「いずれは名器と呼ばれるクラブ」ヤマハの『RMX VD FW』が“契約外”で選ばれる理由
発売から1年以上経っているにも関わらず、評価が上がり続けている人気クラブがヤマハの『RMX VD FW』だ。2022年には多くのプロが“契約外”で使用したことでも話題となったが、その人気の秘密とは何なのだろう。YouTubeチャンネル「しだるTV」での分かりやすい解説に定評がある石井良介プロに『RMX VD FW』の秘密を紐解いてもらった。
配信日時:2023年1月19日 02時59分
プロにとってFWは簡単には替えられないクラブ
2022年シーズンを振り返って、大きな注目を集めたクラブのひとつがヤマハの『RMX VD FW』だ。金田久美子と藤田さいきが使用して復活優勝を遂げたことでも話題となったが、その他にも原英莉花や穴井詩など、“契約外”でバッグインする選手が続出したことが驚きだった。なぜこれほどまでに人気となったのか。
今回、最新ギアの丁寧で分かりやすいレポートが人気の石井良介プロに、『RMX VD FW』を試打してもらい、その性能を分析してもらった。
まず、試打に入る前に石井プロが話してくれたのは、プロにとってフェアウェイウッドがどれほど重要かということだった。
「フェアウェイウッドは、ラウンド中、さまざまな場面で使用します。狭いホールのティショットなど、守る場面で使うこともあれば、パー5での2オン狙いなど、スコアを伸ばすため、攻めることにも使います。競技であれば、悪いライからグリーンを狙うこともあるでしょう。最新モデルでただ飛べばいいクラブではなく、あらゆる場面でイメージ通りの球が打てる“振りやすさ”も大切になってくるわけです。ドライバーよりもウェッジを選ぶ感覚に近いですね。プロは、さまざまな使い方を想定して、厳しくフェアウェイウッドの性能をチェックしますから、手に馴染んだモデルは替えずに、長く使い続けることが多くなるのです」
たしかに、ツアープロのセッティングを見ると、ドライバーが最新モデルでも、FWは数世代前の旧モデルということも少なくない。気に入って長く使い込んだフェアウェイウッドは、自在に球筋をコントロールできる、替えの効かないクラブになっているのだ。
「そんな中で、多くの女子プロが『RMX VD FW』にスイッチしたというのは本当にすごいことですよ。そこにはさまざまな理由が考えられますから、試打をしながら解説していきましょう」
イメージと実際の弾道が一致する美しい形状
まず石井プロが注目したのは、『RMX VD FW』の構えた時の“顔”だ。
「『RMX VD FW』はとにかく作り込みが丁寧で、形状に対するストレス、違和感みたいなものが全くありません。特に顔は狙った方向に構えやすく、ほどよくボールをつかまえて行けそうな美しい形状です。そして、打ってみると実際にその通りの球が出る。構えた時のイメージと実際の弾道が一致することは、プロが選ぶ大きな理由になっているでしょう。クラブは人が使うものですから、“いい顔”であることはすごく大切なのです」
今回の試打では石井プロが所有する『トラックマン』を使って、弾道データを計測した。最初に試打したのは黒い純正シャフト『Diamana YB f(S)』が装着された18度の5番ウッドだ。
「やはり打ってみて感じるのは、打感や音など、フィーリング性能の高さですね。『RMX VD FW』は全ての番手でチタンが使われていますが、他の素材にはない特有の爽やかな打球感や澄んだ音が備わっていて、すごく気持ちいいです。しっかりボールを弾きつつも、球筋をコントロールできる感覚もある。その意味でもバランスがいいですよね」
続けて、同じ黒い純正シャフト『Diamana YB f(S)』が装着された15度の3番ウッドを試打する石井プロ。
「ここまでフィーリング性能についてばかり解説してきましたが、『RMX VD FW』は飛びもスゴイですよね。それでいて、番手ごとにしっかりと球質の差があるのもいい。5番はキャリーでしっかり止まってくれますし、3番も球を上げやすいのでしっかりキャリーを出しつつ、ランも出るのでトータル飛距離がすごく出てくれます。これだけの性能があって、顔も良く、打ったフィーリングも良いのであれば、多くのプロが使うのも納得です。確実に数年後に名器だよねって言われるタイプのクラブだと思います。」
フェアウェイウッドとしてのトータル性能の高さこそ、『RMX VD FW』が評価されている最大の理由と言えそうだ。
アマチュアゴルファーに試して欲しいのは5番ウッド
多くのプロが惚れ込むだけの高いトータル性能を持っていることが分かった『RMX VD FW』。では、一般ゴルファーにもメリットのあるモノなのだろうか。
「フェアウェイウッドは苦手と敬遠するゴルファーも少なくありませんが、ぜひこのクラブの5番や7番を試してみていただきたいです。打ってもらえばボールの上がりやすさなど、トータル性能の高さは実感してもらえるでしょう。そして、形状的にもオーソドックスなのでスイング作りにも有効です。相乗効果でドライバーも上手くなるはずですよ」(石井プロ)
さらに、石井プロはシャフト選びについても言及する。
「レッスンをしていて感じるのは、アマチュアゴルファーの多くはフェアウェイウッドのシャフトが軽すぎる傾向にあることです。軽すぎるとタイミングが取りづらくなり、ダフリなど、ミスショットの原因になってしまいます。今よりも重いシャフトに替えるだけでも苦手意識を払拭することができるかもしれません。『RMX VD FW』は純正シャフトで重さと特性の違う2種類のモデルをラインナップしていますから、その意味でもアマチュアの方におすすめなんです」
もし今、アイアンに装着しているのが『N.S.PRO950GHneo』など、80〜90グラムのスチールシャフトであれば、60グラム台の『Diamana YB f』がおすすめだ。一方で、それよりも軽いスチールやカーボンシャフトを使用している場合は、50グラム台の『Diamana YR f』を試してみると良いだろう。
フェアウェイウッドはアマチュアゴルファーが苦手とするクラブの代表格だ。しかし、使いこなせるようになれば、プレーが楽になるばかりか、効率的で長持ちするスイングを身につけることもできる。より長くゴルフを楽しむためにも、高いトータル性能を持つ『RMX VD FW』を一度試してみてはどうだろう。
写真/山上 忠
構成/田辺直喜
取材協力/ハンズゴルフクラブ