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    マーク金井と議論してわかった! 【間違えやすい】ぶっ飛び系アイアンの選び方

    近年、新たなジャンルとして使用者が増えている“ぶっ飛び系”アイアン。ヤマハ『UD+2』を筆頭に、テーラーメイド『M グローレ』などが“やさしい”、“飛ぶ”と人気だが、モデルが増えたことで「選び方が難しくなっている」とマーク金井は指摘…。(当企画は発売中のALBA本誌連動企画です)

    配信日時:2018年11月28日 10時13分

    • ギア

    筆者 「同じ8Iでも0.5インチ『UD+2』が長いです」

    0.5インチ『UD+2』の方が長い。これは1番手分の長さ…

    0.5インチ『UD+2』の方が長い。これは1番手分の長さ…

    筆者 「はい。ではスペックをおさらいしておきます。先程言ったとおり、長さはテーラーメイド『Mグローレ』の8Iがカーボンシャフト装着モデルで37インチ。ヤマハインプレスUD+2』は、37.5インチなので、0.5インチもこちらの方が長いですね」

    一ノ瀬 「0.5インチ“も”なんですか?」

    マーク 「0.5インチは、天と地ほど違いますよ。アイアンでは1番手上の長さということになるんです。アイアンは長さが弾道の高さや飛距離に効いてくるので、一般に、長い方が飛びに関しては有利ですよ

    筆者 「はい。一般論ではそうなります。ただ、ミート率がどちらの方が高くなるかと言えば、長くなるにつれて難しくなるところもありますよね?」

    マーク 「そうなんだよ。そこは何かを得れば、何かを失うという、ゴルフクラブはトレードオフの関係性が出てくるからね。だから、ゴルファーそれぞれの弱点と相性を見極めなくちゃいけないよね〜

    一ノ瀬 「なるほど。先程、打った感じだけで言えば、『UD+2』はかなり弾く打感だなぁと感じました。『Mグローレ』の方がおとなしい感じなので、『UD+2』の方が飛びそうな感じというか…

    マーク 「同じロフトで、同じ長さなら、多少弾きの違いはあるかもしれないですが、今回は7Iよりも8Iのロフトが全然違うし、アイアンは飛びだけで決めるものでもないですからね〜」

    一ノ瀬 「自分の8Iは転がって140ヤード弱です」

    マーク 「先にボクが試打しますね。一応、スチールシャフト装着モデルも打っておきましょう」

    ――『Mグローレ』バシッ✕10、『UD+2』カシッ✕10――

    筆者 「さすが!人間試打マシーン。でも、まだ弾道計測器の画面は見せませんよ!」

    マーク 「なんや〜長岡くん、何を企んでるの? では、一ノ瀬さんも打ってみてください」

    ――『Mグローレ』パシッ✕10、『UD+2』カキッ✕10――

    一ノ瀬 「やっぱり、長さ的には自分のアイアンに近い『Mグローレ』の方が打ちやすかったんですが、『UD+2』の方がちゃんと当たったときに飛んだ気がしますね…。う〜ん、どっちもいいけど、どっちが合うのかなぁ…」

    筆者 「では、一発の飛びではなく、いい当たりをした平均的なデータを計算するので、少し時間ください

    マーク 「じゃあ、その間に。一ノ瀬さん、最近アイアンを買い替えたと仰ってましたよね? どれ、見せてください。ほう、ゴルフパートナーの『ネクスジェン6』ですか。なるほど、これで8Iの飛距離はどれくらいですか?」
    一ノ瀬さんのマイクラブは8Iで140ヤード弱

    一ノ瀬さんのマイクラブは8Iで140ヤード弱

    一ノ瀬 「まだ慣れていませんが、普段は130ヤードちょっとキャリーして、転がりも含めて140ヤード弱で計算しています。当たりが少し悪くても、130ヤードは飛ぶ計算ですね。これでも、前のアイアンよりも良くなっているんです。でも、今日最新のぶっ飛び系アイアンを打って、後悔しています……。こんな機会があると分かっていたら、もう少し、買うのを後にすればよかった…。(セット購入で30万以上を使ってしまった…)」

    マーク 「なるほど。少し、打痕とスイング的につかまらない傾向もありますか? 短い番手は引っかけたりしますか?」

    一ノ瀬 「まぁ、慣れていないせいもありますが、7I以上はつかまりが悪いですし、引っかけもときどき出ますね…」

    マーク 「なるほど。長岡くん、弾道データの集計は終わった?」

    筆者 「スペック通りの飛び。でも最高到達点は意外…」

    7Iでは1°しかなかったロフト差ですが、8Iでは2.5°も差が!

    7Iでは1°しかなかったロフト差ですが、8Iでは2.5°も差が!

    筆者 「はい。両方の8Iのスペック通りの飛距離です。ドライバーのヘッドスピード換算で45m/sのマークさんが『UD+2』が170ヤード強、『Mグローレ』が160ヤード強ですね。10ヤードまではいかないですが、『UD+2』の方が距離は出てます。

    そして、肝心の一ノ瀬さんですが、ヘッドスピード40m/s弱の換算で、『UD+2』が163ヤード強、『Mグローレ』が155ヤード弱ですね。でも、意外なことに、高さが『Mグローレ』が出るデータになってました…。ボクが打つと逆なんですけどね…」

    マーク 「え〜、ボクがさっきナイスショットしたときは『UD+2』はしっかり上がっていたけどなぁ…。やっぱりロフト2.5°の差が出たかぁ〜。う〜ん、まぁでも『UD+2』は長いから少々ダフリやすくもあるのだけど、それを補う機能があるからなぁ〜

    一ノ瀬 「やっぱり、振りやすい長さというか、私が元々普通のアイアンが打ち慣れているからでしょうか? しっかり打ち込める感じは『Mグローレ』の方がしたんですが…

    マーク 「ちょっと弾道データ見せて。うん、大体アイアンのスピン量というのは、一般的なロフトのものだと、番手かける1000というのが最適スピン量なんです。で、いま見てみると、やっぱり『UD+2』は多少手前から入っていたせいもあって、スピン量が少なく、『Mグローレ』の方が多い。これはロフトが『Mグローレ』の方が2.5°多くて長さが短いこともありますが、振り切れて打ち込めた可能性もありますね。それに、大事なことがソール形状というか、バンスなんですよ

    一ノ瀬 「バンス???(うぅ…、また難しい話が…)」

    マーク 「見るべきは、ダフリ気味に入ったときの左右の曲がり方です」

    「同じぶっ飛び系でも、ソール形状で使うべき人が分かれる」(マーク金井)

    「同じぶっ飛び系でも、ソール形状で使うべき人が分かれる」(マーク金井)

    マーク 「長岡くん、この際だから、難しいことは省くよ? 一ノ瀬さん、簡単に説明すると、『UD+2』はソールが平らでトレーリングエッジという、ソール後方の部分が段差になって落とされていますよね? それに対して、『Mグローレ』はトレーリングエッジが盛り上がっています。前者がバンスが少なく、後者が多いということで、これはインパクト前後のヘッド挙動に影響を及ぼします。打ち手によって相性が割れる部分なんですね」

    一ノ瀬 「なるほど…(って簡単じゃないですってば…)で、私にはどちらがいいんでしょう?」

    マーク 「一ノ瀬さんが、普段スライス傾向で右へ飛び出すのを嫌うなら、『Mグローレ』を薦めます。反対に、フック傾向を嫌がるなら『UD+2』ですね。間違えてほしくはないのですが、いずれも、少しボールより手前からヘッドが入ったとき、どういう球が出やすいか?です

    一ノ瀬 「なるほど、それなら『Mグローレ』な気がします。というよりも、やはり長さが短いからか、『UD+2』より『Mグローレ』の方が上から打ち込める感じがしたので」

    筆者 「マークさん、一ノ瀬さんへの説明はそれでいいんですが、バンスを理解している読者もいるので、分かりやすく説明してください」
    ミート率重視で打ち込む人には『Mグローレ』、長いクラブが得意な払い打ちの人は『UD+2』

    ミート率重視で打ち込む人には『Mグローレ』、長いクラブが得意な払い打ちの人は『UD+2』

    マーク 「OK。『UD+2』はソールが平らでバンスが少なく、ダフってもフェース面が変わらないまま滑るように抜けてくれるので、実はダフる人にもオススメ。顔と同じくUTに見られる設計といえば分かりやすいかな。さらに、同じ番手でもシャフト長が『M グローレ』よりも0.5インチ長くなっているから、ウッドのように浅めの入射角で打つのが得意なスイングの人に合うよね。

    一方、『Mグローレ』は普通のアイアンと同じく、ダウンブローに打ち込むタイプの人に合うね。ソールにしっかりバンスがついていることもポイントで、多少フェースが開いて入っても、接地した際にヘッドが返ってくれます。つかまりが非常にいいので、『Mグローレ』はダフる人より、カット軌道のスライサーと相性がいい。これは、『Mグローレ』のドライバーにも同じことが言えるんだけどね」

    筆者 「マークさん、被せてもいいですか?」

    マーク 「どうぞどうぞ」

    筆者 「実際、弾道計測データでも、一ノ瀬さんはナイスショットも『Mグローレ』は全部ドロー。『UD+2』は、全部フェード傾向でした。そして、ミート率的にも短い『Mグローレ』が多少上回ってましたね。単純な同じ8I同士の飛距離差はロフト2.5°と0.5インチの差で8、9ヤードくらいありますが、それはスペック通りのもの。

    『UD+2』はとにかく+2番手の極限の飛びと、ダフった時でも左に行かせたくない人に合うぶっ飛び系。そして、『Mグローレ』は、普通のアイアンを使い慣れた人が、1.2番手ほど伸ばせる上、打ち込んでタテの距離も従来どおりしっかり打ち分けられる。スライスせずにミートしやすい、もう一つのちょいぶっ飛び系。ということでいかがでしょうか?」

    マーク 「う〜ん、まぁ、ええよ〜、長岡くん。今回は分かりやすくそれで行こう! ファントムカメラで判明した、インサイド・アンダー軌道の細かいバンス設計と、インパクト時のフェース挙動の関連性の話は、また別の機会に企画にしようよ!」

    筆者 「はい。一ノ瀬さん、というところで宜しいでしょうか?」

    一ノ瀬 「は、はい。今日はありがとうございました。(ファ、ファントム??? インサイド・アンダー??? も、もう、難しい話はお腹いっぱいです……)」

    Text/Mikiro Nagaoka

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