オデッセイの新モデルは“ストロークバランス”4代目!? 石川遼は「真っすぐ真っすぐのイメージになります」
日本オープンの会場でオデッセイの新モデルを発見。
配信日時:2024年10月9日 09時31分
「日本オープン」の会場でオデッセイの新モデルを発見。オデッセイといえば、打点ミスによる距離感の減少を抑える『Ai-ONE』シリーズや、三角ネックでオフセンターヒットに強い『TRI-BEAM』シリーズ、ロングネックでブレード型でもフェースバランスに近い『GIRAFFE-BEAM』シリーズ、そしてAIフェースと三角ネックをガッチャンコした『Ai-ONE TRI-BEAM』など数々のモデルがあるが、今回の『Square 2 Square』と刻印されたパターはコンセプトが少し違う。
ヘッドの重心に真っすぐシャフトが挿さったアダム・スコット(オーストラリア)やチェ・ホソン(韓国)が愛用するL.A.B. GOLFのパターのような形状をしている。オデッセイのツアー担当、中島申隆氏に特長を聞いた。
中島氏はパターのシャフトを指で支えると「普通、フェースは真上を向くか、少しトゥが下がります。でもこれはトゥが上がってフェースが左を向く」。ヘッドの重心にシャフトが挿さっているのは同じだが、L.A.B. GOLFのパターは重さがどこにもかかっていないので、どの向きにも止まる。しかし、オデッセイの新モデルはヒールが重くなっているため、トゥが上を向くのだ。
トゥが上を向くと聞いて、2016年に発売されたオデッセイの『トゥ・アップ』を思い出す人もいるだろう。実は、2010年発売でヘッドの後方からシャフトが伸びた『バック・ストライク』も同じようにトゥが上を向く。「コンセプトは一緒です。始めからアイデアはありました。さらに進化した形です」と中島氏はいう。
オデッセイではこれを『ストロークバランス』と呼び、真っすぐストロークしやすい構造になっている。2018年には『トゥ・アップ』のインサートモデル、『トゥ・アップアイ』が発売されており、今作は4代目の『ストロークバランス』という位置づけとなる。『バック・ストライク』も『トゥ・アップ』もネックは曲げられているが、シャフトの延長はヘッドの真ん中を指す。
ヘッドを浮かせたときに自動的にトゥが上を向くため、そのままボールにセットすればフェースはスクエアになる。ストローク中もトゥが上を向こうとするので、スクエアにヒットしやすい。まさに『Square 2 Square』(スクエア・トゥ・スクエア)なのだ。
もう1つ、オデッセイの新作とL.A.B. GOLF(短尺)の共通点は、シャフトが左から重心に向かって挿してあること。だから、通常のパターよりもハンドファーストに打つ形となる。「通常のロフトは3度ですが、3度ほどハンドファーストに打つように設計されているため、ロフトは6度くらいあります」。
では、ハンドファーストに打つメリットとは? 「バックスイングが上げやすい。トルクもかからないのでフォワードプレスしやすい。なおかつインパクトで再現性があってくるから自分の思ったところに出せます」。フォワードプレスとは、アドレスから手元を目標方向に出す始動のきっかけとなる動き。フィル・ミケルソン(米国)をはじめとするパットの名手たちが取り入れている。
さらに中島氏は続ける。「向いた方向に出てくれるので、ショートパットが苦手な人にいいですね。外れたらラインが違ったということ」。実際に打ってみると、ハンドファーストの形のまま、ヘッドと手元の関係が変わりにくいので、大型ヘッド特有の右に押し出すミスが出にくい。
練習日に試していた選手たちにも話を聞いてみた。現在、L字型の『プロタイプ iX #9HT プロトタイプ』を使っている石川遼は、しましま模様のジェイルバードヘッドの『Square 2 Square』を試打。昨年から今年の途中まではセンターシャフトの『ホワイトホットXG #7H プロトタイプ』を使用しており、『Square 2 Square』のように少しフェースから離れた場所からシャフトが伸びていた。
「センターの中でもフェースから離れたところに挿さっているほうが、自分の目とフェース面の間にネックやシャフトが遮らない。セットアップしやすいのかなっていう目論みを持ってお願いして、実際にすごく良かったと正直思います。(新モデルも)自分としてはイメージが出るパターではあります」
見た目のこだわりが強かったようだ。同じセンターシャフトで、『ホワイトホットXG #7H プロトタイプ』と『Square 2 Square』の違いに関しては「バック・ストライクまではいかないですけど、そういう乗りのすわりに感じる」と話す。『ホワイトホットXG #7H プロトタイプ』はロフト2度だったが、新パターは6度。やはりハンドファーストの度合いは違う。
最後は振り心地。「真っすぐ真っすぐのイメージにはなります。L字のちょうど逆の特性を持っていることが僕は好き。L字を使っていると、かなりフェースの開閉が強くなったり、イン・トゥ・イン軌道が強くなったりするので、ストレートに動かしやすいようなパターの動きを自分で感じて、L字に戻すとすごく良かったりするんです」。
ヒールからネックが伸びてウェッジのような形状をしているL字パターは、開閉して打ちやすいのが特徴だが、「L字をそんなに開閉させない使い方が好き」と、石川は真っすぐ真っすぐのイメージで打っている。そのため、ストロークの矯正に新モデルが合うというのだ。
これには、大型マレットのセンターシャフト『ストロークラボTEN』をエースにしている稲森佑貴も同意見。「センターシャフトは慣れてくると、どんどんヘッドを左に出したくなる。それはあまり良くない。このパターはハンドファーストで打てるので、手でヘッドを左に出す動きが出ないんです。面を返さずにレベルで打てます」と、石川と同じジェイルバードヘッドの『Square 2 Square』を試しながら話していた。今週は大会3勝目を目指す日本オープンということもあり投入を見送るが、練習グリーンではストローク矯正用として使っている。
今までありそうでなかったコンセプトでやさしさを実現した新パター。日本オープンには出場しない片山晋呉からもすでに発注が入っている。片山は『バック・ストライク』もL.A.B. GOLFのパターも持っていて、ハマる可能性は高い。「AIインサートだからミスヒットしても距離のロスが少ない。ツアーの速いグリーンだけでなく、一般営業の遅いグリーンにも合う。面白いと思うんです」と中島氏は話す。L.A.B. GOLFのパターは10万円を超える出費になるが、新モデルは5万円に収まる見込み。ツアープロが投入して活躍すれば、人気に火が着きそうだ。