自分の固定概念を覆される? 「もうワンランク上のパットの世界を見せてくれる」パターフィッテイング
ベストスコア「67」、ホームコースのハンディキャップ「0」を誇る、貧打爆裂レポートのロマン派ゴルフ作家・篠原嗣典が、ギアについての噂の検証をします!実際にゴルフコースに持ち込んで、動画を撮影しながらラウンドしたレポートです。
配信日時:2024年6月12日 09時00分
ドライバーのヘッドスピード40m/sのアマチュアゴルファーでも、最新ギアを使いこなせるのか? ベストスコア「67」の元競技ゴルファーでロマン派ゴルフ作家の篠原嗣典が実際に検証しました。
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【注目ポイント】
2024年4月4日に、ピンゴルフは2022年末に『ピンパター2023』として発売された10種類のラインナップに6つのヘッドを追加発売し、『ピンパター』は合計16種類になりました。
この追加ヘッドの試打を考えているときに16種類という異例のラインナップは、フィッティングがあってこそで、極論を書けば『ピンパター』はフィッティングのためのブランドとも言えるのだと気が付いたのです。そうなってくれば、自らでフィッティングを受けて、その真相に迫るという試打をしたくなるのはゴルファー心です。
ピンの基本のパターフィッティングは無料です。予約をすれば受けることが可能で、パターを購入するような縛りはありません。使用しているパターを持っていき、シャフトに計測アプリが入ったスマホをつけてもらって、約3ヤード程度の距離のパットを3球打ちます。アプリから終了を知らせる“ピーン”という音がします。集められたデータは、フィッターのタブレットに送られて、大きな画面に、色々な数字が出てきて、自分のパッティングが丸裸になるというわけです。
パターフィッティングの多くは、パターを選ぶ前に「弊社のパターは、ボールの位置は真ん中で打つように設計されていて、ストロークはこういう感じでやるように設計されています」という感じで、パターではなく打ち手の打ち方を変更する必要があって、本末転倒だと思っていました。しかし、ピンゴルフのフィッティングは、そういう要素はゼロです。自分の打ち方はそのままに、それに合うパターを選ぶための作り込まれています。
最初のポイントは、ストロークタイプです。フェースの開閉をしない「ストレートタイプ」、やや開閉をする「セミアークタイプ」、開閉を積極的にする「アークタイプ」。ストロークタイプで、ヘッドとネックが決まります。ストロークのテンポも数値化されて、遅い場合は重いヘッド、速い場合は軽いヘッドになります。
次は、ライ角やロフト角、ハンドファーストの角度などから、どのくらいパターを修正できるかを確認します。ヘッドによって、修正できる範囲が異なります。構えやすさも選べて、構えにくいものはフェースがラインに合わないと感じました。まだまだ続きます。ピンは0.25インチ刻みでパターの長さをオーダー出来るので、独自のハウツーで色々と試しながら自分にベストな長さを見つけられました。
この段階で、選択したパターにアプリが入ったスマホをシャフトにつけて、もう一度、3球打ってデータを取ります。それぞれのスペックが良くなっているかを確認するためです。ある意味で、ここがクライマックスです。膨大なデータから導き出されたオススメのパターを使うことで、どんな未来が待っているかがわかるからです。
その後、打感に影響するフェースとインサートを選びます。この部分は、削り出しのヘッドを選択すれば、ミーリングの深さと感覚の違いで変わる打ち応えを確認して、自分だけのもミーリングにすることが可能です。フェースインサートも選べますが、『ピンパター』の場合は、ここまでに絞り込まれているヘッドの中でのチョイスになります。
最後は、シャフトとグリップです。驚いたのですが、ヘッドとの相性で決めるのではなく、完全に打ち手の主観、つまり、好き嫌いで選ぶのです。フィッティングを通して、『ピンパター』が16種類のラインナップがあるのは、ゴルファーが迷わないように、または、納得できない押しつけにならないために必然なのだと理解をしました。色々と発見もありますし、パットがうまくなったり、自信がつくきっけかになったりするなと思いました。
【パターを選択した過程】
自分の過去のパター遍歴や、好き嫌い、出来る出来ないなどから逆算して、自分はこのタイプで、多分ピンパターのコレになるだろうという予想をしていました。
思った通りだったのは、ライ角、ロフト角、ハンドファーストの角度とパターの長さだけで、ストロークタイプやテンポなどが違いました。正直に書くと、驚きすぎて気を失うかと思いました。
ストレートタイプということで、大好きで使い続けているL字のパターは全く合わないということでした。ただ、それなのに、再現性などの数値はプロ並みということ。考えてみれば、数値のようなプロ並みの結果が出ない理由は、合わないパターを無理に使っているからだと一瞬で理解しました。
大嫌いで、敬遠し続けてきたダブルベントのネックがベストマッチだということもショックでした。ライ角は1度フラットにすることにしましたが、残りの数字に出ているスペックは完璧で理想的なものだったので、標準のままで良いことになりました。長さもテストを経て、普段から使っている33インチがベストだということになりました。
選択されたヘッドは、『TOMCAT 14』でした。全く想定外でしたが、この形状のパターの試打をしたときにピンと来ないけれど、不思議と結果が出たことを思い出しました。逆らうことなしに、出てきたものを受け入れると決めていましたので、『TOMCAT 14』をチョイス。シャフトのカラーをブラックに変更してもらって、特注の逸品感を出すことにしました。約1週間後、パターは出来上がって手元に届きました。
【ロマン派ゴルフ作家語る】
『TOMCAT 14』をそのままコースに持ち込みました。最初に感じたのは、ヘッドの重さです。グリップを好みで最も細いものにしたので、余計に重く感じたのです。そして、ダブルベントネックの頼りなさです。どっちを向いているのか、不安になる感じは始めから戸惑いとなって、大混乱しました。
少し前まで数年間スパイダー型ヘッドを使用していたので『TOMCAT 14』のヘッドのデザインはすぐに好きになって、気持ち良く構えることが出来ました。テークバックも引きやすかったです。
不思議なのですが、ちゃんと結果が出るのです。一番心配していたショートパットは、オートマチックに打って当たり前に入るということの連続で、ミスは出ませんでした。芯が広く、芯感がクリアなところは、コロがり過ぎてしまうような気がして最初はショートしがちでしたが、しっかり打っても、むしろコロがりすぎないと分かってからは、距離感も良くなりました。
一言でいうと、過剰にやさしいパターです。今までのように芯に当てないと狙い通りにコロがらないということはなく、フェースの全てが芯のような感じです。また、意識をしなくとも、フェースの開閉に異常は出ないのです。ただ、狙ったところに、しっかりと振ってやれば良いのです。拍子抜けというか、パットをしている気がしません。
5ラウンド使用してみて、明らかに自分のパットの色々なデータが良くなっていくことは実感しました。特に、距離感は自分でやっている感じはないのに、結果として素晴らしく寄っていて、2パット目の距離の平均が半分以下になりました。大きく曲がるショートパットの決定率は、3倍になりました。メンタルの影響が出にくいという自覚はありました。ビビったり、変なパンチが入るミスはパターが助けてくれています。
自分でパットを難しくしていたのかもしれない、と反省しました。フィッティングを受けなければわからないこともあります。今回は良い経験をしました。『TOMCAT 14』は、個人的にもうワンランク上のパットの世界を見せてくれるかもしれないと、薄ら感じられるのは、何よりも嬉しい成果です。
あらゆるゴルファーに、フィッティングをオススメします。その結果が、絶対的な正解ではなく、結果を無視しても良いのです。それでも、自分のパッテイング中の動きを詳細に理解できれば、弱点の克服にも役に立つでしょうし、闇雲に練習をしたり、パターを替えるような無駄を省ける可能性も高いからです。
加齢でパットが下手になっていく先輩をたくさん見てきました。自分もその一人になるのだと覚悟をしていましたが、今回の経験を通して、まだまだのびしろがあることがわかり、嬉しくなりました。当面の間、『TOMCAT 14』(特注バージョン)で結果を出したいと思います。
【試打ギアスペック】
『ピンパター TOMCAT 14』
ヘッド素材 304ステンレススチール / ADC12
ロフト 3度
ライ角 69度
長さ 33インチ
【著者紹介】篠原嗣典
ロマン派ゴルフ作家。1965年東京都文京区生まれ。中学1年でゴルフコースデビューと初デートを経験し、ゴルフと恋愛のために生きると決意する。競技ゴルフと命懸けの恋愛に明け暮れた青春を過ごし、ゴルフショップバイヤー、広告代理店、市場調査会社を経て、2000年よりキャプテンc-noのペンネームでゴルフエッセイストに。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。ベストスコア「67」、ハンディキャップ「0」
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