勝みなみ「日本女子オープン」で圧勝。“飛んで曲がらない”理由はシャフトにある!?
勝みなみが6打差の圧勝劇で「日本女子オープン」を初制覇。今年に入ってパワーアップして見えますが、それに伴うギアの変更に目を向けると、セオリーとは異なる部分が見えてきました。
配信日時:2021年10月8日 09時00分
昨年の激闘に続き、今年も「ミズノVSダンロップ」
昨年の「日本女子オープン」も黄金世代同士の激突、胸が熱くなる展開が記憶に新しい。2020年の原英莉花とダンロップ契約の小祝さくらの激闘は、ミズノ契約の飛ばし屋・原が初メジャー制覇を成し遂げた。あれから1年を経て、ダンロップ勢の雪辱がはたされた。
奇しくも今年の「日本女子オープン」も3日目を終え、ダンロップ勢VSミズノ勢となった。1打リードで出たダンロップ契約の勝みなみに対し、追いかけるのはミズノ契約の19歳・西郷真央。どちらが勝っても初メジャー制覇と、昨年大会を彷彿させる展開だった。
奇しくも今年の「日本女子オープン」も3日目を終え、ダンロップ勢VSミズノ勢となった。1打リードで出たダンロップ契約の勝みなみに対し、追いかけるのはミズノ契約の19歳・西郷真央。どちらが勝っても初メジャー制覇と、昨年大会を彷彿させる展開だった。
舞台の烏山城CCは、400ヤード越えのミドルホールが5つあり、ランが出づらくラフも深い。飛んで曲がらないティショットが重要で、パワーアップした勝みなみのアドバンテージを随所に感じさせた。最終的に、勝のFWキープは45/56で西郷は37/56と、飛びも安定度も目立つ結果となった。
勝者は常にグリーン上で決まるものだが、ティショットに注目するのには訳がある。勝も西郷も互いにショットメーカー。長いコースで優位にセカンドを打てる方が、グリーン上でも優位になる。昨年の原と小祝の激闘にも重なるし、2017年の畑岡奈紗の烏山城CCでの偉業も同様だった。
勝者は常にグリーン上で決まるものだが、ティショットに注目するのには訳がある。勝も西郷も互いにショットメーカー。長いコースで優位にセカンドを打てる方が、グリーン上でも優位になる。昨年の原と小祝の激闘にも重なるし、2017年の畑岡奈紗の烏山城CCでの偉業も同様だった。
勝の『ZX7』は『ディアマナB』から最新『PD』に!
勝利した勝のバッグは、5月の「リゾートトラストレディス」優勝時から様変わり。まず、1Wがスリクソン『Z785』の10.5度から『ZX7』の9.5度へ。アイアンもマッスルバックの『Z-FORGED』からハーフキャビティの『ZX7』に。アイアンはやさしくしたが、パワーアップの影響か、1Wは趣が異なっていた。
ロフトを1度減らした上、シャフトも変更。以前は三菱ケミカルの第三世代の『ディアマナB』50Sだったが、第5世代の最新モデル『ディアマナPD』50Sになっていた。中打ち出し・中スピンの『ディアマナTB』から展開した第五世代、その最新作である『PD』は中低打ち出し・中低スピンのよりハードなものと言える。
【勝みなみの優勝ギア】
1W:スリクソンZX7(9.5°ディアマナPD 50S、45.25インチ)
3W:スリクソンZX(15°ディアマナTB 60S)
5W:スリクソンZX(18°ディアマナB 60S)
4U:スリクソンZX(22°テンセイCK ProオレンジHY 80S)
5I:スリクソンZX5(N.S.PRO 1050S)
6I〜PW:スリクソンZX7(N.S.PRO 1050S)
A,SW:クリーブランドRTX ZIPCOREノーメッキ(50,54,58°N.S.PRO 1050S)
PT:オデッセイO-Works #1(32インチ)
BALL:スリクソンZ-STAR XV
優勝会見でも勝はギアについて「自分に合うものが大切」と繰り返し、パワーアップにギアを合わせ“飛んで曲がらない”を結実させたのか。「日本女子オープン」とそれが一層求められる舞台で、昨年の原英莉花も三菱ケミカル『テンセイCKプロオレンジ』で勝利しており、最高峰の舞台で三菱が連覇した形となった。
ロフトを1度減らした上、シャフトも変更。以前は三菱ケミカルの第三世代の『ディアマナB』50Sだったが、第5世代の最新モデル『ディアマナPD』50Sになっていた。中打ち出し・中スピンの『ディアマナTB』から展開した第五世代、その最新作である『PD』は中低打ち出し・中低スピンのよりハードなものと言える。
【勝みなみの優勝ギア】
1W:スリクソンZX7(9.5°ディアマナPD 50S、45.25インチ)
3W:スリクソンZX(15°ディアマナTB 60S)
5W:スリクソンZX(18°ディアマナB 60S)
4U:スリクソンZX(22°テンセイCK ProオレンジHY 80S)
5I:スリクソンZX5(N.S.PRO 1050S)
6I〜PW:スリクソンZX7(N.S.PRO 1050S)
A,SW:クリーブランドRTX ZIPCOREノーメッキ(50,54,58°N.S.PRO 1050S)
PT:オデッセイO-Works #1(32インチ)
BALL:スリクソンZ-STAR XV
優勝会見でも勝はギアについて「自分に合うものが大切」と繰り返し、パワーアップにギアを合わせ“飛んで曲がらない”を結実させたのか。「日本女子オープン」とそれが一層求められる舞台で、昨年の原英莉花も三菱ケミカル『テンセイCKプロオレンジ』で勝利しており、最高峰の舞台で三菱が連覇した形となった。
ウッドは番手別に“3種類”のディアマナ!
興味深いのは、勝がウッド3本それぞれに異なる『ディアマナ』を入れる点。1Wは前述の通り、中低打ち出し・中低スピン・手元しなりで追従性の高い、第5世代の新作『PD』。そして、3Wには同じく第5世代の中打ち出し・中スピンの『TB』。より弾道を上げたい番手では理にかなった選択となるのか。
また、5Wにはこれまで通り使い慣れた、第三世代の『ディアマナB』を継続使用。青マナの系譜でクセのない中調子である。「特性の異なるシャフトでも大丈夫なのか?」の疑問がわき、シャフトの剛性を詳細計測している筒康博に意見を聞いた。
「打ち手で感じ方に差はありますが、3種を目的別に合わせるのは面白いし、三菱だからという点で納得です。特に第5世代の『TB』と『PD』では手元の硬さは違いますが、先端が締まった点は共通していて、追従性の高さも同様。何より大きいのは、第5世代は【重量帯を上げても手元が太くならない】設計なこと。
女性は男性より手が小さいし、FW以下で重量を上げても違和感なく振れるため、勝プロのように番手の目的に合わせた組み方も出来ます。1、3、5Wと同じもので振り感を統一するのが普通ですが、三菱『ディアマナ』の第5世代はFWも含めた14本全体のパフォーマンスを上げる考え方。それを地でいくのが勝プロかもしれません」(筒)
また、5Wにはこれまで通り使い慣れた、第三世代の『ディアマナB』を継続使用。青マナの系譜でクセのない中調子である。「特性の異なるシャフトでも大丈夫なのか?」の疑問がわき、シャフトの剛性を詳細計測している筒康博に意見を聞いた。
「打ち手で感じ方に差はありますが、3種を目的別に合わせるのは面白いし、三菱だからという点で納得です。特に第5世代の『TB』と『PD』では手元の硬さは違いますが、先端が締まった点は共通していて、追従性の高さも同様。何より大きいのは、第5世代は【重量帯を上げても手元が太くならない】設計なこと。
女性は男性より手が小さいし、FW以下で重量を上げても違和感なく振れるため、勝プロのように番手の目的に合わせた組み方も出来ます。1、3、5Wと同じもので振り感を統一するのが普通ですが、三菱『ディアマナ』の第5世代はFWも含めた14本全体のパフォーマンスを上げる考え方。それを地でいくのが勝プロかもしれません」(筒)
「番手ごとに弾道をデザインできる」
1Wだけでなく、FWとの関連性について語った筒だが、昨今の1Wヘッド設計の変容と、弾道測定器の普及から「シャフトで弾道を番手ごとにデザインする必要性」を説く。
「勝プロの進化も凄いですが、いまボクが注目しているのは44歳の矢野東プロ。いつ優勝してもおかしくない高次元なプレーを続けていますが、ギアもスイングも非常に合理的かつ柔軟な印象がして、彼も『SIM2』に『ディアマナPD』ですね。『SIM2』は打ち出しも最高到達点も高くなるヘッドですが『PD』で最適化するのも分かります。
「勝プロの進化も凄いですが、いまボクが注目しているのは44歳の矢野東プロ。いつ優勝してもおかしくない高次元なプレーを続けていますが、ギアもスイングも非常に合理的かつ柔軟な印象がして、彼も『SIM2』に『ディアマナPD』ですね。『SIM2』は打ち出しも最高到達点も高くなるヘッドですが『PD』で最適化するのも分かります。
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上がりやすい『SIM2 MAX』に『ディアマナPD』でハイパフォーマンスを見せる矢野東に筒は大注目
ティアップできる1Wは打ち出しをスイングや球位置で操作できますが、地面から打つFWには限界がある。1Wの設計がどんどん変わる中、FWは初速が増しても打ち出しやスピンの制約が依然大きい。従来の振り感統一のその先、番手ごとの弾道デザインにシャフトの可能性があります。弾道測定器で改善点が“見えている”ので」(同)
トレーニングを重ねる選手が増えると、当然、それに応じてギアもアジャストが迫られる。また、ヘッド設計が変わると、シャフト設計も変わる必要性が生まれる中、「これまで通り」に進化はない。「日本女子オープン」の若い世代の活躍には、新たなギアやトレンドの“兆し”が現れていた。
Text/Mikiro Nagaoka
トレーニングを重ねる選手が増えると、当然、それに応じてギアもアジャストが迫られる。また、ヘッド設計が変わると、シャフト設計も変わる必要性が生まれる中、「これまで通り」に進化はない。「日本女子オープン」の若い世代の活躍には、新たなギアやトレンドの“兆し”が現れていた。
Text/Mikiro Nagaoka