米女子ツアーでフリー契約になった渋野日向子の新たなセッティングを撮影すると、面白いギアを発見。その内容をレポートしたい。
ドライバーは『タイトリスト GT2』(9度)に『24ベンタスブルー5S』シャフトを組み合わせている。そんな彼女のギアを、クラブフィッターの吉川仁氏に分析してもらった。
「『GT2』にして、スピンが少し減ると思います。重心深度が浅めのヘッドにしたかったはずで、『G430 LST』はけっこう深い。重量がある深重心ヘッドだと振り遅れて下から入る可能性があります。『GT2』は重心が深すぎずヘッドもやや軽いから、上から叩きやすいですね。あとボール初速が非常に速いので、飛距離が稼げると思います」
シャフトは『24ベンタスブルー 5S』を採用。「『24ベンタスブルー』は手元が硬めな中元調子で、先端もネジレに強い。手元がしなるものだとインから入りすぎるので手元しっかりのものの方がいいと思いますし、ボールが上がりやすくなりますね」。
フェアウェイウッドは3・5Wに『Qi10』(15・18度)ヘッドに『ベンタスTRブルー 5S』をチョイス。飛距離性能を重視していると吉川氏は指摘する。
「ドライバー同様に初速が出て、バーンと前に飛ばせるクラブですね。男子プロも使っている顔がシャープな名器で、スピードが出て弾道もコントロールできます。『ベンタスTRブルー』シャフトは中元調子でしっかり系なので、ヘッドコントロールしやすいはず。『スリクソン ZXi』も同じで初速が出るタイプです。上げるよりも前に飛ばしたい意図が見えます」
ユーティリティは『Qi35 MAX』ヘッドに『ベンタスブルーHB 7S』シャフトを採用。こちらはウッド系と特徴が異なるようだ。「深重心ヘッドを使っていて、弾道高さが欲しいのでしょう。高さで硬いグリーンに止められます。シャフトは中調子で先端が硬いため、ヘッドコントロールがしやすいはずですね」。
アイアンはピンからスリクソンに変わり周囲を驚かせた。『スリクソン ZXi5』ヘッドに『MCI 80S』シャフトを採用している。
「やや重心が低く重心距離が長めなので、彼女の緩やかな入射角とシャットフェースの振り方に合っていますね。ソールの後ろを落としているので、跳ねずに滑ってくれます。以前のモデルよりは跳ねにくいはず。『MCI 80S』シャフトは中調子で先が動いて、つかまりと高さが出るモデル。このカーボンシャフトは手元がしっかりして先が動くため、楽に打てますね」
50・54・58度のウェッジは、まさかの『タイトリスト ボーケイ SM10』に『N.S.PRO 950GH neo s』シャフトを使用。性能はどうなのだろうか? 「海外ブランドのウェッジじゃないと、米国の芝に喰われると思います。ヘッドが重くて振り抜けがいい。Mグラインドでフェースが開きやすいソールですね。シャフトは全体しなりでほどしっかりしているので、芝に当たり負けしにくいでしょう」。
最後にボール変更で話題となった『スリクソン Z-STAR XV 2025年』については聞いてみた。「フルショットでは硬く反発力があるので、初速が速く弾いてキャリーが出ますね。ドライバーとの相性で飛距離アップを望んだのでしょう。ウェッジではスピン性能もあるので、使えると思います」。
ギアを一新した渋野のクラブセッティング。フリー契約となり、彼女にどんな効果をもたらすのか注目したい。
【渋野日向子のセッティング】
1W:タイトリスト GT2(9度/24ベンタスブルー5S)
3・5W:Qi10(15・18度/ベンタスTRブルー5S)
5W:スリクソン ZXi(18度/ベンタスTRブルー6S)
3~5U:Qi35 MAX(20・23・27度/ベンタスブルーHB 7S)
6I~PW:スリクソン ZXi5(MCI 80S)
50・54・58度:タイトリスト ボーケイSM10(N.S.PRO 950GH neo s)
PT:ピン アンサー プロトタイプ
BALL:スリクソン Z-STAR XV 2025年
(練習日のため16本で撮影)
◇ ◇ ◇
昨季3勝を川﨑春花のセッティングを分析。関連記事【24年シーズン3勝・川崎春花の14本を分析! なぜ1WもUTもアイアンも古いモデルを使うのか?】を読めば、強さの秘密が分かります。