【バケモノたちの使用ギア】ファウラーのアイアンは穴だらけ。その理由とは?
ついに開幕、全米オープン。世界最高峰のPGAツアーは松山を上回るバケモノ揃い。今回はスピンオフのPGAツアーデータ・ドリブンシリーズとして、さまざまな公式データからギアとバケモノの相関関係をひも解いて行きたいと思う。初日はもちろん、この人!
配信日時:2017年6月16日 08時12分
目次 / index
全米オープン初日は、パワーランク通りファウラーが来た!
全米オープン初日、7アンダー(7バーディ、ノーボギー)の完璧なプレーで首位に立ったのはリッキー・ファウラー。初日のスタッツを振り返ると、下記のようになっている。
◆FWキープ率――85.71%(12/14)――15位T
◆平均飛距離――299.5y――――――104位
◆パーオン率――83.33%(15/18) ――4位T
◆平均パット――1.6―――――――11位
セカンドショットでグリーンを外した際も得意のアプローチでしのぎ、スコアに影響を及ぼす全てのデータで1位を獲得。観れば分かることだが、データにも危なげのないゴルフだったことが現れていた。
◆FWキープ率――85.71%(12/14)――15位T
◆平均飛距離――299.5y――――――104位
◆パーオン率――83.33%(15/18) ――4位T
◆平均パット――1.6―――――――11位
セカンドショットでグリーンを外した際も得意のアプローチでしのぎ、スコアに影響を及ぼす全てのデータで1位を獲得。観れば分かることだが、データにも危なげのないゴルフだったことが現れていた。
アイアンのソールに穴あけ痕が。これが短尺化の証拠!
この試合の開幕前にファウラーのクラブセッティングを撮らせてもらったが、彼は今季の始めからドライバーの短尺化に踏み切っている。(セッティング画像を見ると、ほとんどスプーンと長さが変わらない……)でも、その伏線は以前からあった。答えの一つが、彼が使うアイアンのソールに見て取れる。
画像をよく見てもらうと、ソール中心部に丸い作業痕が全番手に入っていることが分かる。(金属の色が少し変わっている)これは、ドリルで穴を開け、中に比重の大きいタングステンを入れているのだ。理由をクラフトマン兼フィッターの筒康博はこう予想する。
「ファウラー選手は数年前から以前使用していたアイアンにも同じような3つの穴を開ける処理をしていて、これはアイアンが通常長さに比べて0.5インチとひと番手短くしているからでしょう。短くなってバランスが軽くなる部分を補う意味でヘッドを重くしているのが第一の理由。ヘッドのちょうど打点下に重量を持ってきていることから、シャフト軸線上にヘッドの重心を少しでも感じたい意思も読み取れます。そうすれば、より自分の意思で操作できますからね。
マッスルバックアイアンのヘッドというのは、実はさして重心が浅くありません。重心が十何ミリも移動することはありませんが、入射角がかなりスティープなタイプですから、シャフトより深い重心位置は必要ないのでしょう。1Wと3Wのソールを見ても、深い位置に重量を持ってきていません。シャフト軸線上に激しく地面にコンタクトした痕がクッキリ残っています」(筒)
画像をよく見てもらうと、ソール中心部に丸い作業痕が全番手に入っていることが分かる。(金属の色が少し変わっている)これは、ドリルで穴を開け、中に比重の大きいタングステンを入れているのだ。理由をクラフトマン兼フィッターの筒康博はこう予想する。
「ファウラー選手は数年前から以前使用していたアイアンにも同じような3つの穴を開ける処理をしていて、これはアイアンが通常長さに比べて0.5インチとひと番手短くしているからでしょう。短くなってバランスが軽くなる部分を補う意味でヘッドを重くしているのが第一の理由。ヘッドのちょうど打点下に重量を持ってきていることから、シャフト軸線上にヘッドの重心を少しでも感じたい意思も読み取れます。そうすれば、より自分の意思で操作できますからね。
マッスルバックアイアンのヘッドというのは、実はさして重心が浅くありません。重心が十何ミリも移動することはありませんが、入射角がかなりスティープなタイプですから、シャフトより深い重心位置は必要ないのでしょう。1Wと3Wのソールを見ても、深い位置に重量を持ってきていません。シャフト軸線上に激しく地面にコンタクトした痕がクッキリ残っています」(筒)
テンポが速くてタメを使う人は、短尺化でもヘッドスピードは下がらない!
そもそも、なぜアイアンを短くする必要があるのだろうか。筒はこう続ける。
「アプローチの繊細さやアイアンのキレなど、全てを天才的なフィーリングでコントロールするタイプですから、短い方が意のままに操れるのでしょう。事実、短尺なのはアイアンだけじゃなく、今年はじめにドライバーを43.5インチにしましたが、他のウッドも含めて全部が短くなっていますよ。鋭く切り返すテンポの速いタイプでもありますから、遅れてコントロール性を失う要素はない方がいいのでしょう」
だが、全番手が短いとなると、PGAツアーでは小柄な部類のファウラーだと、飛距離の面でマイナスにはならないだろうか。
「事実、初日は299.5ヤード曲げずに飛ばしていますし、ランディングが良ければ348ヤード飛ばしているホールもあるんですよ。ああいった切れ味鋭いヒッタータイプは、多少クラブを短くしたところでヘッドスピードに変化もなく、飛距離も変わりません。ヘッドを重くするなどの対策もこれだけ講じて意のままに操れるクラブですしね。アマチュアでもスイングテンポが速くて腕力のあるタイプは真似するのもアリですよ」
実は、筆者もこの部分はテストしたことがあるし、自身がテンポの速いタイプだけに頷ける話だ。筆者の場合は、2インチドライバーを余らせて握っても、ヘッドスピードが変わらないことは経験済みだ。
「アプローチの繊細さやアイアンのキレなど、全てを天才的なフィーリングでコントロールするタイプですから、短い方が意のままに操れるのでしょう。事実、短尺なのはアイアンだけじゃなく、今年はじめにドライバーを43.5インチにしましたが、他のウッドも含めて全部が短くなっていますよ。鋭く切り返すテンポの速いタイプでもありますから、遅れてコントロール性を失う要素はない方がいいのでしょう」
だが、全番手が短いとなると、PGAツアーでは小柄な部類のファウラーだと、飛距離の面でマイナスにはならないだろうか。
「事実、初日は299.5ヤード曲げずに飛ばしていますし、ランディングが良ければ348ヤード飛ばしているホールもあるんですよ。ああいった切れ味鋭いヒッタータイプは、多少クラブを短くしたところでヘッドスピードに変化もなく、飛距離も変わりません。ヘッドを重くするなどの対策もこれだけ講じて意のままに操れるクラブですしね。アマチュアでもスイングテンポが速くて腕力のあるタイプは真似するのもアリですよ」
実は、筆者もこの部分はテストしたことがあるし、自身がテンポの速いタイプだけに頷ける話だ。筆者の場合は、2インチドライバーを余らせて握っても、ヘッドスピードが変わらないことは経験済みだ。
歴史を作りそうなアイアンなのに、現在セール中!
ファウラーの使用する穴だらけアイアンは、『KING FORGED MB』で、元々市販品にもトゥにタングステンが入っている。ブラックフィニッシュのマッスルバックは、小ぶりに見えることこの上ないが、現在コブラのサイトではお買い得価格の61%オフで販売されている。
仮にファウラーが優勝することになったら、すぐにモノがなくなってしまうのではないだろうか。ファウラーファンなら急いだ方がいいかも。彼の初メジャー獲り、歴史が作られる気配が漂っているのだから。
Text/Mikiro Nagaoka
仮にファウラーが優勝することになったら、すぐにモノがなくなってしまうのではないだろうか。ファウラーファンなら急いだ方がいいかも。彼の初メジャー獲り、歴史が作られる気配が漂っているのだから。
Text/Mikiro Nagaoka