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「トゥに当たるとフックする」はもう過去の話 ドライバーの高MOI化で 「ギア効果」は なくなった!?

「トゥに当たるとフックする」はもう過去の話 ドライバーの高MOI化で 「ギア効果」は なくなった!?

芯を外れたときに起こる「ギア効果」はボールを曲げたり、飛ばすために活用されてきた。しかし、今はヘッドの高MOI化によって打点がブレても、弾道がほとんど変化しなくなった。

所属 ALBA Net編集部
ALBA Net編集部 / ALBA Net

配信日時:2024年7月12日 07時00分

最新モデルではルール上限の5900g•㎠に近いものが増えているため、芯を外してもボールは真っすぐ飛びやすくなっている
最新モデルではルール上限の5900g•㎠に近いものが増えているため、芯を外してもボールは真っすぐ飛びやすくなっている
打点がトゥ寄りにズレると、ヘッドは時計回りに回転してフェースが開く。ボールにはフック回転がかかるので左に曲がる
打点がヒール寄りにズレると、ヘッドは反時計回りに回転して、フェースが閉じる。ボールには右回りのスライス回転がかかる
「MOI」は「Moment of Inertia」の略で、単位は「g•㎠」。数値が高いほど、ボールに向かって回転運動をしているヘッドの向きが変わりにくい。最近話題の「10K」はフェースの左右MOIと上下MOIの合計値が10.000g•㎠を超えているヘッドを指している
芯よりも上でボールを打つと、ヘッドは後方に回転し、ボールには「ギア効果」で前方への回転、つまりバックスピンを打ち消す力がかかる。つまり、打点を上めにすることでスピンを減らすことができたので、MOIが小さい頃は飛ばすためのテクニックとして利用された
上下MOIが高いと打点ブレによるロフトの変化もほとんど起きない。そのため、ロフトなりの打ち出し角、スピン量のボールで飛ばすことができる
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打点がトゥ寄りにズレると、ヘッドは時計回りに回転してフェースが開く。ボールにはフック回転がかかるので左に曲がる

芯を外れたときに起こる「ギア効果」はボールを曲げたり、飛ばすために活用されてきた。しかし、今はヘッドの高MOI化によって打点がブレても、弾道がほとんど変化しなくなった。

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ドライバーのヘッドが小さかった時代は、フェースの芯とボールの重心がズレて当たると「ギア効果」という現象が起きていました。例えば、トゥ側に打点がズレると、ヘッドが時計回りに開き、反対にボールには反時計回りのフック回転がかかるといった具合です。一昔前に、「ドライバーは芯よりもトゥ上で打った方が飛ぶ」といった説があったのは、「ギア効果」によって低スピンのドローが出やすかったためです。

 「ギア効果」が起こるかどうかはヘッドのMOI(慣性モーメント)の大きさが影響します。私の知る限り、昔のMOIが2000〜3000g・cm2ほどの小ぶりなヘッドは打点がズレることによる弾道の変化が大きかったですが、4000g・cm2を超えると「ギア効果」はほとんど起きないといわれます。最新モデルではルール上限の5900g・cm2に近いものが増えていますから、芯を外してもボールは真っすぐ飛びやすくなっているわけです。同時に上下MOIもどんどん高まっていて、打点ブレによるスピン量の変化も小さくなりました。そのため、効率良く飛ばすには、スイングやパワーにあった適正ロフトのドライバーを選ぶことが大切になります。

解説・松吉宗之
1997年からフォーティーンのクラブ開発に携わり、数々の名器を世に送り出した。2018年から自身のオリジナルブランド「ジューシー」を立ち上げる。ギア開発の裏側を知り尽くすクラブデザイナー。

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