良さそうだけど、どこまで効果があるのかイマイチ分からないゴルフクラブの“フィッティング”。そんな疑問に答えるべく、2人のアマチュアテスターに純正スペックの“吊るし”とフィッティングしたクラブで試打比較を実施。すると、振り心地も、飛距離も大きく変化する驚きの結果となった。
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取材協力/ヴィクトリアゴルフ郡山並木店 写真/高橋淳司 構成/田辺直喜
VICTORIA GOLF STUDIOのデジタルフィッティングをアマチュアテスター2名が体験。ガチでフィッティングしたクラブは驚きの実力だった!
スイングを可視化する「VICTORIA GOLF STUDIO」のデジタルフィッティング
スイングセンサーを用いた計測で、軌道やインパクトのデータを取り、最適なクラブ選びを行うデジタルフィッティング
ゴルファー個人のスイングタイプやパワー、体格に合わせて最適なクラブ、スペックを提案するのが、いわゆる “フィッティング” だ。近年、力を入れるクラブメーカーやゴルフショップが増えており、ゴルファーにとってより身近なものになりつつある。
一方で、フィッティングを受けてクラブを購入するゴルファーの数は決して多くない。フィッティングに、どれほどの効果があるのかまだまだ懐疑的に考えるゴルファーが多いのだろう。
そこで今回は、タイプの違う2人のアマチュアテスターが、ヴィクトリアゴルフ郡山並木店にお邪魔して、VICTORIA GOLF STUDIOのデジタルフィッティングを体験。フィッティングの効果をより具体的に測るため、テスターが自分で選んだ“吊るし”、つまり純正スペックのクラブとフィッターが組んだクラブとで飛距離比較も行った。
『LB818』や『TW757』など、実際に売り場に並んでいる“吊るし”のクラブの中から自分で選んだクラブとフィッターが組んだクラブとで、どれくらいの差が出るのか実験
ヴィクトリアゴルフ郡山並木店で、アマチュアゴルファーの悩みに応える凄腕フィッター。クラブやスイングに関する豊富な知識を基に最適なクラブ探しをサポートする
フィッティングを担当するのは、ヴィクトリアゴルフ郡山並木店に在籍する遠藤和洋さん。豊富なクラブ知識を基に最適なクラブ探しをサポートする凄腕フィッターだ。
HS42m/s、車田雅樹さんはシャフトの重量アップで引っかけを解消!
1人目のテスターは車田雅樹さん。1988年生まれ、漫画の影響で中学生からゴルフを始めた平均スコア95のエンジョイゴルファーだ
まず、フィッティングを受けたのは、33歳の車田雅樹さん。飛ばそうとした時などに、力んで出てしまう引っかけが悩みだという。
数ある吊るしのクラブから『TW757 Type-D ドライバー』を手に取る車田さん
そんな車田さんが自分で選んだのが、本間ゴルフの『TW757 Type-D ドライバー(10.5度)』に『VIZARD MP-5S』が装着されたモデル。引っかけが悩みということで、元調子系のシャフトを選ぶまでは良かったが、ボールは左右に散らばってしまった。問題の引っかけ球も出てしまい、スピン不足でドロップしたこともあって、飛距離は239ヤードと伸び悩んだ。
続いて、遠藤さんによるフィッティングがスタート。
最新のスイングセンサーを用いて、車田さんの振り方の癖を見ていく
VICTORIA GOLF STUDIOのデジタルフィッティングでは、まずSONY製のスイングセンサーを使用する。グリップの下に専用機器を装着し、タブレットでスイング動画を撮影しながら、「クラブパス」や「アタックアングル」、「インパクトフェイス角」といったデータを計測していく。すると、そのスイングデータに合わせて必要なクラブの要素がタブレット上に示され、同時に相性の良いクラブヘッドやシャフトの組み合わせが推奨されるのだ。
ダウンスイングのテンポなどから、最適なシャフトも分かる
計測結果を踏まえて、遠藤さんがチョイスしたのが、本間ゴルフの『LB818 ドライバー(10.5度)』に『VIZARD FP-6S』が装着されたモデル。車田さんが選んだモデルに比べて、やさしくつかまるヘッドに、やや重めのシャフトという組み合わせだ。
本間ゴルフが培ってきた匠の技と最先端テクノロジーを凝縮した高性能ヘッド『LB818』に、元調子の『VIZARD FP-6S』を合わせた
「重くするのはどうかと思いましたが、不思議とスイングが安定しました。引っかけが減るだけでなく、しっかりキャリーが伸びてくれました」(車田さん)
最適なクラブでインパクト効率が上がり、飛距離が伸びた車田さん
思いがけない組み合わせに驚いた車田さんだったが、ボールの方向性が変化。悩みだった引っかけが明らかに減り、ほどよくつかまったボールで飛距離も257ヤードまで伸びた。
「車田さんは、シャフトが軽量だったせいか手先でこねる動きがありました。そこでシャフト重量を60グラム台に上げ、ヘッドはよりやさしく高さが出るモデルに変更しました。方向性を整えつつ、つかまった球が出るようになりましたね」(遠藤さん)
今回の車田さんのケースでは、軽量で力みやすいスペックを選んでしまっていたことが引っかけの原因だった。あえてシャフトを重くし、つかまりをヘッドで補うことで、手先でこねる悪い癖が抑えられて、ドライバーの飛距離と方向性が整ったようだ。
HS50m/s、山岸孝太郎さんはつかまるヘッドとスペック調整でスライスが直った
2人目にフィッティングを受けた山岸孝太郎さん。1996年生まれで、社会人になってから本格的にゴルフを始めて、平均スコアは90
続いてフィッティングを受けたのは、社会人になってからゴルフを始めたという山岸さん。学生時代に野球に打ち込んできたこともあり、HSはプロ並みの50m/sで、当たれば300ヤード飛ぶこともある。しかしその分、ミスした時の曲がりも大きくなりがちで、特に、スライスが悩みの種だという。
以前知人から受けた“とにかくハードなものの方が良い”というアドバイスを基に、アスリートモデルの『TW757 Type-S ドライバー』を選んだ山岸さん
実際、山岸さんが選んだ吊るしクラブ、本間ゴルフの『TW757 Type-S ドライバー(9.0度)』に純正シャフトの『VIZARD SHAFT for TW757(S)』を打つと、どうやっても振り遅れが止まらなかった。強烈なスライスになることもあって、HS50m/sのパワーを生かせず、吹け上がるような弾道で飛距離は268ヤードに止まった。山岸さん自身も、「フィニッシュでふらふらする感じになる」と違和感が拭えない様子。
70グラム台のXシャフトなど、吊るしにはないスペック、組み合わせが選べるのもフィッティングの魅力だ
そこで遠藤さんがデジタルフィッティングを基に提案したのが、『VIZARD FZ-7(X)』というハードなシャフトに、『TW757 Type-D ドライバー(10.5度)』というつかまるヘッドを組み合わせたクラブだった。
「HSが50m/sもあると、吊るしのスペックではシャフトがしなり戻らず、どうしてもフェースが開いて当たります。山岸さんのパワーでもしっかりシャフトがしなり戻る元調子の重いXシャフトに変更しつつ、ヘッド性能でつかまりをプラスしました。これでスライスはかなり改善されるはずです」(遠藤さん)
このクラブを振って1発目から「気持ちいい!」と笑顔の山岸さん。スライスの曲がり幅が激減し、スピンも減ったことで飛距離は306ヤードに急上昇した。
「インパクトの当たりが最高に気持ち良くなりました。今までは周りの人に言われて、ハードなスペックのものを何となく選んでいましたが、今日改めて、スイングやクラブの説明を聞けて、ギアへの理解も深まりました」(山岸さん)
山岸さんのように、自分がどんなスイングをしていて、どんなギアが必要なのかが分からない例も決して少なくない。VICTORIA GOLF STUDIOでは、知識豊富なフィッターが、スイングやクラブについて、詳細な解説をしてくれることも大きなメリットだと言えるだろう。
「吊るしのクラブは幅広いゴルファーに合うスペックに整えられています。しかし、ゴルファーのパワーやスイングは人それぞれ全く違います。フィッティングでは、吊るしでは選べない重量帯のシャフトを選ぶことも、つかまるヘッドに重いシャフトといった組み合わせも可能になります。スペックをきっちり合わせれば、飛距離アップはもちろん、振り心地も格段に良くなります。ぜひ、店舗でお気軽にフィッティングを試して欲しいです」と遠藤さん。
“ガチ”で行うフィッティングには、ゴルファーのスキルを大きく底上げする確かな効果があるようだ。