大里桃子が3年ぶり3度目の優勝! 長年愛用したボールを変更した理由は?
宮里藍サントリーレディスで3年ぶりの3勝目を挙げた大里桃子。もともと軟らかい打感の『TOUR B XS』ボールを使用していたが、今季途中から、しっかりした打感の『TOUR B X』に変更して結果を出した。最近は、こうした変更を行うプロが少なくないようだ。(text by Kazuhiro Koyama)
配信日時:2024年6月19日 09時39分
今季途中から、より硬めの打感の『TOUR B X』を使用
「宮里藍サントリーレディス」で3年ぶりの3勝目を挙げた大里桃子。昨年はシードを逃し、今季はQT上位の資格での参戦だった。シーズン当初は予選落ちも多かったが、徐々に調子を上げており、最終日の終盤に3バーディーを奪うなど、前年シード落ちした選手とは思えない圧巻の勝ちっぷりだった。
そんな大里が、今年4月の「KTTバンテリンレディスオープン」から愛用するボールを変更したことはあまり知られていない。2種類あるブリヂストンのツアーボールのうち、長年愛用している『TOUR B XS』から、『TOUR B X』に変わったのだ。
軟らかい打感が好みという大里は、多くの女子選手が飛距離性能を優先して、より硬めの『TOUR B X』を使用していた時代でも、数少ない『XS』党だった。当時の大里は、『X』のほうが飛ぶかもしれないと感じていたものの、軟らかい打感、特にパッティングでの感触を重視して『XS』を選んでいたという。
面白いことに、今季の成績はボールを変更したタイミングで、グッと向上している。それだけで成績が上がるほど、ツアーは甘くはないだろうが、ボールと取り組んできた技術との相性がうまくハマったのだろう。
そして、打感にこだわる大里が、ボールをスイッチできた大きな理由が、新しくなった24年モデルの『TOUR B X』の性能だ。「乗り感」と「ディープ感」を追求し、よりもちっとフェースに乗る感覚が増したのが、最新の24年モデルの大きな特徴だ。
それはプレーヤーによっては、より軟らかくなったと感じる進化でもある。以前よりも『X』が硬く感じられなくて、むしろ球持ちの良いディープな打感になったからこそ、軟らかい打感が好みの大里が、納得して使うことの出来る性能になったわけだ。
「一番の変更理由はパターです。春先にパッティングでショートする機会が多く、『X』を試したところ、打音がクリアでストロークしている感じがよりしっかり分かりました。ドライバーや他のショットも試してみて、『XS』より一段と初速が出るので、より良い武器になりそうとの事で『X』に切り替えました。変更後は成績もあがり、今回の優勝を助けてくれたことは間違いないです」
大里自身は、変更した理由を上記のように語っている。プロの繊細なパッティングの距離感は、ボールが変わるだけで微妙に変化するものなのだ。
タイガー・ウッズも『TOUR B X』への変更を決断
大里と同様のボール変更をした選手がいる。誰あろうタイガー・ウッズだ。
タイガーは、2023年の「ジェネシス招待」で『TOUR B X』を使用している。そのときは7ヶ月ぶりのツアー復帰ということで、飛距離面をより補いたいという試験的な使用だった。タイガーの場合、『X』に変更すると、小さくないボールスピードの伸びがあり、飛距離面での優位性が大きかったという。
そもそもタイガーは、『TOUR B XS』の前身である『B330S』の性能が気に入って、ブリヂストンとボール契約を交わしたという経緯がある。歴代の『XS』はいずれもタイガーのリクエストを強く反映して開発されたボールだ。強いスピン性能に裏づけられたコントロール性の高さは、タイガーが最もボールに求めているものだった。
その時は、将来的にどちらを選択するかは状況次第とコメントしていたタイガーだが、今年の「ジェネシス招待」では、24年モデルの『TOUR B X』を使用。飛距離アップはもちろん、24年モデルが持つ、グリーン周りでの強いスピン性能とタイガーが求めた「ディープ感」によって、本格的な使用ボールの変更に踏み切ることが出来たのだ。この辺の事情は、大里のケースとよく似ているように思える。
ショットメーカーで、昨シーズンから進境著しい桑木志帆も『XS』から、今季『X』に変更したプレーヤーだ。練習場では、常に弾道測定器を用いて数値をチェックするという桑木は、『X』に変更することで、バックスピン量をより適正にすることが出来たという。
24年モデルを使用する選手は、ここまでのツアー前半戦の活躍が目立っている。「富士フィルム・スタジオアリ女子オープン」に最終日のバック9を「31」で回って、逆転で初優勝を果たした阿部未悠。「ミズノオープン」で3年ぶりに3勝目を挙げた木下稜介、全米オープンに初出場するなど今季好調の清水大成、シニアツアーで通算21アンダー4勝目を挙げた宮本勝昌ら列挙に暇がない。
海外では、クリス・ゴッターアップという選手が『TOUR B X』を使用して、PGAツアーのドライビングディスタンスで7位につけているという(※2024年6月9日現在)。
飛距離とコントロール性に優れ、多くのツアープロに愛用される『TOUR B X/XS』。ツアー後半戦でもその活躍が見られるだろう。
『TOUR B X/XS』について詳しく知りたい方はブリヂストンの公式ページへ