弾道の高さという意味では改善の余地があるのはたしかですね」(青木氏)
続いて『TW767』と『VIZARD EZ-P6(X)』の組み合わせで同様の計測を行った。
結果はフィッティングで調整をした『TW767』の快勝。田辺が密かに抱えていたドライバーの悩みを解消しつつ、大幅なキャリー飛距離の伸びを記録した。
「先ほどのフィッティングで薄々感じてはいましたが、明らかにマイクラブよりボールが前に行きますし、コース攻略を考えた上で最適な弾道になっていますよね。トータルが5ヤード以上伸びただけでも驚きなのに、キャリーが15ヤードも伸びたのは衝撃でした。今まではボールの上がり過ぎをヘッド特性やスペックで無理やり抑えつけていた感じでしたが、『TW767』は気持ち良く振り抜いて、最適弾道の高いボールが打てます。このドライバーが打てたら、スコアメイクも楽ですね」(田辺)
最大飛距離だけでなく、平均飛距離でも『TW767』の方が優れていた。田辺のマイクラブはやや弾道が不安定で、270ヤードを切ることもあったが、『TW767』は安定して275ヤード以上をマークしていた。
「今年もメーカー各社のドライバーをテストしていますが、『TW767』の弾道の安定感は間違いなくトップクラスでした。芯を外しても方向が全くブレませんし、芯で打ったときに近い飛び方で飛距離ロスも非常に小さかったです。それでいて高慣性モーメントのヘッドにありがちな独特の振りにくさがなく、気持ち良く振り切れることも特徴的ですね。構えたときの顔もキレイですし、改めて完成度の高いドライバーだと感じました。飛ばし自慢の選手たちがあれだけ飛距離を伸ばせているのは、ヘッドの性能ももちろんありますが、この圧倒的な“振りやすさ”が大きな要因になっている気がします」(田辺)
巷で流れているHONMA『TW767』シリーズを使うと飛距離が伸びるという噂は真実だった。国産メーカーらしいフィーリング、「カーボンロールテクノロジー」を始めとした最新テクノロジーによるヘッド性能の高さ、そして圧倒的な振りやすさを備えたドライバーは、あらゆるゴルファーに飛距離アップという恩恵をもたらしてくれる。特に、フィッティングをして調整したときの飛びは異次元のレベルなので、気になる方はぜひ試してみてほしい。ドライバーがスコアメイクの武器になること間違いなしだ。
取材協力/HONMA Total Fitting Plaza 用賀 撮影/近澤幸司