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    『ゼクシオテン』の正直試打レポ。深重心のオートマ1Wは左に巻く?どう扱えばいい?

    先日、ダンロップ『ゼクシオテン』のラウンド試打に行ってきたので、そのレポート。今回は国民的人気クラブを手に、とんでもない事件が……。

    配信日時:2017年10月26日 02時45分

    • ギア

    【タメ】も【しなり戻り】も全て純正シャフトがやってくれる。余計なことをしちゃいけない

    左が『ナイン』、右が『テン』。明るい色になり、長さも0.25インチ長くなってます。シャフトのしなり量も…

    左が『ナイン』、右が『テン』。明るい色になり、長さも0.25インチ長くなってます。シャフトのしなり量も…

    P筒 「今回の『ゼクシオテン』は『ナイン』よりも若干つかまりの良いヘッド設計になったこともありますが、“芯を喰いやすい”テクノロジーは主に純正シャフトの設計ですよね? この複合的な要素で、『ゼクシオテン』の対象ターゲットと対極に位置する長岡さんはフックが多発したんです。一般ゴルファーにも起きることなのか?といえば、全くそうじゃない。長岡さんはどんなスペックでも自分の馬力で叩いてしまう、最もゼクシオと相性の悪い人間です」

    筆者 「確かに今回の件はボクだけであってほしいです。何しろ、国民的人気クラブなので。でも、もう少しフックのメカニズムを詳しく説明してくださいよ」

    P筒 「まず、恐る恐る練習場で試打した時に結果が良かったからこそ、コースで気持ちよく振ったはず。1球目から切り返しで気持ちよくシャフトをしならせてましたし、いつも以上にインパクトでしなり戻りも感じたはずです。で、最初にフックしたから“次はもっと出球を右に出そう”“ヘッドを遅らよう”と、どんどん右を向いてタメも強めましたね? これが敗因で、よりフェースが閉じる力を強めてフック回転をかける悪循環に陥りました。右を向いてシャフトをより遅らせてくるので、なおのこと目標に対して強烈にインから入る軌道を自ら作ってましたよ」

    筆者 「なぜわかってるならその時に指摘してくれないんですか!」

    P筒 「まぁ、聞いてください。長岡さんの症状は超レアケースですが、オートマ性能が極まったアンダースペック1Wの使い方を間違えると何が起きるか?のいい実例なんですよ」

    P編 「確かに、自分たちのHSにドンピシャなクラブの試打なんてない。ほとんどがアンダースペックでスピードを合わせながらの試打になるけど、『ゼクシオ』だけじゃなく、往々にしてアベレージ向け1Wだと左への巻き球が多発してしまう。でも、筒さんだけはいつも多くのアベレージゴルファー目線に徹して試打する。君みたいに自分の気持ちよさを優先する者はテスターの風上にも置けない」

    筆者 「その話は待ってください、筒さんの話しが途中なので」

    P筒 「今回の『ゼクシオテン』が『ナイン』と共通なのは、シャフトの手元部分の大きなしなりです。『テン』の純正SRの対象ではない長岡さんには、どちらも『手元が大きくしなる純正シャフト』程度の認識でしょう。でも、ボクは“ちょっと違うかも?”と、PCMでしなり剛性を詳細計測しました。実は『テン』の純正シャフトにはプラスαのデータが見つかったんです」

    筆者 「早く言ってくださいよ、ラウンド前に」

    P筒 「『テン』の純正シャフトは『ナイン』に比べて、大きくタメたしなりを一気に解放する剛性分布になってました。しかも、5桁の数字で柔らかさを表す【インターナショナルフレックスコード】に表れない隠し味程度に。ボクが真っすぐ打てたのは、『テン』のこのシャフト特性に仕事を任せたからです」

    筆者 「『テン』の純正シャフトは手元と先が柔らかいダブルキック系ってこと?」

    P編 「そこまでじゃないのが『ゼクシオテン』の上手いところだし、過去のユーザーがスムーズに移行できるところだろうね」

    P筒 「ボクもそう思います。ダブルキックにしてしまうと、しなり場所に対する好みが大きく分かれるデメリットもあります。その点、『ゼクシオテン』の純正シャフトは絶妙で、大きく振り心地を変えずに性能アップさせるのが上手いですね」

    筆者 「性能アップ? いやいや、ボクは強烈フックを左の林に放り込み続けましたよ?」
    左がPCM筒。しならせないように打ってこのしなり量!右の筆者も、タメようとしたつもりはないのに、このタマり方!

    左がPCM筒。しならせないように打ってこのしなり量!右の筆者も、タメようとしたつもりはないのに、このタマり方!

    P編 「振りやすくて気持ちいいからって、275g弱のドライバーを50m/s近い君がさらにタメてどうする?練習場では、おとなしく振っていたじゃない。私もアドレスを右向きに調整したり慣れないことをしてつかまりすぎたから人のこと言えないけどさ。筒さんはスペックにあったHSでクラブの性能を信頼して任せた結果ナイスショットを連発した、ということじゃないかな?」

    筆者 「本音で言うと、振ってませんよ。手先もリキんじゃいないし。自己分析すると、体の動きがRで振動数205cpmのシャフト剛性に対しては速すぎました。サッとテークバックするだけでもかなりシャフトがしなっちゃうというか、軽いからゆっくり振るのがボクには難しくて。筒さん、よくゆったり振って260ヤード以上飛ばしましたよね。しかも、こんなにつかまるのにフェードも打ち分けていましたよね?」

    P筒 「シャフトのタメやしなりって、正解に聞こえて実はただの【遅れ】です。しなり戻りやヘッドの走りがあって初めて意味があるというか。でもって、スライスや振り遅れ、飛距離不足に悩む人は【自分でタメる】【しならせる】って怖くてできないことなんです。『ナイン』ではシャフトの手元部分が大きくしなることでタメを作り、しなりがヘッドを走らせてくれましたが、『テン』は先端から中間部のしなり戻りがよくなったことで手元部分のタメを生かそうとしたのでしょう。長岡さんはしならせ過ぎるから、その分しなり戻りも高速になって対応不能に陥りましたね」

    筆者 「分かります。ボクの場合、全部振り“遅れ”ではなく、振り“走り”でした。ビョーンって勝手にいっちゃうんです、ヘッドが。筒さん、要するにクラブに任せず余計なことするから振り走りになってフックすると言いたいんですよね?」

    P筒 「深重心の芯が広いヘッドに、タメとしなり戻りを自動的にやってくれる純正シャフト。これ以上ないくらいオートマ性能が高いんですから、何もしない方が芯に当たるし真っすぐ飛ぶ。何かをやろうとするとクラブの動きを妨げますよ。そもそも、一般ゴルファーは、シャフトをしならせるのが苦手だし、しならせても戻せない人が多いんです。それを補ってくれるシャフト設計の妙が『テン』の最大の恩恵です。この難しい部分をクラブがやってくれるんだから、任せた方がいいに決まってます」

    筆者 「すごく滑らかで振りやすいから、気持ちよく振っちゃってたけど、シャフトのオートマな感じをスペック以上に邪魔しちゃったってことか…」

    P編 「だから、君は最も『テン』の対称と対極にいる変態だと言ってるじゃない。曲がらないクラブなのに、無理に曲げる技は本当に世界イチだよ。ヘソ曲がり度もね」

    P筒 「長岡さん、ボールが言うことを聞かないってパニクってましたが、一番言うことを聞かないのはアナタですよ。一緒に回ったダンロップの飯島さんはもちろん、『ゼクシオテン』に謝ってほしいです」

    筆者 「はい。すみませんでした……」


    Text/Mikiro Nagaoka

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