筆者　ミズノの新作アイアン『MizunoPro 221 / 223 / 225』が、かなりの変化を遂げているので、がっつりテストしてみたいんですが、誰かいいテスターはいないですかね？

PCM編集長（以下、P編）　それなら【東東京イチのアイアン難民】とも呼べる、ハンデ5の小松さんに来てもらおう。コロナ禍になって凄くアイアンに悩んでいて、今年だけでもかなり買い替えたらしいよ？ あとはヘッドスピードの速い清水くんにも来てもらうかな。

――　練習場にアマ・小松、清水さんを呼ぶ　――

筆者　小松さん、本当に今年だけでアイアンを8セットも買ったんですか？

小松　ええ。コロナ禍で15セットは買ってるかも……。覚えてるだけでコブラ『MB』、ミズノ『JPX919』、ヨネックス『EZONE CB201』、ピン『i210』『i500』『i59』、ホンマ『TW727V』『TW727Vn』『TW737V』『TW737P』『TW747V』『TR20V』『TR20P』、『オノフフォージド黒』みたいな感じですかね。他にも地クラブが4セットほどあったかなぁ……。

P編　小松さん、一般ゴルファーのアイアンの購入頻度って、7年に1セットらしいよ？ 普通のアマチュアの130年分を2年弱で買ってどうするの？（苦笑）

小松　ベストが見つからないからしょうがないじゃないですか。まぁ、コロナ禍でちょっとYouTube観過ぎちゃったのも良くなかったですね……。

筆者　で、今回はミズノの新しい『MizunoPro 221 / 223 / 225』をテストして欲しいんです。マッスルバックの『221』、ハーフキャビティの『223』、中空マッスルの『225』です。

小松　あ！それ見て思い出した。ミズノはコレ（225）とよく似た海外モデルの『MP-20 HMB』も去年買いましたよ！

筆者＆P編　………。（もしかすると東日本イチかも……）

筆者　今回は、基本6Iと8Iを各モデル打ってもらいたいなと。では、まずPGAツアーの要望がかなり入った『MizunoPro 221』ですね。8Iからお願いします！

小松　おぉ、コンパクトで集中できますね。ミズノらしく、トップラインの丸みがある8Iなので、ウェッジへの繋がりがすごく良さそうですし、やっぱりソリッドで分厚い軟鉄鍛造の打感が最高ですね。

筆者　では、次に6Iをお願いします。

小松　アレ？ 6Iの方が大きいですね。シャープな顔ですが、急に安心感のある感じになりました。この感じ、ちょっと新鮮かもしれません。6Iがやさしく感じるのは、嬉しいなぁ〜。

筆者　さすがの目利きですね！ 今回の『MizunoPro 221』はPGAツアープロの要望で短い番手が小さくなってます。洋芝の猛ラフからの抜けや、ウェッジとの繋がりの部分もあるでしょうし、重心距離もPGAツアーで過去に最も評価の高かった『MP-64』に合わせて短く設計して操作性を高めたそう。

小松　いや、文句なしにカッコいいですし、このマッスルバックが使えたらどれだけいいか……。でも、ボクのヘッドスピードは1Wで41〜2m/sですし、パーオン率がすごく重要になるので、ミスした時の寛容性が欲しいんですよ……。

P編　私は58歳と還暦間近だけど、なぜかこのマッスルバックだといい球が打てるね。超意外というか、6Iでもしっかり球が上がってくれる。8Iは糸引くような重い球でラインが出しやすい！

筆者　逆テーパーブレードで番手ごとの厚みを変化させて重心高も最適化してロング・ミドル番手が高弾道で、ショートアイアンは低打ち出し・高スピンで狙いやすくしたそうです。では次に、小松さんの本命かもしれない、『223』を行ってみましょう！

小松　おっ、コレは良さそう。サイズ感がちょうどいいし、顔もキレイ。この8Iも6Iよりコンパクトですね。今使っているアイアンの唯一の不満がボヤけた打感なんですが、ハーフキャビティの『223』の8Iは少しコンパクトですが、打感が完璧。シャープなフィーリングが蘇って好きですね。

筆者　では、次に6Iを、特に鋭くフィールしてください！

小松　（えっ、なぜ圧を加えてくるの？）おっ！コレは打ちやすい。球も上がるし、つかまりもいいし、8Iよりサイズも安心感があってやさしい。

筆者　実は、今回の最大の変化が『223』で、4I〜7Iは軟鉄鍛造じゃなく、クロモリフォージドです。高強度なクロモリ素材だとフェースを薄く反発を高められるそう。しかも、4I〜7Iは切削して深く彫り込んだ溝【マイクロスロット】を入れ番手ごとにフローさせてます。

P編　なるほど。私は少し軟鉄鍛造より硬めに感じたけど、小松さんは大丈夫？

小松　全く問題ないです。それにボクは【アイアンセットはコンボであるべき派】。自分のパワーが落ちていく一方なので、番手ごとに求める役割が全く違うじゃないですか。だから、8Iより下は軟鉄鍛造で打感も操作もあって、シャープな感じがいい感じです。これはエースを倒せる可能性をかなり感じますよ。コースでラウンドしてみたい。

清水　小松さん、8I以下の打感ってそんなに重要ですか？ クロモリの打感が悪くないなら、全番手クロモリの方が一貫してていいのでは？

小松　やっぱりどこに当たったか、ショットの成否を判断しやすいモノの方が、自分がシャープな感覚になれますよ。ボヤけた打感だと、その細かな部分がアバウトになって距離感やスコアが出ない気がします。でも、ミスの許容も大事。本当は両立させたいんですけど、そこってトレードオフの関係じゃないですか。

筆者　では、小松さんが以前購入した『MP 20 HMB』にも近い、中空マッスルの『MizunoPro 225』ですね。以前のHMBって、【ホットメタルブレード】デザインの略だったんですが、今作にも採用されていて、ミズノの鍛造アイアン史上最高反発だそう。

清水　ぱっと見はマッスルバックですね。シンプルでカッコいいのに、最高反発？ ボクは打点がブレやすいので、カッコいいのにやさしいアイアンと言われるとかなり惹かれますね……。

小松　8Iを打ちましたが、クロモリフェースは前の『MP 20 HMB』と同じなはずですが、ミスに強くなって感じます。打感も良くなってますし。

筆者　クロモリフェースですが、中にタングステンウェイトが入って許容が高められてます。こちらは9I、PWはマイルドスチールフェースにステンレスウェイトが付く形のセットですね。今回の『MizunoPro 223 / 225』は全体のテーマとして、構造や素材の違うものを1セット内に組み込むことがテーマになってますね。

小松　なるほど。いま6Iを打ちましたが、明らかに他2機種より打ち出しが高いです。一番ロフトが立っているはずなのに、すごく上がるし簡単に感じます。やっぱり、アイアンは番手で求めるものが違うので、今回のミズノの考え自体、すごく合理的で共感できますよ。

清水　本当だ！ 6Iなのに球がめちゃくちゃ上がりますね！

全員　………。（と、飛ばし過ぎでしょ…）

P編　清水くん、小松さんのすぐ後に6Iで220ヤード飛ばすとか勘弁してあげてよ！

清水　すみません、小松さん。この中空マッスルの『225』と、それによく似た『MizunoPro FLI-HI』もウッドみたいに高く上がって飛ぶし、超楽しいです！

筆者　では、東東京イチのアイアン難民、小松さんを中心に、ミズノの最新アイアンへの総評をもらいたいなと。まずは、ハードヒッターで打点がブレがちな清水さんは、いかがでしたか？

清水　すごく上がって飛ぶのに、顔もキレイで何よりバックフェースがカッコイイ『MizunoPro225』が好きですね。『FLI-HI』も似た中空ですけど、ウッドのように高く飛ぶので打っていて面白い。『MizunoPro』って本格派だし、上級者限定のイメージもありましたけど、実はやさしくて飛ぶと分かりましたね。

P編　私はミズノらしい軟鉄鍛造マッスルバック『MizunoPro 221』が意外に打てて驚いた。6Iで上がって8Iはラインが出るし、全モデルが【番手ごとに最適な設計】が貫かれているのが今風だし、一つステージが上がった気がする。『223』『225』のクロモリの打感を心配したけど、やっぱりミズノが作ると他社より打感がいい気がするね。

小松　実はボク、【トゥ寄りに構えてトゥ下で打つ特殊なタイプ】だからアイアン選びが難しいんです。普通は逆で、ヒール寄りに構えて真ん中やや内側で打つ中・上級者が多いですよね。それに一般にアイアンはトゥ下まで芯が広くないし、打点がトゥだと当たり負けもしやすい。だから自宅に工房を作っちゃう程アイアン選びが難しくって…。

ミズノの新作は8I以下がコンパクトだし、スコアラインの始まりが他社よりヒール寄りにセットされて【トゥに構える悪癖自体を直せそう】。加えて『Mizuno Pro 223』はクロモリで飛びとやさしさもある上の番手と、シャープに狙える感じが出せる打感の8I以下は申し分ない。ついに難民卒業の可能性を感じますよ。（笑）

全員　卒業できるといいですね！

Text/Mikiro Nagaoka