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なぜ【契約フリー選手】が、ヨネックスのアイアンを選ぶのか? タニタクが聞く!

なぜ【契約フリー選手】が、ヨネックスのアイアンを選ぶのか? タニタクが聞く!

ここ数年、ヨネックスのアイアンを使用するクラブ契約フリー選手が増えている。なぜヨネックスなのか? 谷口拓也が新作をテストしながら開発者に鋭く迫ると、その理由が見えてきた。

配信日時:2020年3月26日 06時37分

「打点をかなり外したのになぜ真っすぐ飛ぶの?」(谷口)

今度は『EZONE GT』ドライバー2機種をコースでも打っていきますが、『455』は超高打ち出し、ど真っすぐの棒球しか出ません!

今度は『EZONE GT』ドライバー2機種をコースでも打っていきますが、『455』は超高打ち出し、ど真っすぐの棒球しか出ません!

筆者 では、ウッドの性能も見ていきましょう。まずは、『GT』のドライバーから打って感想をもらいましょうか。

稲垣 プロ、こういうのは1球目の出る球と印象が大事なので、率直にお願いします。いかがでしたか?

谷口 打つ前はフェースが真っすぐ向いて見える『435』の方が好印象だったけど、印象通り球が強くて操作性もよく、プロ好みで打感もソフトでしたね。ややフックフェースに見える『455』は投影が大きく安心感もあって、出球から高打ち出しでつかまる。というか、すごくスピン量が少ないからか、飛ぶね、コレ。アゲンストなのに、全部練習場のネット超えちゃうよ。これならスピン量が多いアベレージゴルファーは助かるよね。
「このくらい打点を外しても、全部ど真っすぐだよ」(谷口)

「このくらい打点を外しても、全部ど真っすぐだよ」(谷口)

第一印象はそんな感じですけど、テストしていく中で、わざとかなり打点を外して打ったのに、全部真っすぐだし、飛んでる……。今回の『GT』にはフェースに丸いフォーカス模様があるじゃないですか、これ普通に考えたら、「この範囲中で打て」ということに感じる……。

でも、それって違うよね。だって、この模様よりも外のトゥとヒールでも打ったんだけど、球が全然よじれないし、距離も全然落ちないんだもん。『435』も『455』も同じ印象で、相当ミスに強いと思うんですけど、稲垣さん、なんでこんなに曲がらず飛ぶんですか?
ソール下部、フェース裏側に2本、クラウンに複数と、ヘッド内部が溝だらけ。全てはミスヒット時の初速ダウンや打ち出しのズレを補うための特殊な構造だ

ソール下部、フェース裏側に2本、クラウンに複数と、ヘッド内部が溝だらけ。全てはミスヒット時の初速ダウンや打ち出しのズレを補うための特殊な構造だ

稲垣 外側から見ると普通に見えますが、今回の『GT』は、ヘッド内部が溝だらけなんです。フェースの裏に2本、ソール内部に2本、クラウン裏側にもたわみ方向を限定する溝が沢山あります。狙いはプロがお気づきの通り、たわみを増して【ミスヒットしても直進性を保つ】ことなんですよ。

筆者 プロ、これがヘッドサンプルです。内部を見てください。

谷口 なるほど〜、やっぱりね……。(ヘッド分解サンプルを見て、納得顔)こんだけ内部に凝ってるんですね。ホントに溝だらけだし、カーボンのたわむ方向も、コントロールしてますね…。稲垣さん、これ、フェースにも細かいタテの溝というか、細かいミーリングがありますけど、これも同じ効果ですか?

「ロフトの異なるクラブ毎に最適な角度が必要」(稲垣)

ドライバーはCNC【タテ】ミーリング、FWとUTは【ナナメ】溝、アイアンはもちろん【ヨコ】溝。各クラブで最適な溝の角度をフローさせます

ドライバーはCNC【タテ】ミーリング、FWとUTは【ナナメ】溝、アイアンはもちろん【ヨコ】溝。各クラブで最適な溝の角度をフローさせます

稲垣 はい、ボールの行きたい方向に制限をかけず、スピン軸を傾けない工夫ですね。FWとUTではナナメ溝で、アイアンはヨコ溝。ロフトと求める弾道が違うため、溝の角度が違います。以前、アイアンをタテ溝にしたテストでは、スピンレスの棒球でぶっ飛んでしまうほど、溝の向きは効果があるんですよ。

谷口 へぇ〜、それは困る。(笑)たしかに、前作よりFWとUTの構えた時の違和感もなくなったし、上がりやすさと直進性を感じる。ボクは5WやUTがあまり得意じゃないんですけど、FWもUTもネックのつながりもキレイで、これなら打てるなぁ〜。何球打っても真っすぐというか、 FWもUTもドライバーと同じで、球のよじれがすごく少ない。

稲垣 前作では、上級者を中心に「スコアラインで向きを見るので、ナナメだと構えづらい」という声もあったんです。ですから、このような模様を入れた上で、ナナメ溝の色を抜きました。

谷口 いや、この模様、逆に集中しやすいですよ。ほらっ、何回打ってもど芯に当たる。それに、コレ、曲がらないのは純正シャフトの性能もすごく効いてる気がしますね…。意外にしっかりしてますよね?

「シャフト設計でも曲がりを抑制。結局、芯を外した時に差が出るので」(稲垣)

各メーカーで最も違いが顕著に出るのは、オフセンターヒット時の安定性だと力説する稲垣氏

各メーカーで最も違いが顕著に出るのは、オフセンターヒット時の安定性だと力説する稲垣氏

稲垣 はい。お気づきの通りで、先端部には粘りと強度という相反するものを両立した『M40X』という特別な素材で補強することで、芯を外した際のヘッド挙動を徹底的に安定させていますね。

谷口 稲垣さん、ヘッド内部の溝、たわみ、シャフトといい、「ミスしても曲がらない」性能を極めすぎでしょ! 執念を感じますよ…。

稲垣 ええ、各社ヘッドの反発性能はルール規制でほとんど差が出ないので、結局差がつくのは【ミスした時の安定性】に尽きますので!

筆者 なるほどなぁ〜。たしかに、マグレで飛ぶだけなら、どのメーカーのどのクラブでも遜色ないですよね……(泣)

谷口 いや、本当に。でも、今日たくさん打たせてもらって、契約フリー選手たちがヨネックスのアイアンを使用する理由がよく分かりましたよ。打感や弾きだけじゃなく、やさしく意のままに運ぶための工夫が多い。稲垣さん、ドライバーもめちゃくちゃミスに強くて飛ぶし、これなら、今後は『GT』のウッド使用者も増えるかもしれませんね!

稲垣 はい。そうなるように全力を尽くします!

文・Mikiro Nagaoka 撮影・晴山順平 
取材協力・カメリアヒルズCC

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