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    TRPX『アフターバーナー』に60g台追加。【振り遅れ】を許さない男・田村尚之プロの評価は?

    昨年シャフトクロスを緩和する衝撃と共にデビューした、TRPXの『アフターバーナーAB501』。ド派手なピンクのシャフトに驚きましたが、今回は色味がやや大人しくなって60g台の『AB601』シリーズがデビューです!

    配信日時:2020年2月26日 03時10分

    • ギア
    目次 / index
    • 1964年生まれ、トップアマ時代のサラリーマンを経て、遅咲きのプロゴルファーとなった田村尚之プロ
    • TRPX『アフターバーナー』シリーズ。上から40g台、50g台、下段が今回の新作60g台の『AB601』
    • ハンドレートな変則アドレスに見えますが、すべては非力と振り遅れを防ぐため
    • 昔は「タメ」と「レイトヒット」が盛んに正解だと言われていました(GettyImages)
    • 田村式は、体もフェースもねじらない。その場でクルンが正解です
    この記事の写真 12 枚を見る

    田村尚之 「速く・速く・速く!振り遅れないのがボクのこだわり」

    1964年生まれ、トップアマ時代のサラリーマンを経て、遅咲きのプロゴルファーとなった田村尚之プロ

    1964年生まれ、トップアマ時代のサラリーマンを経て、遅咲きのプロゴルファーとなった田村尚之プロ

    TRPX佐野さん 「おはようございます。今日は、TRPXの新商品発表会にお越しいただき、ありがとうございます。今日は弊社契約プロの田村尚之プロにもお越しいただいて、新作『アフターバーナーAB601』のインプレッションを語っていただくつもりです」

    筆者 「佐野さん、去年ピンクの『アフターバーナー』には度肝を抜かれましたが、今年の60g台はデザインが大人しくなりましたね。プロはもう試打済ですか?」

    ▶シャフトクロスの人を救う!? TRPX『アフターバーナー』のWトルクがすごい件

    田村プロ 「先日タイに行ってきて、いつも使っている『Air』じゃなく、これを半インチ長くしたのを持っていってずっと打ってましたよ。今日はちょっと背中を痛めているので、その時の話しなんかも含めた解説ですね。『アフターバーナー』は50g台のピンクのやつは使わなかったけど、今回の60g台は自分のエースシャフト『Air』に近い重さで非常に復元力が高いと感じましたよ。なんと言うかな、先だけが走るとかじゃなくて、アドレスした位置に、きっちり同じところに戻ってくる感じで振りやすい。ヘッドも打ち手も選ばない、万人向けな感じがしますよ」
    TRPX『アフターバーナー』シリーズ。上から40g台、50g台、下段が今回の新作60g台の『AB601』

    TRPX『アフターバーナー』シリーズ。上から40g台、50g台、下段が今回の新作60g台の『AB601』

    筆者 「佐野さん、そこはフープ層の復元ということですか?」

    TRPX佐野さん 「そうですね。潰れに強いフープ層が『アフターバーナー』シリーズの売りですから」

    筆者 「でも、田村プロといえば、ハンドレートのアドレスです。振り遅れがとにかくお嫌いなんですよね?」

    田村プロ 「そう。もう、契約する前から【とにかく速く・速く・速くしてくれ!】ってね。振り遅れたくないから、しなり戻りをとにかく速くしてくれってオーダーして。それで出来上がってきたものが、復元が速くて走る感じがする『Air』で、ずっと気に入って使ってますね。今回の『アフターバーナー』もその系譜で復元が速いけど、こっちは【同じ復元の速い中でも、走るというより、きっちりしなり戻る】って感じ。だんだんクラブが長くなってくると振り遅れちゃう傾向があるから、アマチュアの人にもいいと思いますよ。『アフターバーナー』は振りやすいし、復元が同じ位置にきやすいから、ブレが減る感じもするよね」

    田村尚之 「シニアになると振り遅れる。復元が速くないと!」

    ハンドレートな変則アドレスに見えますが、すべては非力と振り遅れを防ぐため

    ハンドレートな変則アドレスに見えますが、すべては非力と振り遅れを防ぐため

    筆者 「振り遅れ……、田村プロの同業者というか、ライバルのシニアプロたちも同じですかね?」

    田村プロ 「そうだね。誰とは言えないけど、シニアツアーで戦う仲間にも【ハンドレートに構える田村式】の人は増えてますよ。(笑)やっぱりシニアになって距離が落ちてくると、軽くして長くしようとか、それじゃ振り遅れるから今度は短くとか、行ったり来たりするよね。それに加えて、クラブの重心距離が長くなったりしてきているわけで、ゴルファーはプロだけじゃなく、今は振り遅れから逃げられないよね」

    筆者 「たしかに……。アマチュアはなおさらだと?」
    田村プロ 「そう。ボクがTRPXと契約する7、8年前よりも、ずっと前からこういう振り遅れ傾向が出てくることは分かっていたの。クラブが長くなって軽くなってきてたでしょ。だから、とにかく振り遅れないためのシャフトが要る!復元を速くしてくれ!ってずっと言ってたの。昔は【シャフトは何もしない方がいい】なんて言ってたプロでもこういう復元の速いものが必要になったし、アマチュアだとなおさらだよね。半インチ長いとか、ヘッドの慣性モーメントが大きいとか、ちょっとしたことで確実に振り遅れやすくなっちゃう。特にボクの場合は昔から非力でしょ、握力も左右30kgないしね、シャフトに仕事してもらわないと、どうにもならない。

    だからとにかく復元の速いシャフトの開発を勧めたの。でも、いざ作るとなると、【先調子的なものになると当たり負けしちゃう】んだよね。先の剛性を弱めるってことでしょ、基本的には。だから、当時【走ってしかも、当たり負けしないようにしてくれ】って無理難題を言い続けたの。普通は矛盾した要求だから難しいはずなんだけど、それを『Air』で実現してくれた。そこが契約のきっかけというか、信頼だよね。当時は間違いなく世界最速だったと思うし、その後他のメーカーも同じ流れに来たよね。今回の新しい『アフターバーナー』も基本的にそういった復元の速さがあるシャフトだと思うし、打点のブレに強い感じ。素振りと同じように当たり負けずに前に出るというか」

    筆者 「レイトヒットやタメは死語ですか?」

    昔は「タメ」と「レイトヒット」が盛んに正解だと言われていました(GettyImages)

    昔は「タメ」と「レイトヒット」が盛んに正解だと言われていました(GettyImages)

    筆者 「なるほど……。でも、意地悪な質問かもしれませんが、シニア世代以上の年代の方って、昔プロゴルファーから【タメろ】とか【ギリギリまでレイトヒットだ!】とか散々言われて育ったものだと思うのですが、今はそうじゃないんですね?」

    田村プロ 「そう、パーシモンとか小さなメタルの昔はそう言われて育ったんだけど、クラブが長尺化して軽くなってデカヘッドになったでしょ。そうすると、当時と真逆な【リリースを速くしろ】【タメるな】なんて言われたわけ。それで右へすっぽ抜けがちょっと緩和したりなんかしたこともあったと思うのだけど、同時にシャフトが別の意味の進化をしてきたってことですよ。今回の『アフターバーナー』で言えば、【同じところに戻る速さ】とか【ヘッドを選ばない】点とかね。昨日も面白かったのが、非力な人が『アフターバーナー』の60g台を打つと、軽量のものよりキレイな球が出るわけ。
    田村式は、体もフェースもねじらない。その場でクルンが正解です

    田村式は、体もフェースもねじらない。その場でクルンが正解です

    見ていると、非力なこともあって、手で振り回すんじゃなく、切り返しでストンと手元が落ちて、いい軌道に乗るというかね。だから、今回の『アフターバーナー』で言えば、復元が速いからこそ気にせずタメて打てるというか。しっかりタメて遅らせても、同じ位置に素早く復元してくれるし、その復元の仕方が毎回同じ位置にきやすい。そこがまた『Air』とは違う感じなの。シャフトの進化で一周回っていいスイングが出来るようになってるよね。これはボクがどれだけ言うよりも、打って体感してもらった方が早いので、どうぞ、打ってみてください」

    ▶非力な人への金言!田村尚之プロのドライバーレッスン

    筆者 「分かりました。では、早速」

    筆者 「重心距離が長めでMOIの大きい『SIM MAX』にも合いますね!」

    筆者もSから打ってみました

    筆者もSから打ってみました

    TRPX佐野さん 「長岡さん、去年の『アフターバーナーAB501』の時は、テーラーメイド『M6』でMAX290ヤードちょっとだったと思うんですが、今年はテーラーメイドの『SIM MAX』の試打ヘッドを用意しました」

    筆者 「おっ! 『SIM MAX』ですか、重心距離が伸びてMOIも大きなヘッドですから、田村プロが言っていた部分が一番体感しやすいだろうとの判断ですね? それ、大賛成です!じゃあ、まずは『AB601』のSから打ってみます」

    ―― バキッ!✕5 ――

    筆者 「60g台になったから、ハードになったんだろうと想像しましたが、Sでもけっこうしなり量がある感じなんですね。しなり量があるのに、たしかにインパクトで復元します。しかも、フェースが激しくターンする感じじゃなくて、田村プロのおっしゃるようにフェースがスクエアな素直な戻り方をする感じですね〜。佐野さん、ちょっと別のフレックス打ってもいいですか?」

    TRPX佐野さん 「そうですね、おそらく長岡さんのベストスペックはXかSXだと思いますよ。じゃあ、SXを入れてみましょうか」
    今度はSX

    今度はSX

    ―― バキッ!✕5 ――

    筆者 「うわっ、打ちやすい! さっきより芯が入った感じでより一層復元の速さを感じますし、復元が速いシャフトにありがちな変なパリパリ感がなくて、すごく滑らかな挙動に感じます。『SIM MAX』はボクにとって少し重心距離が長めな感じがするんですけど、復元が速いから球が滑らないですね」

    田村プロ 「しかし、パワーあるねぇ〜〜。復元が速いから、もっとスピードを上げて打っても復元するから振り遅れないし、右を警戒しなくても大丈夫だと思うよ。フレックスもXでもいいんじゃない?」

    ―― バキッ!✕5 ―― ※Xを試打
    最後。Xだと、大台に乗りました!

    最後。Xだと、大台に乗りました!

    筆者 「うわっ、ついに大台出ました! やっぱり『アフターバーナー』をここで打つとめちゃくちゃ飛びますね……。(計測器が甘いんじゃないの!?)さっきS、SX、Xと打ちましたが、これだけ振り倒しても左への巻き球が1球も出ないんですよ! ボクの場合、そういう日は右に40ヤードくらいいっちゃうのが普通なんですけど、『アフターバーナー』だと右にいく量も少ない。これ、めちゃくちゃ安心感ありますね! 左を消せる上、振り遅れて右に滑る心配がなく、ちょっと右へのストレートかストレートドローばっかりが出ます!」

    田村プロ 「というか、ミート率が1.45しか出てないのに大台超えたの? ちゃんと当たれば310くらいは飛ぶと思うよ……。長岡さん、振り遅れないって素晴らしいでしょう?」

    筆者 「はいッ、最高です!!! デザインだけじゃなく、中身もヤンチャだなぁ〜、TRPXは〜〜」

    TRPX佐野さん 「………。(とりあえず、ホッ。でも、まだ何て書かれるか、最後まで気を抜けない……)」

    筒 「ボクにも打たせて!」

    居ても立っても居られなくなった筒…

    居ても立っても居られなくなった筒…

     「長岡さん、ボクにも打たせて! Xのままでいいから、そのまま打ちますよ!」

    ―― バキッ!✕5 ―― 

    田村プロ 「……………。(オ、オウ……。下手に褒めづらいし、めちゃくちゃリアクションしづらい……)」

    筆者 「筒さん、Xだとやっぱりハードだって! もうちょっと下のフレックス打った方がいいん(じゃないの?)」

     「(無視して)ウリャァァ〜〜〜!」

    TRPX佐野さん 「………。(とりあえず、ホッ。250ヤード超えてくれたから、言うことないです!)」
    体が温まり、気合いのショット!

    体が温まり、気合いのショット!

     「(とりあえず、ホッ)前作のピンクの『AB501』は、先端がしっかり叩けるのに手元側にしなりとトルクを持たせた新しい約50gの【軽硬シャフト】の印象がありました。今回の『AB601』は、RからXまでの5フレックス全てが60gになっている【プチ軽硬】な印象ですかね。60gだけど復元が速くて振っていて軽快感があるので、非力なボクでも重さ的なハードさを感じづらいです。

    剛性分布をみてみても『AB501』と同様に先端剛性を高めながらもわずかにしなりをプラスしている印象。叩ける要素と走る要素の融合は、三菱ケミカル『テンセイCK proオレンジ』的なバランス型シャフトな気がします。手元側が若干緩めなのに復元が速いシャフトって、ある種、現代のゴルファーと現代のヘッドを考えると、狙い所はどストライクですよね〜」

    筆者 「筒さん、『テンセイ』ほど手元はグニャッと来ない印象でしたけど、元系に感じたってこと? ボクもダブルトルクだからか、『AB501』の時のように切り返しで間を感じる元系に近い粘りを一瞬感じますけど、あとは田村プロが言うように、素直で高速なしなり戻り方です。表現が難しいんですが、復元の仕方がオートマチックでラクな感じは『テンセイ』っぽさもなんとなく分かる。佐野さん、これ、調子はどういう表記ですか?

    TRPX佐野さん 「表記としては【中先調子】になりますが、お感じ頂いてる通りです。長岡さん、今回は【シャフトクロス】の件は聞かないんですか?」

    筆者 「はい、【シャフトクロス】は関係ないです。だって、クロスして遅れても、復元が速いから間に合ったじゃないですか。大台出たし、それだけで満足です!」

    TRPX佐野さん田村プロ 「………。(やっぱり、そこかァ〜〜)」

    Text/Mikiro Nagaoka

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