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    「ピンフラッグは立てたままが有利だ」。検証を圧勝に結びつけたデシャンボー

    2019年のルール改正でピンフラッグを立てたままパッティングできるようになった。他のツアープロに先駆けて「ピンフラッグは立てたままパットしたほうがカップインする」と宣言したデシャンボーが、圧勝で欧州ツアー初優勝を飾っている。

    配信日時:2019年2月1日 10時15分

    • ギア

    信頼して戦えるボールがあることは強さになる

    最高のボールだった前作『TOUR B330』を上回る性能だ、とブリヂストンの『TOUR B X』を絶賛しているデシャンボー(写真:GettyImages)

    最高のボールだった前作『TOUR B330』を上回る性能だ、とブリヂストンの『TOUR B X』を絶賛しているデシャンボー(写真:GettyImages)


    デシャンボーのエピソードとして、有名なのがボールテストだ。

    趣味でやっていることだと謙虚に話すデシャンボーのボールテストは独特だ。食塩水を作ってボールを浮かべ、頂点を複数回マーキングするのが普通のボールテストだが、彼のテストは浮かせたボールを回転させて、静止するまでの時間を計測するというものだ。

    回転する独楽(こま)で考えると分かるが、芯が中心からズレているとグラグラして長くは回っていられない。中心に芯があるから、いつまでも回転し続けられるのである。デシャンボーのボールテストも、同じ理屈だ。芯がズレていないボールは、食塩水に浮かべると長く回転する。独特ではあるが、確かに科学的な裏付けを持ったテストでボールの精度を確認した上で、デシャンボーは2016年のプロ入りと同時にブリヂストンとボール使用契約を結んでいる。

    契約当初、デシャンボーはタイガーと同じ『TOUR B330S』を使用。その後モデルチェンジした『TOUR B XS』を使っていたが、2017年からは、より飛距離性能を重視した『TOUR B X』に変更している。


    「使っている道具に自身を持つことが重要なんだ。僕は『TOUR B』を100%信頼している」

    と本人が言っているように、ボールは全てのストロークで使用する唯一のゴルフ用具だからこそ、信頼できるボールを使用することで、トッププロは強さを発揮するのである。

    新しいゴルフの可能性を追求するデシャンボー

    トーナメントレコード更新となる24アンダーを叩き出しても「25アンダーが目標だった」と笑って答える余裕を見せた(写真:GettyImages)

    トーナメントレコード更新となる24アンダーを叩き出しても「25アンダーが目標だった」と笑って答える余裕を見せた(写真:GettyImages)


    ピンフラッグを立てたままパットをすることが可能となったゴルフルールの改正は、あくまでプレーの時間短縮を目的としたものであり、パットが決まる確率の議論が盛り上がるのは邪道だと、眉をひそめる見識者もいる。

    しかし、他のツアープロに先駆けて、ピンフラッグは立てたままが有利だと断言したデシャンボーが「オメガドバイデザートクラシック」に勝ったことで、一般のゴルファーがピンフラッグを立てたままパットして、プレーの時短になる現象が広まるという結果になるような気がする。

    一般のゴルファーは、あらゆるシーンで強いプロゴルファーの影響を受ける。デシャンボーに影響を受けるゴルファーは確実に増え続けている。

    トーナメントに勝つ為に、プロゴルファーは誰もが努力を欠かさない。それは徹底した練習だったり、トレーニングによってフィジカルを鍛えたり、いくつかのパターンが存在するが、デシャンボーはそういう努力は当たり前のものとして、更なるプラスアルファを常に模索しているところが面白く、最大の魅力なのだ。

    誰も気がつかなかったような裏技を発見して、ときには規則の壁に跳ね返されたりしても、諦めずに試行錯誤を繰り返す。凄いところは、そういう閃きを確実にトーナメントの勝利に繋げるところだ。デシャンボーのそういう逸話は、いつの間にか新しいゴルフの歴史になっていくのかもしれないと思わせる。

    2019年から4月のマスターズから7月の全英オープンまで、今までと少し順番が変わって毎月1つずつメジャートーナメントが開催される。デシャンボーの今回の勝利は、そこに繋げる布石となるのかに注目したい。

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