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    スタートから10数年で撤退!タイガーの栄光とともにあったナイキゴルフ

    text by kazuhiro koyama

    配信日時:2016年8月8日 08時00分

    • ギア

    駆け抜けた10数年の情熱

    レジンコアボールでのタイガースラムの再現を目指したが…(写真:GettyImages)

    レジンコアボールでのタイガースラムの再現を目指したが…(写真:GettyImages)

     レジンコアのボールの生みの親で、ナイキゴルフのボール開発担当であるロック石井氏は、タイガー・ウッズがウレタンカバーボールの使用に踏み切った際の立役者だ。ギアに対して、極めてコンサバティブなタイガー・ウッズが、これまでの技術との兼ね合いがもっともデリケートであるボールの変更を決めたのは石井氏の後押しが大きかったという。

     レジンコアのボールが登場したとき、石井氏が「ウレタンカバーのボールにスイッチすることで、タイガーは00-01年のタイガースラムを達成しました。次は、レジンコアのボールに変えることで、その再現を果たして、タイガーの復活に貢献したい」と語っていたのが、私には忘れられない。そこには、たしかに革新と成功への情熱があふれていた。

     ビジネスは結果でしか評価されることのないものだ。企業として下したナイキの判断は尊重されるべきだろう。しかし、それを持ってこの10数年のナイキゴルフのクラブやボールの挑戦が、すべて否定されてしまうとするなら、それはあまりに残念で寂しいことだと思う。

     この15年あまりでゴルフクラブもボールもあまりにも変わりすぎた。詮なきこととは思うけれども、進化が成熟し、ある程度固まったレギュレーションで、技術的なアイディアを競うなら、ナイキのギアはより成熟し、より好ましい成功を収めた可能性もあったのではないだろうか。

     タイガーとともに、ギアの過渡期を駆け抜けたナイキゴルフのクラブとボール達。ビジネスの世界では好ましい成果が得られなかったのかもしれないけれども、その勝利の実績と技術的な革新は、断じて失敗ではなかった。時代の徒花と呼ぶには、あまりにも印象的だったのである。

    コヤマカズヒロ / ゴルフコラムニスト

    雑誌・WEB媒体にレッスンなどのゴルフ記事を執筆。 99年に大手ゴルフショップチェーンの立ち上げに参画。 ゴルフギアに関しては、性能面はもちろん製造・流通まで 幅広い知識のある異色のライター。 1974年/広島生まれ

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