『M4 ドライバー』は、漢字文化圏のゴルファーにとっては忌み数の『4』を背負ったクラブです。個人的な趣味ですが、少し影がある美人が大好きです。『M4』ドライバーにはそういう幸薄い美女を重ねていました……　でも今回、二人のお話を聞いて、忌み数の物語なんて吹っ飛んでしまいした。

マーク金井さんが教えてくれた『M4』ドライバーの重心距離が長いという事実は、次のドライバーのトレンドを意識させます。藤川さんから聞いたニュートラルな感覚は、過去に主流だった重心距離が長いドライバーと『M4』は違うということを推測させます。

一昔前の重心距離が長いドライバーは、右に行きやすい特性をスライサーのために打ち消す工夫を競っていた印象があります。上手くいっていたドライバーもありましたが、中途半端なドライバーになってしまった例もありました。

2018年だから、または、もう少し先の将来を見据えて、テーラーメイドの持っている技術を詰め込んだのが『M4』ドライバーです。少し影がある幸薄い美女は、実は未来から来た使者だったという陳腐なSFになってしまいましたが、『M4』ドライバーはそれだけが突出して新しいわけではないことを最後に書きます。

この春に試打したドライバーで個人的に「飛ぶ、飛ぶ」と騒いでいる複数のドライバーには、いくつかの共通点があります。その内の1つが、重心距離が少し長めなのです。新しい流れに、僕らは知らない内に乗っているようです。

ゴルファーは道具のトレンドに逆らうことは無理だと歴史が教えてくれています。新しい流れに逆らえない宿命なら、そのきっかけになったと推測される『M4』ドライバーをいち早く手にするのは、ごく自然なことだと思えてきます。

『M4』ドライバーは、単なる先祖返りではなく、未来をゴルファーに見せるドライバーなのです。重心距離の長さを生かすも殺すも、あなた次第です。


（著者紹介）篠原嗣典
ロマン派ゴルフ作家。1965年東京都文京区生まれ。中学１年でゴルフコースデビューと初デートを経験し、ゴルフと恋愛のために生きると決意する。競技ゴルフと命懸けの恋愛に明け暮れた青春を過ごし、ゴルフショップバイヤー、広告代理店、市場調査会社を経て、2000年よりキャプテンc-noのペンネームでゴルフエッセイストに。日本ゴルフジャーナリスト協会会員