ショップ店員に聞いてみた。「試打したあとで、必ず売れる」 新作アイアンとは?
この秋、各社がアイアンばかりを発売する。選びづらい現状で、赤丸をショップ店員に聞きました。
配信日時:2023年10月3日 05時05分
2023年秋は「新作アイアン多すぎ問題」が勃発!
この秋、発売された(る)最新アイアンは、実に16機種にもなる。これだけ数が多いと、知っているモデルもあれば、全くチェックが漏れるケースも出てくるのがゴルファーの常。どんな特徴があるか? を3つに分類した上で並べると、下記のようになっている。
■操作性重視型■
①キャロウェイAPEX CB、②キャロウェイAPEX MB、③タイトリストT100、④ミズノプロ241、⑤ヤマハRMX VD/R
■バランス重視型■
⑥キャロウェイAPEX PRO、⑦タイトリストT150、⑧タイトリストT200、⑨ミズノプロ243、⑩ミズノプロ245、⑪オノフ フォージド KURO、⑫ヤマハRMX VD/M
■飛距離・寛容性重視型■
⑬テーラーメイドP790、⑭タイトリストT350、⑮ブリヂストン233HF、⑯ヤマハRMX VD/X
この⑯機種もの中で、あなたが知っている、もしくは狙っている新作は何機種くらいあるだろう? 初めて知るモデルが大半だった人がいるなら、そこには危ない問題が潜んでいる。最新アイアン「誰向けか分からない問題」が、輪をかけて構えているのだ。
複合が増え「誰向けか分からない問題」も!
最新アイアンは、マッスルバックのような見た目でも、中身が中空になった複合・中空アイアンが全メーカーで増殖中。昔のアイアンであれば、深いキャビティのデザインやサイズ感など、ぱっと見で「誰向けか?」が一目瞭然だったが、現代は様変わりした。素材も構造もクロスオーバーし、昔と違って境界線が薄まっている。
しかも、複合・中空アイアンは、ウッドのように内部構造を良くしているため、オフセットが少なく、綺麗なストレート顔のモノが増えた。本来歓迎すべきだが、これが一部の人をさらに混乱させる要素になる。クラブのことを分からず飛びつくと「意外に難しかった」「飛び過ぎて距離感が合わない」など、ミスマッチの原因になるケースもあるのだ。
そこで、新作アイアンを知り尽くし、ミスマッチを避ける案内人である、人気ショップの店員に話を聞く。題して「試打した後に売れているアイアンは何?」。ヴィクトリアゴルフ新宿店の花巻賢一さんが、これらの最新アイアンの問題に一発回答をくれた!
3週連続1位のドライバー人気で『233HF』にも注目!?
それが、ブリヂストンの複合・中空アイアン、『233HF』だという。売れている理由は性能含めてたくさんあるが、最も大きな要因は、発売以来3週連続でドライバー売上No.1の「ブリヂストン『B』シリーズドライバー人気に火が付いていること」だと言う。
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花巻さんは「当店4階にブリヂストンの売り場がありますが、新しい『B』シリーズのフェースミーリングに興味を持つ人が多く、そういう方が『233HF』も同時に試打されて購入するケースが多いです」と言う。前述の通り、「最新アイアン誰向けか問題」があるため、「お客様の大半に試打をオススメしてほぼ全員、他の目当てのモノと打ち比べて購入に至る」のが『233HF』だとか。
「キャロウェイ『パラダイム』や、テーラーメイド『ステルス』と打ち比べて購入する方がかなり多いですね。お客様の第一印象は【やっぱり顔、形状がいいね】との反応。そして、トラックマンで打ち比べて、球の上がりやすさやトータル距離が出やすいことが一番評価に繋がる理由だと思います。弾き感があって飛ぶのに、意外に打感も良いという声も多いです」(花巻さん)
『233HF』は7番のロフトが28°だから、打ち比べて飛距離が出るのは理解できる。が、そういった飛び系だと球が強くなりそうだが、花巻さんは「いや、皆さん打ち比べた結果、“233HFの方が上がる”と言いますよ」。この部分は宮里藍さんも同様のコメントをしていたが、ここで『233HF』の構造もおさらいしておこう。
上下に分かれたコアの、高初速な中空
中空の『233HF』は「デュアルコアインサート」という、凝りに凝った内部構造が他のモノとは違っている。中空内部の打点に近い下部にはポリマーを充填してソフトな打感を追求しており、上部には比重が1/3と軽い発泡ポリマーを採用することで軽量化している。
下部ヒットでも反発のいいL字フェースには、独自のディンプルを前作より増やして薄肉エリアを拡大し、高初速化を追求。その上、後ろからフェースを抑えるサスペンションコアと7Iのヘッド長83.2mmのラージヘッドの相乗効果でワイドスイートエリア。このやさしい構造だからこそ、ロフト28度でも驚くほど球が上がり、打感もよくなったという訳だ。
宮里藍さんは現役時代より約5㍎ほど自分のアイアンの飛距離が落ちていたそうだが、7I比較でマイクラブより15㍎ほどキャリーが伸びる結果に。「同じかそれ以上の高さで現役時代より1番手ラクに飛ばせる。競技から離れ、エンジョイゴルフの今はラクに飛ばせるアイアンが有り難い」と、『233HF』の弾道に驚いていた。
若いゴルファーも注目している!?
ウッドのフェースミーリングも含め“ハイテク感”が漂いまくる『233HF』は、38歳の宮里藍さんだけでなく「若いゴルファーにも好評」だとか。花巻さんは「当店4階には50代から年配者向けの品揃えも多いのですが、ブリヂストンを見に来られる方は【40代やその下の世代】の方も増えてきて、比較的若い方も注目されていると感じます」と言う。
そして、同じ【飛び系】でも、際限なくロフトの立ったモノより「7Iのロフトは28~30度くらいがど真ん中の一番人気」と話す。「中には7番がロフト25度とか、そういった飛び系もありますが、やはり球の上がりやすさやキャリーのバランスを皆さん重視される印象です。若い方はトラックマンなどデータも重視されますし」とのこと。
『233HF』アイアンが【試打したあとで選ばれる】理由は、“ハイテク感”を背景に、ど真ん中のちょうど良さが、打てば誰にでも分かることにあると言えそうだ。