【バケモノたちの使用ギア】永野竜太郎と一緒に回って感じた、男子プロの“凄さ”
先日のPINGの試打ラウンドレポートの最終章。永野竜太郎と一緒に回ることになったのだが、そこで1ラウンドを共にすると、いろいろなことを感じた。やっぱり、ヤツはバケモノだ!
配信日時:2017年7月16日 06時47分
永野プロの『ゴルフIQ』に舌を巻くTANABEE。もちろん、筆者も
ここまで語ってきたのは、永野プロが放つ「弾道の凄さ」である。では、加齢で飛距離の落ちた人や、もともと飛ばし屋ではない人が、男子プロを観ても参考にならないのか? というと、そうじゃないと思う。何が言いたいかというと、本当に学ぶべきは「ゴルフIQ」の高さにあると思う。
筆者が感じたのは、永野プロの状況判断能力。例えば、浦和GCのグリーンは硬く、いい球を打っても奥にいってしまうことに永野プロは1ホール目から気づいていた。そのため、残り距離が68ヤードでも「60ヤードキャリー狙いで十分です」「花道キャリーでちょうどです」と、風の状況も加味してのセカンドショット前のアドバイスが的確だった。
そのため、アマ3人は迷いなくショットに臨めるため、初めて使用する『G400』アイアンでぶっつけ本番ながら、アイアンショットがホールを消化するにつれ、磨かれていった。また、TANABEEが帰路でもらした本音は、「グリーン読みが半端じゃなさすぎる」ということだった。
「ボクも2ndQTまで何度か行ってますし、プロになり損ねたクチですが、本当にあのグリーン読みの能力は凄いですね。一瞬で細かいグリーンの傾斜を判断して、芝目まで見抜いている。研修生としてプロを目指していた頃に、ボクにあの能力が備わっていればプロになれた。逆に言うと、その能力がないからプロになれなかったとも言えますね。自分のストロークを練習で積み上げて磨いていても、グリーンの読みに迷いが生まれると、そのストロークに狂いが出るものですから。あの読みの正確さがあれば、ストロークに迷いがなくなりますよ。一日何打、四日間で何ストローク違うのかと」(TANABEE)
プロの試合では、グリーンの反対側はもちろん、左右や途中などからライン読みをするのが普通だ。ところが、この日のラウンドでは、チーム戦がかかっているとはいえ、永野プロはそこまで執拗に読むことはしなかった。パッと見の第一印象を聞くと、かなり的確な答えが帰ってきて、それがものの見事に合っていた。
そのため、主にファーストパットを務めたEVEN編集部F田氏も迷いなく打って入らずともすごく参考となる外し方をしていた。そこまでラインが正確に見えれば、残りの3人が決めるのは造作のないことだ。セカンドショット、アプローチ、パッティングと全ては、永野プロの的確な状況判断から好スコアを生むサイクルが作り出されていたのだ。
最初にアマ3人が決めきれなくて外しても、永野プロは10メートル以上の勝負どころのパットを何度も決めた。ラインが見えていればその通り打てる。しかも入る。飛距離や高弾道だけじゃなく、本当に凄いのは勝負どころで決めきる能力なのかもしれない。
「ボクがやってることは感覚的なことなので、人に説明できないことがほとんどなんです。ショットのフィーリングもそうだし、アプローチも落としどころに打つための感覚も、パッティングもそう。よくアマチュアの話題で“◯◯プロはコーチを付けたほうがいい”という議論がありますが、本当にそうかな?と思いますね。コーチの役割で、プレーヤーが分からないことを第3者的に見てもらうことは確かに大事です。
でも、そのプレーヤーの持つ“感覚”を理解することって、本当に難しいものじゃないですかね。ましてや、同じ状況から打つことはないのがゴルフ。その状況においてイマジネーションを働かせ、感覚的に処理していく力は自分で身に付けなきゃいけないし、コーチが全て教えられるものじゃない。そういう意味では、コーチに頼り切りになるのは本質的じゃないとボクは思う。
プロゴルファーって、本当に感覚でやっているので、ちょっとのことがきっかけで悩みが深くなったりするんです。ボクもすごく気にしやすいタイプなので、人から言われることで迷うこともしょっちゅうです。でも、最後に頼れるのは自分の感覚しかない。ある意味、人から言われたスイングとか形を真似するのって簡単なんですよ。でも、本当の意味で自分の“太い感覚”をきちんと育てないといけない。一番難しいことですが、ボクはそこしか見てないですね。いや、本当に現在進行中で一番難しいことなんですけど……」(永野プロ)
帰り道の車中、「プロゴルファーとは、なんとストレスの多い因果な商売なのか」と改めて思った。こんなに凄いプレーをする永野竜太郎でさえ、男子ツアーでは未勝利。途中でどんなに凄いプレーをしてどんな挑戦を成功させようとも、結果だけでなんとでも言われ、受け入れなくてはならない。そして、正解がなく、頼れる答えを見つけ出すのも自分次第。予選落ちしたら1試合60万円近い赤字が当たり前……。下手な筆者からすると「割に合わなさ過ぎる」と感じるほど、ストレスの多い職業ではないだろうか。
永野プロ、頑張ってるのは分かってます。「頑張れ」なんて簡単に言えません。ただただ“応援”しています!
Text/Mikiro Nagaoka
筆者が感じたのは、永野プロの状況判断能力。例えば、浦和GCのグリーンは硬く、いい球を打っても奥にいってしまうことに永野プロは1ホール目から気づいていた。そのため、残り距離が68ヤードでも「60ヤードキャリー狙いで十分です」「花道キャリーでちょうどです」と、風の状況も加味してのセカンドショット前のアドバイスが的確だった。
そのため、アマ3人は迷いなくショットに臨めるため、初めて使用する『G400』アイアンでぶっつけ本番ながら、アイアンショットがホールを消化するにつれ、磨かれていった。また、TANABEEが帰路でもらした本音は、「グリーン読みが半端じゃなさすぎる」ということだった。
「ボクも2ndQTまで何度か行ってますし、プロになり損ねたクチですが、本当にあのグリーン読みの能力は凄いですね。一瞬で細かいグリーンの傾斜を判断して、芝目まで見抜いている。研修生としてプロを目指していた頃に、ボクにあの能力が備わっていればプロになれた。逆に言うと、その能力がないからプロになれなかったとも言えますね。自分のストロークを練習で積み上げて磨いていても、グリーンの読みに迷いが生まれると、そのストロークに狂いが出るものですから。あの読みの正確さがあれば、ストロークに迷いがなくなりますよ。一日何打、四日間で何ストローク違うのかと」(TANABEE)
プロの試合では、グリーンの反対側はもちろん、左右や途中などからライン読みをするのが普通だ。ところが、この日のラウンドでは、チーム戦がかかっているとはいえ、永野プロはそこまで執拗に読むことはしなかった。パッと見の第一印象を聞くと、かなり的確な答えが帰ってきて、それがものの見事に合っていた。
そのため、主にファーストパットを務めたEVEN編集部F田氏も迷いなく打って入らずともすごく参考となる外し方をしていた。そこまでラインが正確に見えれば、残りの3人が決めるのは造作のないことだ。セカンドショット、アプローチ、パッティングと全ては、永野プロの的確な状況判断から好スコアを生むサイクルが作り出されていたのだ。
最初にアマ3人が決めきれなくて外しても、永野プロは10メートル以上の勝負どころのパットを何度も決めた。ラインが見えていればその通り打てる。しかも入る。飛距離や高弾道だけじゃなく、本当に凄いのは勝負どころで決めきる能力なのかもしれない。
「ボクがやってることは感覚的なことなので、人に説明できないことがほとんどなんです。ショットのフィーリングもそうだし、アプローチも落としどころに打つための感覚も、パッティングもそう。よくアマチュアの話題で“◯◯プロはコーチを付けたほうがいい”という議論がありますが、本当にそうかな?と思いますね。コーチの役割で、プレーヤーが分からないことを第3者的に見てもらうことは確かに大事です。
でも、そのプレーヤーの持つ“感覚”を理解することって、本当に難しいものじゃないですかね。ましてや、同じ状況から打つことはないのがゴルフ。その状況においてイマジネーションを働かせ、感覚的に処理していく力は自分で身に付けなきゃいけないし、コーチが全て教えられるものじゃない。そういう意味では、コーチに頼り切りになるのは本質的じゃないとボクは思う。
プロゴルファーって、本当に感覚でやっているので、ちょっとのことがきっかけで悩みが深くなったりするんです。ボクもすごく気にしやすいタイプなので、人から言われることで迷うこともしょっちゅうです。でも、最後に頼れるのは自分の感覚しかない。ある意味、人から言われたスイングとか形を真似するのって簡単なんですよ。でも、本当の意味で自分の“太い感覚”をきちんと育てないといけない。一番難しいことですが、ボクはそこしか見てないですね。いや、本当に現在進行中で一番難しいことなんですけど……」(永野プロ)
帰り道の車中、「プロゴルファーとは、なんとストレスの多い因果な商売なのか」と改めて思った。こんなに凄いプレーをする永野竜太郎でさえ、男子ツアーでは未勝利。途中でどんなに凄いプレーをしてどんな挑戦を成功させようとも、結果だけでなんとでも言われ、受け入れなくてはならない。そして、正解がなく、頼れる答えを見つけ出すのも自分次第。予選落ちしたら1試合60万円近い赤字が当たり前……。下手な筆者からすると「割に合わなさ過ぎる」と感じるほど、ストレスの多い職業ではないだろうか。
永野プロ、頑張ってるのは分かってます。「頑張れ」なんて簡単に言えません。ただただ“応援”しています!
Text/Mikiro Nagaoka