【バケモノたちの使用ギア】永野竜太郎と一緒に回って感じた、男子プロの“凄さ”
先日のPINGの試打ラウンドレポートの最終章。永野竜太郎と一緒に回ることになったのだが、そこで1ラウンドを共にすると、いろいろなことを感じた。やっぱり、ヤツはバケモノだ!
配信日時:2017年7月16日 06時47分
PING『iブレード』を使用して、4番アイアンを真上から落とせる!
10番ホールのティショット。まったく振っていませんが、軽く290ヤード越えてます……
永野プロはサービス精神が旺盛だ。前半ハーフではチーム戦の勝敗もかかるため、抑えて振ってキャリー290ヤード、平均300ヤードちょっとを打っていた。が、ところどころでマン振りを披露してくれた。時間は前後するが、最終ホールで見せてくれたドライバーのマン振りが強烈だった。
ヘッドスピードで言うと、トラックマンで53、4m/sは越えるだろうか。そして、ハイドローだったのだが、いつもよりさらに球の高さが出ていた。最高到達点でいうと、55ヤードから60ヤードは出ているだろうか。トータルは340ヤード弱。あの高さからするとランは少ないだろうし、完全どフラットなホールロケーションで微風の追い風とはいえ、320ヤード以上のキャリーを記録していた。(なんでコスリ球じゃなく、ドローなのにこんなに球が高いの!?)
いちいち驚く筆者に対して本人はそっけない。「こんなの、チャン・キムだったらグリーンに乗ってますよ。彼がマン振りしたら、40ヤードは前にいるんじゃないですか」と語るのだが、完全フラットな408ヤードを残り70ヤード弱まで運んでおいて、これが当たり前、もしくはまだまだという感覚らしい。永野プロが目指す理想が現状よりもはるか遠いのだという言葉がやけに頼もしくもあった。
そして、チーム戦に大貢献した3つのイーグルは、全て永野プロの超高弾道アイアンから生み出された。永野プロの通常の4番アイアンのキャリーは225ヤード。ドライバーも高弾道だが、こちらもありえないほどの高弾道で、筆者の4番アイアンの最高到達点の倍は軽い。浦和GCは河川敷で小さく硬いグリーンが特徴なのだが、物ともせずに真上から止めていた。しかも、PINGでは最も手強いマッスルバックに近い『iブレード』でこれを放つのだから、呆れて物が言えない。
12番ロングのイーグル奪取のシーンが強烈だった。EVE編集部のF田氏が300ヤード近くを『G400』でかっ飛ばしたのはいいものの、ラフに入ってしまった。浦和GCはティフトン芝が多く入っており、ボールがすぽっと沈む。アマ3人は残り187ヤードからみなダフって飛ばずといったミスショットを繰り返した。筆者は6番アイアンで大ダフリである……。
打つ前に永野プロが「このショット、無難にいくか、イチかバチかで攻めるかどうします?」と聞いた。迷わず筆者は「イチかバチかで行きましょう」と答える。「分かりました」と永野プロが振り抜いた球は、最高到達点で70ヤードを越えるのではないか?というほどのハイドロー。見事ピン奥10mに付けた。「何番ですか?」と聞いて驚いた。8番アイアンだというのだ。
「いまのはフライヤーも計算して、上に上げに行ったんですよ。ドロー目に入れて、上方向にフライヤーさせる感じですかね。うまく行きました」(永野プロ)
上にフライヤーさせる? もう訳が分からない。よく筒康博氏が「いまのPGAツアープロは上に向かってフライヤーさせるように球を打ってますよ」と説明を受けていたのだが、そんな球を目の当たりにしたことはなかったし、「そんなもんかなぁ」とうわの空だったのだが、まさにそれを永野プロは狙ったのだとか。だが、こうも言っていた。
「例えば、いまのショットとか、どうやって打つとか全て感覚なんで人に説明するのが難しい。ボクら男子ツアープロ同士なら感覚的に理解できると思うのですが、これを一般の方に理解しろというのは難しいですよね。下手するとプロコーチの人にも理解できないと思う。プロコーチの人にこの球を打つ感覚がないと思うので。ましてや、アマチュアの人に理解出来ないのも当然だと思いますよ。
でも、ボクら男子プロの存在って、常人が理解できない球を打つことも必要だと思うんです。ボクがジュニア時代に、タイガー・ウッズが宮崎に来ているのを観に行って、“うわぁ〜スゲー、あり得ない”って驚いた。興奮しましたよ、そりゃね。それと同じように、目の前であり得ない、スゲーって思う球を自分も打ちたいと思うし、打たなきゃいけないと思う。もちろん、スコアを作りながらね。
だから、ボクはプロアマ戦でも、あえてショーに徹するようにしているんです。最近だと女子ツアーにならってアマチュアと同じ白ティから回るようになったんですけど、同じティから回ると差がよく分かるでしょう? ボクら男子プロのやっていることや目指すことを理解してもらわないといけない。だから、試合前日であろうが、プロアマ戦でマン振りもします。やっぱり、男子プロの存在価値って、そういう迫力や理解できない凄さなど“魅せる”ことが本質だと思うので」(永野プロ)
そう、そうなのだ。同じティで回ると、本当に永野プロの凄さがよく分かる。ロープ外から見る世界とはまったく違う。ましてや、パソコンの画面上で見るスコアボードの数字から感じるものとも違えば、映像として流れてくる中継を切り取ったものとも違う。そんなものから、男子プロの凄さは分かるはずもない。
彼らの魅力や凄さは、間近で見ることに勝るものはない。この球の高さ、迫力は現場で目の当たりにした者にしか分からない。多くの人がその凄さを知らないまま、「女子ツアーの方が華やかだ」「自分に近いから参考になる」などと語っているに過ぎない。むしろ、「自分とあまりに違う」ことが彼らの魅力なのだと筆者は思う。
筆者が初めて男子ツアー観戦に行ったことを昨日のように想い出す。もちろん、この会社に入る前のことだ。1日20キロ近く駆け回った。プロの球の高さや飛距離、繰り出す技の数々を、この目に焼き付けたかったからだ。ジャンボさんがまだ50代半ばだった。それでも凄かった。田中秀道プロのビッグドローに痺れた。伊沢利光プロのハイフェードに憧れて、観た次の週に1日1000球打って手の皮がずる剥けになったっけ。この目に焼き付けた男子プロの憧れの球はまったく打てなかったなぁ……。でも、あの頃が一番ゴルフにハマっていたのは間違いない。
ヘッドスピードで言うと、トラックマンで53、4m/sは越えるだろうか。そして、ハイドローだったのだが、いつもよりさらに球の高さが出ていた。最高到達点でいうと、55ヤードから60ヤードは出ているだろうか。トータルは340ヤード弱。あの高さからするとランは少ないだろうし、完全どフラットなホールロケーションで微風の追い風とはいえ、320ヤード以上のキャリーを記録していた。(なんでコスリ球じゃなく、ドローなのにこんなに球が高いの!?)
いちいち驚く筆者に対して本人はそっけない。「こんなの、チャン・キムだったらグリーンに乗ってますよ。彼がマン振りしたら、40ヤードは前にいるんじゃないですか」と語るのだが、完全フラットな408ヤードを残り70ヤード弱まで運んでおいて、これが当たり前、もしくはまだまだという感覚らしい。永野プロが目指す理想が現状よりもはるか遠いのだという言葉がやけに頼もしくもあった。
そして、チーム戦に大貢献した3つのイーグルは、全て永野プロの超高弾道アイアンから生み出された。永野プロの通常の4番アイアンのキャリーは225ヤード。ドライバーも高弾道だが、こちらもありえないほどの高弾道で、筆者の4番アイアンの最高到達点の倍は軽い。浦和GCは河川敷で小さく硬いグリーンが特徴なのだが、物ともせずに真上から止めていた。しかも、PINGでは最も手強いマッスルバックに近い『iブレード』でこれを放つのだから、呆れて物が言えない。
12番ロングのイーグル奪取のシーンが強烈だった。EVE編集部のF田氏が300ヤード近くを『G400』でかっ飛ばしたのはいいものの、ラフに入ってしまった。浦和GCはティフトン芝が多く入っており、ボールがすぽっと沈む。アマ3人は残り187ヤードからみなダフって飛ばずといったミスショットを繰り返した。筆者は6番アイアンで大ダフリである……。
打つ前に永野プロが「このショット、無難にいくか、イチかバチかで攻めるかどうします?」と聞いた。迷わず筆者は「イチかバチかで行きましょう」と答える。「分かりました」と永野プロが振り抜いた球は、最高到達点で70ヤードを越えるのではないか?というほどのハイドロー。見事ピン奥10mに付けた。「何番ですか?」と聞いて驚いた。8番アイアンだというのだ。
「いまのはフライヤーも計算して、上に上げに行ったんですよ。ドロー目に入れて、上方向にフライヤーさせる感じですかね。うまく行きました」(永野プロ)
上にフライヤーさせる? もう訳が分からない。よく筒康博氏が「いまのPGAツアープロは上に向かってフライヤーさせるように球を打ってますよ」と説明を受けていたのだが、そんな球を目の当たりにしたことはなかったし、「そんなもんかなぁ」とうわの空だったのだが、まさにそれを永野プロは狙ったのだとか。だが、こうも言っていた。
「例えば、いまのショットとか、どうやって打つとか全て感覚なんで人に説明するのが難しい。ボクら男子ツアープロ同士なら感覚的に理解できると思うのですが、これを一般の方に理解しろというのは難しいですよね。下手するとプロコーチの人にも理解できないと思う。プロコーチの人にこの球を打つ感覚がないと思うので。ましてや、アマチュアの人に理解出来ないのも当然だと思いますよ。
でも、ボクら男子プロの存在って、常人が理解できない球を打つことも必要だと思うんです。ボクがジュニア時代に、タイガー・ウッズが宮崎に来ているのを観に行って、“うわぁ〜スゲー、あり得ない”って驚いた。興奮しましたよ、そりゃね。それと同じように、目の前であり得ない、スゲーって思う球を自分も打ちたいと思うし、打たなきゃいけないと思う。もちろん、スコアを作りながらね。
だから、ボクはプロアマ戦でも、あえてショーに徹するようにしているんです。最近だと女子ツアーにならってアマチュアと同じ白ティから回るようになったんですけど、同じティから回ると差がよく分かるでしょう? ボクら男子プロのやっていることや目指すことを理解してもらわないといけない。だから、試合前日であろうが、プロアマ戦でマン振りもします。やっぱり、男子プロの存在価値って、そういう迫力や理解できない凄さなど“魅せる”ことが本質だと思うので」(永野プロ)
そう、そうなのだ。同じティで回ると、本当に永野プロの凄さがよく分かる。ロープ外から見る世界とはまったく違う。ましてや、パソコンの画面上で見るスコアボードの数字から感じるものとも違えば、映像として流れてくる中継を切り取ったものとも違う。そんなものから、男子プロの凄さは分かるはずもない。
彼らの魅力や凄さは、間近で見ることに勝るものはない。この球の高さ、迫力は現場で目の当たりにした者にしか分からない。多くの人がその凄さを知らないまま、「女子ツアーの方が華やかだ」「自分に近いから参考になる」などと語っているに過ぎない。むしろ、「自分とあまりに違う」ことが彼らの魅力なのだと筆者は思う。
筆者が初めて男子ツアー観戦に行ったことを昨日のように想い出す。もちろん、この会社に入る前のことだ。1日20キロ近く駆け回った。プロの球の高さや飛距離、繰り出す技の数々を、この目に焼き付けたかったからだ。ジャンボさんがまだ50代半ばだった。それでも凄かった。田中秀道プロのビッグドローに痺れた。伊沢利光プロのハイフェードに憧れて、観た次の週に1日1000球打って手の皮がずる剥けになったっけ。この目に焼き付けた男子プロの憧れの球はまったく打てなかったなぁ……。でも、あの頃が一番ゴルフにハマっていたのは間違いない。