カーボンフェース『ステルス』で本当にボール初速は上がるのか? ツアープロのスタッツを見る
遂に正式発表された、2月4日発売予定のテーラーメイド『ステルス』シリーズ。昨年末にタイガー・ウッズが使用した赤いフェースが話題沸騰!本当にカーボンフェースでボール初速は上がるのか?(GettyImages、山代厚男)
配信日時:2022年1月21日 06時30分
男女契約プロの声では「1.5〜2m/s増」
22年もの間、テーラーメイドのある開発チームは「社内でも誰も知らない」水面下でカーボンの研究を進めてきた。その通り『STEALTH(ステルス)』と名付けられたドライバーは、フェース面に従来のチタンではなく、なんとカーボンを使用。
今後同社のドライバーはカーボンフェースのみとなる「カーボンウッド時代の幕開け」で、チタンドライバー時代を終わらせるという。一際目を引く情熱の赤。そして、大きくなったフェースがそれだが、まず発表会に登壇した同社契約プロの塩見好輝、池村寛世、石坂友宏、永峰咲希、松森彩夏、山路晶、鶴岡果恋の7人の声を聞いた。
今後同社のドライバーはカーボンフェースのみとなる「カーボンウッド時代の幕開け」で、チタンドライバー時代を終わらせるという。一際目を引く情熱の赤。そして、大きくなったフェースがそれだが、まず発表会に登壇した同社契約プロの塩見好輝、池村寛世、石坂友宏、永峰咲希、松森彩夏、山路晶、鶴岡果恋の7人の声を聞いた。
このフェースはカーボン素材を60層も重ねて耐久性と強度を上げつつも、チタンより約半分に軽量化。これによりインパクトの瞬間、「重いボディ部が後ろから押すため、接触時間が長くなるうえに初速も出る」という。
「本当にカーボンフェースでボール初速が出るのか?」。飛距離への影響度が7割とも言われる部分だけに、最も気になるのがゴルファー心理だと思う。
「本当にカーボンフェースでボール初速が出るのか?」。飛距離への影響度が7割とも言われる部分だけに、最も気になるのがゴルファー心理だと思う。
飛ばし屋の池村は「キャリーが10ヤード上がったデータが出た。キャリー300ヤードを目標にしていて、それが安定して出るのではと感じた。今年が終わった時の平均飛距離を見るのが楽しみ」と大きな手応え。『ステルスプラス』でいい当たりの時のボール初速がこれまでの78m/sから80m/sへとアップしたことも明かす。1.5m/s上がった塩見、石坂も「初速が上がった」と口をそろえる。
また、女子ツアーの飛ばし屋・山路は、フェース面積が『SIM』よりも約20%広がったことで「ミスしても飛距離が落ちずビックリ」と恩恵を語る。また昨季平均飛距離243.81ヤード(17位)で、今年から契約を交わした鶴岡も『ステルスプラス』で「キャリーが227から240に伸びて、多めだったバックスピン量も2800くらいだったのが2400rpmくらいまで落ちました」と話す。
また、女子ツアーの飛ばし屋・山路は、フェース面積が『SIM』よりも約20%広がったことで「ミスしても飛距離が落ちずビックリ」と恩恵を語る。また昨季平均飛距離243.81ヤード(17位)で、今年から契約を交わした鶴岡も『ステルスプラス』で「キャリーが227から240に伸びて、多めだったバックスピン量も2800くらいだったのが2400rpmくらいまで落ちました」と話す。
コリン・モリカワも「こんなジャンプは初めて」
タイガー・ウッズは「12月に新しい『ステルス』カーボンウッドドライバーでプレーしました。早く手に入れてくれたテーラーメイドに感謝。本当に素晴らしい製品です」と昨年末にSNSを投稿。カット(フェード)してもドローとさして変わらない点について気に入っている。また、2022年の開幕戦「セントリー・トーナメント・オブ・チャンピオンズ」から投入した世界ランク2位のコリン・モリカワも次のように話す。
「実際にボールスピードの増加がありました。こんな上がり方を見たのは初めて。もう少しボールスピードが上がれば、もう少し飛距離が出るので、強い武器になります。カーボンなのに通常のチタンフェースと変わらない好感触で、信じられないです。赤いフェースですが、5球ほど打つともうそこは考えなくなりました。アドレスをした時、とても綺麗なフェース面に見えます」(コリン・モリカワ)
去年のPGAツアーのスタッツで、平均ボールスピードが「168.62mph」だったモリカワだが、開幕戦を『ステルスプラス』でプレーして「169.91mph」に上がっていた。中にはドライバー以外のショットも含まれるはずだが、それは他の選手も同じ。そして、開幕戦に出場した他契約の選手は昨年よりボールスピードを落としていた。
「実際にボールスピードの増加がありました。こんな上がり方を見たのは初めて。もう少しボールスピードが上がれば、もう少し飛距離が出るので、強い武器になります。カーボンなのに通常のチタンフェースと変わらない好感触で、信じられないです。赤いフェースですが、5球ほど打つともうそこは考えなくなりました。アドレスをした時、とても綺麗なフェース面に見えます」(コリン・モリカワ)
去年のPGAツアーのスタッツで、平均ボールスピードが「168.62mph」だったモリカワだが、開幕戦を『ステルスプラス』でプレーして「169.91mph」に上がっていた。中にはドライバー以外のショットも含まれるはずだが、それは他の選手も同じ。そして、開幕戦に出場した他契約の選手は昨年よりボールスピードを落としていた。
「ソニー・オープン」で使用者激増!初速は?
2022年の2試合目「ソニー・オープン・イン・ハワイ」では、出場選手が通常のように増え、『ステルスプラス』を中心に使用者が激増する結果に。確認できただけでも、キーガン・ブラッドリー、トレイ・マリナクス、ハリー・ヒッグス、ローリー・サバティーニ、ライアン・パーマー、ジム・ハーマン、ケビン・チャッペルほか12名がモリカワやタイガーと同じ『ステルスプラス』を投入していた。
では、実際にボール初速はあがっていたのか?今季(2020年10月〜今大会)の平均ボール初速と、『ステルス』を投入した「ソニーオープン・イン・ハワイ」のボール初速との差を調べてみた。全選手のデータが取れているわけではないが、ご覧の通りだ。
ケビン・チャッペル 171.19⇒175.46mph(+4.27)
ルーカス・グローバー 168.52⇒170.32mph(+1.8)
ライアン・パーマー 171.57⇒173.77mph(+2.2)
では、実際にボール初速はあがっていたのか?今季(2020年10月〜今大会)の平均ボール初速と、『ステルス』を投入した「ソニーオープン・イン・ハワイ」のボール初速との差を調べてみた。全選手のデータが取れているわけではないが、ご覧の通りだ。
ケビン・チャッペル 171.19⇒175.46mph(+4.27)
ルーカス・グローバー 168.52⇒170.32mph(+1.8)
ライアン・パーマー 171.57⇒173.77mph(+2.2)
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テーラーメイド『ステルスプラス』。浅・低重心で操作性に優れたモデル
1mphは日本で馴染みのあるメートル/秒に換算すると、0.447m/sに相当する。この数字でいえば、ルーカス・グローバーで約0.8m/s、ライアン・パーマーで約0.98m/s、ケビン・チャッペルで約1.9m/sのアップ。しかも、今季の平均に今大会の伸ばした数字が加味されるため、実際はもう少し数字は大きいはず。
塩見や石坂、池村たちは1.5〜2m/sのボール初速アップは【いい当たりをした時の最大値比較】であったのに対し、今回のPGAツアースタッツは【試合で計測された平均値】。カーボンフェースは、チタンフェースをこれまで使ってきたPGAツアーの猛者たちに確実にボール初速の恩恵があると分かった。
塩見や石坂、池村たちは1.5〜2m/sのボール初速アップは【いい当たりをした時の最大値比較】であったのに対し、今回のPGAツアースタッツは【試合で計測された平均値】。カーボンフェースは、チタンフェースをこれまで使ってきたPGAツアーの猛者たちに確実にボール初速の恩恵があると分かった。
本当に、飛距離は伸びるのか?
ただし、ボール初速が上がったからといって、「飛びの3要素」である、スピン量や打ち出し角が失われてしまったら、トータル飛距離が伸びることはない。そこで、今季のドライビングディスタンスと、『ステルスプラス』を投入した今大会の各選手の平均飛距離差を調べてみた。特に伸ばしていたのが、下記の選手だ。
ディラン・ウー 295.2⇒309.5y(+14.3y)
ライアン・パーマー 307⇒318.5y(+11.5y)
ルーカス・グローバー 298.5⇒302.6y(+4.1y)
キーガン・ブラッドリー 305.3⇒308.9y(+3.6y)
キーガン・ブラッドリーやディラン・ウーは、その他の2人ほどボール初速のデータとしては上がっていなかったが、飛距離が伸びたのはハワイの固い地面のせいか、それとも『ステルスプラス』の低スピン性能の恩恵か。いずれにせよ、打ち下ろしの多かったカパルアの初戦「セントリー」よりフラットなロケーションで飛距離が伸びたというのは注目ポイント。
ディラン・ウー 295.2⇒309.5y(+14.3y)
ライアン・パーマー 307⇒318.5y(+11.5y)
ルーカス・グローバー 298.5⇒302.6y(+4.1y)
キーガン・ブラッドリー 305.3⇒308.9y(+3.6y)
キーガン・ブラッドリーやディラン・ウーは、その他の2人ほどボール初速のデータとしては上がっていなかったが、飛距離が伸びたのはハワイの固い地面のせいか、それとも『ステルスプラス』の低スピン性能の恩恵か。いずれにせよ、打ち下ろしの多かったカパルアの初戦「セントリー」よりフラットなロケーションで飛距離が伸びたというのは注目ポイント。
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テーラーメイド『ステルス』。寛容性に優れた『SIM2 MAX』の後継モデル
また、編集部カウントでは『ステルスプラス』が12人に対して、『ステルス』の使用者のアダム・ロンと、なんといってもアマチュアの中島啓太に注目せざるを得ない。アマチュアの世界ランク1位として、タイガー・ウッズが所属するマネジメント会社「エクセルスポーツ」と契約を結び、全米メディアの注目度も満点。
シャフトは『ツアーAD UB』のまま『SIM2 MAX』からヘッドを『ステルス』に交換して、4日間平均302.6y(26位タイ)をマーク。昨季の国内男子ツアーでは平均飛距離が297.5yだったが、アマチュアもカーボンフェースの恩恵を受けると言えるだろうか。
シャフトは『ツアーAD UB』のまま『SIM2 MAX』からヘッドを『ステルス』に交換して、4日間平均302.6y(26位タイ)をマーク。昨季の国内男子ツアーでは平均飛距離が297.5yだったが、アマチュアもカーボンフェースの恩恵を受けると言えるだろうか。