『ROGUE ST MAX アイアン』は、不思議なアイアンです。まず、丸っこいフォルムで、おもちゃのような雰囲気なのに、構えるとしっくりするのです。特に、ショートアイアンはお見事です。

打ってみても、不思議な感覚が続きます。見た目からは想像できない通好みの感触が味わえます。打感の良さの基準は曖昧ですが、真芯に当たらないゴルファーでも芯感を堪能できるのは、『ROGUE ST MAX アイアン』のプラスポイントかもしれません。

ドローは打ちづらいという印象を持ったのは、フェードが大小をコントロールできるのに、ドローはスイッチ的な大きめのドローしか出ないからです。これは、マイナスではなく、プラスなのだと、後になってから思いました。一つには、直進性能をアップさせた結果であると考えられるということ。もう一つは、ドロー打ちの場合は、同じ曲げ幅のボールを繰り返し打ちたいゴルファーが多いのではないかと推測できるわけで、そうだとすれば、『ROGUE ST MAX アイアン』はドロー打ちにもバッチリなアイアンと言えるのです。

海外ブランドのアイアンは、パワーヒッター用にチューニングされている感じがするものが多々ありますが、『ROGUE ST MAX アイアン』は、ヘッドスピード40m/sのゴルファーでもフルに機能を発揮してくれます。

ヘッドが大きいのにシャープなアイアンが欲しいゴルファーに『ROGUE ST MAX アイアン』はオススメです。また、ぶっ飛び系アイアンを使ってみたいと迷っているゴルファーにも『ROGUE ST MAX アイアン』はオススメです。

どこが一番良いですか？　と聞かれたら、「羊の皮を被ったオオカミ的な本格感」と答えます。

僕のように、すでに、ぶっ飛び系アイアンを使用していて、2番手アップのゴルフを経験しているゴルファーと、アイアンの全ての番手をしっかりと打てるゴルファーには、注意点があります。算数的にはわかるのですけれど、番手アップした分、どこかに番手の大きな歪みが出たり、フルショットで使うウェッジがたくさん必要になったりするのが、ぶっ飛び系アイアンの宿命的な欠点です。

『ROGUE ST MAX アイアン』も、その欠点について、完全に解決は出来ていません。この欠点がスコアに出なくする工夫もありますし、腕前で可能になる側面もありますので、ぶっ飛びアイアンはむずかしい、という定説が出てきているわけです。欠点の影響を最小限にするために、1.5番手アップにしたのだと推測しました。

『ROGUE ST MAX アイアン』は、打ち手の心を知っているアイアンです。本格的な雰囲気を感じるという要素の中に、アイアンが打ち手に求めてくる技量を感じさせるという部分があります。これについては、うざったいと感じるゴルファーもいると思いますが、個人的には大好物で、嬉しくなります。『ROGUE ST MAX アイアン』で、感心したのは、クラブをオートマチックな用具としてドライに考えているゴルファーには、それなりの対応をするということです。
僕が感じ続けた違和感というか、不思議な感じの理由は、この表裏一体な部分だとわかったのです。

『ROGUE ST』シリーズは、ウッドの面白いクラブが多くて、結果も出ていますが、アイアンも負けていないのです。その証拠の一つが、『ROGUE ST MAX アイアン』です。少しでも興味があれば、打ってみるべきです。

『ROGUE ST MAX アイアン』

ヘッド素材　：17-4ステンレス＋ウレタン＋タングステンウェイト（#6、#7）
　　　　　　　17-4ステンレス＋ウレタン（#8、#9、PW）
フェース素材：カーペンター450ステンレス
ロフト　　　：#6/24.5度、#7/27.5度、#8/32度、#9/36.5度、PW/41度
シャフト　　：N.S.PRO ZELOS 7（S）

ロマン派ゴルフ作家。1965年東京都文京区生まれ。中学１年でゴルフコースデビューと初デートを経験し、ゴルフと恋愛のために生きると決意する。競技ゴルフと命懸けの恋愛に明け暮れた青春を過ごし、ゴルフショップバイヤー、広告代理店、市場調査会社を経て、2000年よりキャプテンc-noのペンネームでゴルフエッセイストに。日本ゴルフジャーナリスト協会会員