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寸胴グリップでアプローチ激変?「ウェッジは寸胴で【右手が常に上】。もうダフれません」

寸胴グリップでアプローチ激変?「ウェッジは寸胴で【右手が常に上】。もうダフれません」

フォーティーン『MT-28』や、プロギア『MTI』など、ウェッジの名器を生み出し続けてきた宮城裕治氏。そんな匠から、「ダフリが嫌なら寸胴グリップ」と、超コスパのいい提案が!(撮影・山代厚男)

配信日時:2022年5月20日 18時00分

アプローチが苦手な初心者に最適な「極太・寸胴」

ゴルフパートナーで購入した、ミズノ『シュアDDチッピングパター』には、極太の『CP2 PRO』が元々入っていました

ゴルフパートナーで購入した、ミズノ『シュアDDチッピングパター』には、極太の『CP2 PRO』が元々入っていました

――宮城さん、私はアプローチが超ヘタで、禁断のチッパーさえ検討中です。今日は手持ちのウェッジとミズノ『シュアDDチッパー』を持ってきましたが、見てもらえますか?

宮城 『シュアDD』シリーズって、ゴルフパートナーで販売中のものですよね。おっ、最初から寸胴グリップの『CP2 PRO』が入ってるじゃないですか。しかも、極太のジャンボサイズとミッドサイズ。コレはアプローチの苦手な初心者にはいいですよ。
宮城裕治/フォーティーン出身。現在は東京・江東区某所で「クールデザイン」を主宰。フリーの開発者としの顔も

宮城裕治/フォーティーン出身。現在は東京・江東区某所で「クールデザイン」を主宰。フリーの開発者としの顔も

ここまで太い寸胴だと、握る時に手首を自然に横から持つ形になりますし、パターの延長で両手首を使わない打ち方になるでしょ。グリーン周りで20ヤード以内とか、短い距離を安全に転がしで攻めたい人にはアリだと思いますね。

――(いや、実は初心者ではないんです……)あの……、もしかしてチッパーだけじゃなく、ウェッジでも太い寸胴グリップを入れると、メリットがあったりしますか?

宮城 (ギラッと目付きが変わる)その話をしますか? ここからは有料ですよ?(笑)

―― ぜ、ぜひ!

10年以上前、女子ツアーで『寸胴』をテストした

右手部分が太い「寸胴=テーパーレス」グリップに4種類ものラインナップ!

右手部分が太い「寸胴=テーパーレス」グリップに4種類ものラインナップ!

宮城 今でこそ、ゴルフプライドには『MCC PLUS4』とか、こういった『CP2 PRO』とか『CP2 Wrap』とか、新しい『CPX』とか、最初から寸胴で太いものがあります。でも、昔は下巻きテープでプロに対応してきたんですよ。それこそ、欧州男子ツアーだと右手部分が8重巻きとか。そんな中、私もずっと寸胴グリップのメリットと可能性を探っていて、10年ほど前にあるメーカーの仕事で寸胴を作って国内の女子プロ複数名にテストしてもらったことがあるんです。

―― 結果はどうだったんですか?

宮城 読み通り。(笑)特にアイアンが良いというか、寸胴にするとヘッドが上から入りやすくなります。スイング中、常に右手が上に状態が作れるというか、切り返し以降でクラブが寝づらくなる。これは、ウェッジも同じで、むしろ顕著にアプローチも上からクリーンに入れやすくなりますね。

―― でも、女子プロは男性より手も小さいはずだし、太さの違和感はないんですかね?

宮城 と思うでしょう? そんなことはなく、女子プロでも寸胴が合いますよ。

ウェッジのダフリは「右手の力み」が原因

右手が力むと、ほどけてダフリ…

右手が力むと、ほどけてダフリ…

―― 意外。女性用クラブのグリップって、すごく細いものが多いですし……。

宮城 ポイントは、全体の細さじゃなく、右手部分の太さ。ほら、女子プロのアプローチって、少し手前からヘッドが入るというか、インサイドから少し垂れる傾向がありますよね。これは非力なジュニア時代から重いクラブを使った弊害とも言えます。寸胴で右手部分が太いグリップに替えるだけで、右手が常に上の状態で振れて、上から入ります。グリップって、それほどスイングに自然に影響するものですよ。

―― でも、多くのグリップは右手部分が細いので、疑問もあります。女子プロの場合、技術が高いからそうなるだけでは?
太めの寸胴は重いため、カウンターバランス効果も

太めの寸胴は重いため、カウンターバランス効果も

宮城 アマチュアも同じですよ。むしろ、もっと効果的。特に、ダフリの原因は、右手が力むこと。力むほどコックが解けて緩みやすいというか、ヘッドが垂れて上から入れられない。寸胴だと力まず、右手首の角度もキープしやすくなります。

例えば、この寸胴で太い『CPX』ですが、ジャンボサイズだと80g近くあるし、ミッドサイズも60g以上と重いでしょう。右手の太さで力まない上、カウンターバランス効果でヘッドを軽く感じるから、ダフリに強い。そこまで疑うなら試してみます?

―― そうですね、グリップを替えるだけで変わるなら……。

『CPX』は、表面がソフトで凹凸が大きい寸胴

上下にマイクロテクスチャー、左右にキルティングパターン

上下にマイクロテクスチャー、左右にキルティングパターン

宮城 分かりました。提案としては、飛びすぎが嫌な58度は『CPX』のジャンボサイズ、フルショットも打つ52度は『CPX』のミッドサイズにしては? 2本ともカウンターバランスでヘッドが軽く感じて、操作しやすくなると思いますよ。

―― ちょっとこの太さは未体験で怖いですね……。でも、どうせ使い古したウェッジだし、ダメ元か……。それでお願いします!

宮城 作業して、乾くまで少し待ってください。この『CPX』は横の部分に「キルティングパターン」という大きな凹凸が付いていて、すごく滑りにくい。汗とか雨にも強そうですし、試す価値大ですよ。装着前の状態だとすごく表面がソフトですが、溶剤が乾くとどう感じるか?楽しみですね。

―― 乾くまで、ダフリ以外の悩みも聞いてもらえませんか?

宮城 ヒッカケや、左右もズレる?

―― はい。先程の「右手が常に上」が、イマイチ理解できなくて……。今と昔じゃ、技術やスイングが変わったから寸胴グリップが適す時代になったとか?

今も昔も「リリース」を誤解しちゃダメ

「名手は体の正面から手元とクラブが外れません」

「名手は体の正面から手元とクラブが外れません」

宮城 いや、昔も同じで、名手は体の正面から両手とヘッドが外れずトゥが上を向くフィニッシュです。顕著なのが片山晋呉プロですし、ジャンボ尾崎プロや、藤田寛之プロも。インパクトもフィニッシュも体の正面で、体を回すというか入れ替えるだけ。クラブの重さに負けたり、力んで小手先で操作すると、この関係性が崩れて、クラブが右手側に外れやすい。

―― たしかに、返り過ぎないようにと、ヒッカケを怖がって左ヒジを抜きがちです……。

宮城 やっぱり……。例えばこの硬いマットから、1ヤードキャリー打てますか? お店に来るプロは皆ダフらず打てますが、小手先で動かす人は、必ずダフって弾かれる。プロはどんな距離でも下半身リード。小手先で操作しないから入射が正確です。

―― 明らかに後者です……。でも、昔のプロは腕さばき、クラブさばきが巧みに見えた気もします。巧みなリリースというか、ローテーションというか。

宮城 リリース? そう見えているだけで、プロは腕を返したりしませんよ。再現性の高いアプローチは、今も昔も胸の正面に両手とクラブが来る形。体を入れ替えるだけですよ。

滑らずグローブ不要。太めはカウンターバランス効果も

テンフィンガーグリップのゴルファーが増える!?

テンフィンガーグリップのゴルファーが増える!?

―― なるほど……。そろそろ乾きましたかね?

宮城 いやいや、『CPX』のグリップ力は凄いですね。素手でいいから、グローブメーカーが泣いちゃいそう。(笑)ヘッドもカウンターバランスで操作しやすいし、グニュグニュせず中にしっかり芯のある握り心地。どうです?かなり太いので両手を離すスプリットハンドドリルに近い感覚もあるかも。太すぎて感覚が出ないなら、スタンダードサイズでもいいと思いますよ。

―― いや、イイかも! 軽く素振りして新感覚です。たしかに小手先で上げられず、再現性が高そうです。

宮城 今回はアプローチ対策でしたけど、実は寸胴グリップは、ドライバー含め14本全てにオススメだと思っていて……。ゴルフプライドが種類を増やして一般化してきましたが、寸胴が普及した未来は、スイングも変わると思ってます。

―― 先程おっしゃった「小手先で打てない」部分ですか?

宮城 オーバーラッピングの握り自体、不要になるかも。つまり、今後はテンフィンガーグリップも増えるんじゃないかなと。ジェット尾崎プロは2本かけるダブルオーバーラッピングでしたが、こういった寸胴がなかったからとも言えます。

それに、先程アプローチでも言った通り、手先を使わず、体の正面に腕とクラブがある形で振りたいのは全ショット共通じゃないですか。アイアンも上から打てますし、ドライバーの曲がりも減る可能性もある。次回の企画に活かしてくださいね。

―― ありがとうございました!

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