今季2勝・鈴木愛は、なぜドライバーやFW、UTで純正シャフトばかり使うんだ?
今季2勝を挙げており、「JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」にも出場している鈴木愛。彼女のギアを撮影すると、面白いシャフトを発見。その詳細をレポートしたい。
配信日時:2024年11月23日 02時00分
今季2勝を挙げており、「JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」にも出場している鈴木愛。彼女のギアを撮影すると、面白いシャフトを発見。その詳細をレポートしたい。
鈴木愛の愛用シャフトを調べると、アイアン以外ではピンのクラブの純正シャフトを使用している。シャフトメーカーのモデルを使う選手がほとんどというのに……。
1W:ピン G430 LST(9度/ALTA J CB スレート S)
3W:ピン G430 LST(15度/ALTA CB ブラック 65R)
7W: ピン G425 MAX(19度/ALTA CB レッド 65R)
4・5U:ピン G430(23・27度/TOUR 2.0 クローム 85R)
6I~PW:ピン BLUEPRINT S(N.S.PRO 950GH neo R)
50・54・58度:ピン s159(CFS R)
PT:ピン PLD KUSHIN C プロトタイプ
純正シャフトを使う理由を本人にじっくりと聞いてみた。
「結局いろんなメーカーのシャフトを試すんですけど、(純正シャフトは)そのドライバーに合わせて作っているから、私はその純正シャフトが一番合うんだと思います。あとはシャフトメーカーさんのシャフトを打っても、私はすごく飛距離が変わるというのがなくて……。私はシャフトを選ぶときの基準があります。自分のイメージ通りの球筋、弾道の高さが出せるか。あとは自分でコントロールしたいときに低く打って、弾道の高さが低すぎないか、高すぎないかなど。それと、フェードを打つときに、自分の打てる感じで打てるのかなどもあります。そういった基準に合うシャフトがなかなかなくて……」(鈴木)
クラブフィッターを取材すると、メーカーがそのヘッドに一番合うシャフトを考えて作っているため、純正シャフトが一番性能を発揮しやすいという話をよく聞く。特にピンのクラブは高MOIヘッドを使うため、ヘッド重量が重くバランスを保つのが重要だといわれている。
「自分が打てる基準を考えると、他のシャフトメーカーさんのモデルだと一部分が足りないとか、これだけが微妙というのがあるんです。全部備えていて、自分のイメージと合って、飛距離だけでなく総合的に見たときにバランスいいのが純正シャフトなんだと思います。他のものだと、一つの部分は飛び抜けていいけど、ここがダメとか。バランスの形があんまりというケースがあるので……」(鈴木)
弾道を操るためのバランスを考えるからこそ、純正シャフトを選んでいるのだ。ピンの女子ツアー担当に聞くと、以下の回答が返ってきた。
「鈴木プロが使用する純正シャフトは、先端だけ動くとかでなく、全体がゆっくりしなり戻るタイプといえます。ドローヒッターである彼女が、自分のスイングで自然に球がつかまる点が、ゆったりしなる純正シャフトを使用する理由ですね。先端だけビュンと走ったりすると、ヘッドが暴れて球筋をコントロールできないのだと思います」(ピンの女子ツアー担当)
ちなみにアイアンで『N.S.PRO 950GH neo R』シャフトを使う理由を、鈴木は以下のように話す。「スチールの方が合っているもといわれるのでスチールを使っています。昔からカーボンはテストをしたこともないですね。なのでスチールの方がコントロールしやすい感じがするのと、あとは急にバコーンって飛んで行ったりするイメージがカーボンにはあるんです。スチールはそういうミスがなく、しっかり振れると思います」(鈴木)
彼女にとっては意図通りに弾道を操れるシャフトこそ、最高のモデル。飛距離だけを求めるアマチュアには参考になる話となりそうだ。
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