2020−2021年の国内女子ツアーで最も話題となったのは、テーラーメイドの『トラス』パター。稲見萌寧が『トラスTB-1』で計8勝、女子ツアー人気が爆発し、関係者が「1／3近い選手が持っている」と言うほどで、直近で「気になっていた」と原英莉花も投入。

そして、賞金女王レースを突っ走る稲見萌寧のウッドシャフトといえば、USTマミヤ製が中心。現在は『MAVRIK』ドライバーに『ジ・アッタス』の5Sを使用するが、直近で発表された走る新作『アッタスKING』のテストを近々予定しているとか。女王戴冠へ向け、投入するかどうかに注目だ。

秋に入り、急激な動きを見せるのがキャロウェイの契約プロたちだ。アイアン、FW、UTと新作のツアー投入が相次ぎ、有力選手が投入して即活躍！ 普通はもっとテストや調整に時間がかかるものじゃないの？と思うが、筆頭に挙げられるのが新『X FORGED STAR』で連勝した西村優菜だろう。

メジャー制覇を目論み『X FORGED STAR』を「ゴルフ5レディス」から投入した西村。当時は正式発表前だったが、投入3戦目で優勝、優勝、4位、5位タイとこれに替えて大正解！ 西村は「拾いやすくてつかまる。上がりやすいのに強い球が打てます」と話すが、替えて良くなったのは彼女だけじゃない。

▶▶▶柏原明日架が珍しくフォージド！？ 西村優菜も、藤田光里が投入の新作か

藤田光里も「上がるし打感も◎つかまりもいいしイケメンです！」と即投入。柏原明日架も「シャープな顔でやさしいのは珍しい！」と『X FORGED STAR』を入れてから好調に。なぜ即投入・活躍が相次ぐのか？ これは性能のみならず、選手からの同社への信頼が大きいと言える。

柏原は「元々このシリーズは使ったことがなかったけど【フェースが薄くなって操作性が上がったけど、球が上がりやすい】と聞いて、3球打って投入を決めました」と話す。藤田も「あまりギアを変えない方ですが、キャロウェイさんから持ってきたということは私に合ってるということかな」と言う。

即投入は男子にも及ぶ。石川遼もジョン・ラームの初メジャー制覇、ザンダー・シャウフェレの金メダルに貢献の『APEX TCB』を投入して優勝争いし、その後21°に『APEX UW』なる謎の未発表FWを投入。これまで新作の投入には慎重だったが「スイングの変化も求めるし、クラブもより結果につながるものを選んでいきたい。（APEX TCBは）すごくいい仕事をしてくれました」と、心境の変化を明かす。

▶▶▶ツアー供給されたばかり。キャロウェイ『APEX UW』を激写！

また、『APEX UW』は契約フリーの池田勇太も即投入。ソールが広いFWとUTの間の子のような形状に反応した。海外ツアーでも、フィル・ミケルソンが新ドライバーを投入した週に「全米プロ」で最年長メジャー制覇を成し遂げるなど「新作投入＝即活躍」の流れが常識となる同社。今週女子ツアーに投入される『EPIC SUPERHYBRID』もこの流れ通りになる！？

操作性◎で小ぶりなドライバー好きな40代のベテラン・宮里優作。高MOIヘッド時代の申し子である21歳の最強アマ・中島啓太。世代の違う2人のシャフトに最新トレンドがある。それが、グラファイトデザインの新作『TOUR AD UB』（以下、UB）だ。一体どんなシャフトなのか？

『UB』は、高強度素材「トレカ®M40X」を先中まで、「トレカ®T1100G」を先端に使用。先〜先中の高剛性でヘッドの無駄な動きを抑えて強く叩ける。スローテーパー設計のタイミングの取りやすさも特長で、「いかにブレを減らして飛距離を伸ばすか？」という、ベテランと若武者の両者に合致したよう。宮里は『UB』についてこう言う。

「『DI』に似た『UB』にしました。自分は『BB』の流れでずっと来てその前は『MJ』と手元しっかり系が多かったけど、手元が少し動く『UB』の方がダウンでタイミングが取りやすいと分かりました。適度にしなるけど振り遅れず、無理に何かをせずタメも出来てタイミングが取れ、結果、両サイドのブレが減ってサイドスピンが少ない分、球の落ち際も強くなった。ヘッドが大きいので46インチでも違和感がないし、アイアンとスイングが別になってきたので1Wに最適なシャフトが必要」（宮里）

ツアー担当も「大型・高MOIヘッドの性能を活かしてパワーをダイレクトに伝えるのが『UB』で、先端〜先中の剛性を高めることでヘッドの無駄な動きを抑え、強く叩けます」と言う。先日の「パナソニックオープン」では、「狭いコースでも14回ドライバーを振る」を掲げ、史上5人目のアマ優勝を成し遂げた中島啓太も『UB』。松山英樹もエース『DI』に似た『UB』を五輪で投入するなど、【高MOIヘッドを使う男子プロのど真ん中】と呼べそうだ。

『UB』とは対照的に、女子ツアーで人気爆発中なのが、フジクラの一新された新ブランド『スピーダーNX』だ。長年『スピーダーエボリューション』シリーズが女子ツアーを席巻してきたが、今秋8年ぶりに『NX』に一新。動作解析「enso」で分析、「VTC」というトルクの部分制御技術で振りやすい中調子をアップデートさせている。

6月頭投入の『NX』は瞬く間に使用者を増やし、女子ツアーで常時20人超の一番人気に。不思議なことに『スピーダーエボリューション』の3、4、5、6、7代目だけでなく、『ベンタス』他、特性の異なるシャフト使用者たちを飲み込む。「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」では優勝の西村優菜はじめ、なんとトップ10の内6人が『NX』だった。

人気の秘訣は「剛性分布が誰でもタイミングの取りやすい、オーソドックスな中調子」と言うツアー担当の言葉に集約されるだろうか。それでいて「トルクの部分制御で自動的にアッパー軌道でフェースが開きづらい挙動」となり、実に女子プロに好都合。シャフト遍歴だけでなく、ヘッドを選ばないのも『NX』の特徴と言える。

キャロウェイ（西村優菜／テレサ・ルー）、テーラーメイド（永峰咲希／松森彩夏）、PING（渋野日向子／大出瑞月／セキ・ユウティン）、タイトリスト（菊地絵理香／ペ・ソンウ）、BS（古江彩佳・高橋彩華・三ヶ島かな・松田鈴英）、ミズノ（野澤真央）、ヤマハ（篠原まりあ）、オノフ（黄アルム）と、メーカーも特性も異なるヘッドでもお構いなし。ブラックホールのような“吸引力”、それが『NX』なのだ。

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契約フリー選手が増える男子ツアーだが、それに伴い1WだけでなくFWにも新たな動きが！ また、昨季のPGAツアーの最強1Wを振り返ると、“契約外”プロの使用が一つのバロメータとなっている。まず、国内男子ツアーでは今秋契約フリーの片山晋呉、中西直人がプロギアのHS40m/sのゴルファー向けの『LS』ドライバーをまさかの投入。『egg spoon BLACK』なるぶっ飛び3Wも同様だ。

また、2020年と統合された国内男子の全23戦でキャロウェイがドライバー使用率1位を継続中。『EPIC』は多様なモデルが選べ、その飛びに契約外の使用も多い。海外に目を向けると、昨季のPGAツアー51戦中、最多勝1Wはタイトリストの15勝。モデル別ではテーラーメイド『SIM』8勝、タイトリスト『TSi3』が7勝。そのうち『SIM』4勝、『TSi3』2勝が契約外勝利として目立っていた。

クラブメーカーと契約を結ぶ選手が依然として多数派であることに変わりはないが、“契約金”を貰わなくとも、成績でビッグマネーを稼げるのがこの世界。1ヤードでも飛んだ方が有利に働くため「契約外がいかに使用しているか？」が最強ウッドを見極めるのに手っ取り早い方法だと言える。