最新“赤テンセイ”と“白マナ”を最速試打! 先中調子と元調子の“常識が変わる”意欲作だった
2023年シーズン終盤にツアーローンチされ、ギア通の間で話題となっていた“赤テンセイ”と“白マナ”の情報がついにリリースされた。ALBA.Netでは三菱ケミカルの最新モデル『TENSEI PRO RED 1K』と『Diamana WB』を入手し、最速試打を敢行した。
配信日時:2024年1月12日 07時45分
アスリートゴルファー御用達の2ブランドから気になる新作が登場
1月10日(水)、三菱ケミカルはドライバー用シャフトの最新モデルとして『TENSEI PRO RED 1K』と『Diamana WB』を、パター用シャフトの追加モデルとして『Diamana Putter P105』を発表した。今回はその中からドライバー用の2機種について試打を行いながら解説していく。
まずは、リリースの情報をまとめておこう。『TENSEI PRO RED 1K』は、これまで日本未発売だった“赤テンセイ”の最新作。同シリーズのこれまでのラインナップが、元調子タイプのホワイトとオレンジ、中調子のブルーとショットの安定感を重視したタイプだったのに対し、レッドは先中調子のしなりを最大限に生かした“飛距離重視”のシャフトになっている。
一方、『Diamana WB』は元調子の安定した挙動によって強弾道の飛びを生む、多くのアスリートゴルファーから支持される“白マナ”の系譜。注目なのは、「New Tip Technology」という先端のネジレ、つまりトルクを最適化する新しい技術が用いられていることだ。これにより剛性を高めなくても方向性を高めることが可能になり、スイング時のハードさが軽減されるという。
今回はJGTOのQT出場経験を持つゴルフライター田辺直喜に、2つの最新シャフトの主要スペックを同一ヘッドで試打をしてもらった。先中調子と元調子という真逆の特性を持った2つのモデルはどのような仕上がりになっているのか。
“赤テンセイ”はムチのようにしなって安定したドローが打てる
今回のテストでは三菱ケミカルの最新2モデルの50グラム台のSフレックスと60グラム台のSフレックスの2スペックを中心に試打。ヘッドはPINGの『G435 MAX ドライバー(9.0度)』を使用し、ボイスキャディの『SC4』を使って弾道計測を行った。
まずは『TENSEI PRO RED 1K』の「50S」をテストすると、高めの打ち出しでドローボールが飛び出した。
「手元側に程良いしっかり感があり、中間部から先がムチのようにシャフトがしなってくれます。これだけだと従来の先調子、先中調子系シャフトと同じ特徴ですが、面白いのは振り心地と方向性に安定感があることです。何回振っても同じようにシャフトがしなり戻ってくれるので、安心して叩いていけます。正直、先端が走るシャフトはずっと苦手だったのですが、赤テンセイはむしろヘッドが爽快に走る気持ち良さがクセになりそうです」(田辺)
従来、先が走るシャフトは、パワーがなくてもボールの高さを出せたり、フェースが返りやすくなってスライスを防止できるといったメリットがあった。一方で、パワーのある人が叩きに行くと先端が走り過ぎて引っかけたり、ヘッドが戻ってこなくて振り遅れたりと安定感に欠く面もあった。
「自分の手の動きに対して、ヘッドがしっかり追従してくれるような感覚で、シャフトが走り過ぎることも、走らな過ぎることも少ないのが『TENSEI PRO RED 1K』の特徴ですね。あとは、カウンターが効いているのかヘッドがすごく軽く感じられます。シャフトのしなり戻るスピード感もありますし、飛距離を出しやすいモデルであることは間違いありません」(田辺)
続いて、『TENSEI PRO RED 1K』の「60S」を打ってみると、同じ特性ながら振り心地に違いがあった田辺。
「シャフト重量が上がったためか、50Sよりもヘッドが効いているというか、存在感が強くなりました。手元の剛性感も強くなっていますし、先中調子シャフトの特性がより色濃く出ている印象です。ヘッドに重さがある分、しっかり振れるとかなり飛距離が出ますね。50Sもそうでしたが、インパクトで当たり負ける感が全くないので、しなりを生かしてボールを押し込むように打っていけます」
「『TENSEI PRO RED 1K』は、50Sと60Sで特性は共通していますが、振った時の印象はけっこう違います。スイングタイプによって合う重量は変わりますが、50グラム台のSやXを使って、とことんヘッドスピードを上げて飛ばすのも面白いなと感じました。先端が走るシャフトが好きな人はもちろん、今まで敬遠してきた人にもぜひ試してみてほしいシャフトです」(田辺)
“白マナ”は思い通りにヘッドが操れるのにハードじゃない!?
続いて、元調子の『Diamana WB』の「53S」をテスト。Diamanaブランド誕生から20年という節目の年にリリースされた“第6世代”の一作目はどんな仕上がりになっているのか。
「過去に初代“白マナ”を使ったこともありますし、ずっと好きなシャフトなのですが、最新の『Diamana WB』は良い意味で過去のモデルから変わった印象です。振った通りにヘッドが動いてくれて、球筋をコントロールできる感覚はまさしく“白マナ”なのですが、振り心地が全く別物です。部分ごとの剛性差が少ないというか、シャフト全体がなめらかにしなる印象で、硬いとか、動かないとか、そういうハードな感じが全くないです」(田辺)
新しい“第6世代”の1作目となる『Diamana WB』には先端のトルクをコントロールする新しいテクノロジーが採用されている。剛性の調整ではない新たな手法を用いることで、ハードな印象をなくしつつ、“白マナ”らしい操作性、弾道が実現できたのだろう。
「過去の“白マナ”よりも打ち出し高さを出しやすいですし、元調子系シャフトの常識が覆った印象がありますね。シャフトの挙動にクセもないですし、かなり幅広いゴルファーにフィットするモデルに進化しました。弾道がかなり安定するので、FWに装着しても良さそうです」(田辺)
最後は、『Diamana WB』の「63S」をテスト。「53S」との違いは?
「なめらかに全体がしなるクセのない振り心地は50グラム台と共通していますね。総重量が上がっても、球はしっかり上がってくれますし、振り遅れる感じもありません。むしろ、打っていて、ボールが全く曲がりません。ドロー、フェードと打ち分けることもできますが、曲がり幅が小さく抑えられる印象で、この方向安定性の高さは武器になりますね」(田辺)
「艶やかなIP仕上げからマットな仕上げに変更されるなど、見た目の印象も大きく変わった『Diamana WB』ですが、中身の変化はもっと大きなものでした。“白マナ”らしい安定感、球の強さがありつつ、ハードさも軽減されていることは素直に驚きです。これから登場するDiamanaシャフトにも同じトルクをコントロールするテクノロジーが使われるのでしょうから、どんな振り心地に仕上がってくるのか楽しみになりました」(田辺)
2024年に新たに登場した“赤テンセイ”と“白マナ”。いずれも先中調子、元調子という特性をしっかり出しつつ、今までにあったデメリットを払拭した革新的なシャフトに仕上がっている。ツアープロの採用含め、今季の注目モデルとなることは間違いなさそうだ。